1.澄んだ空気がうれしい!都会のロッジ〈喫茶 穂高〉

御茶ノ水の駅前に突如現れる山小屋風の店が〈穂高〉。近隣は大学街で、昭和30年当時は日本山岳会もご近所。そのなごりで昔も今もスポーツマン、とりわけ山ボーイが集う。建物は日大出身で山好きの建築家・森史夫氏が設計。意外にもマスターは「スターバックスみたいな店」を思い描いていたそうだが、神田川沿いという地の利を生かし今のスタイルに。

マスターが体を壊してからは禁煙に。「そうしたらコーヒーっていい香りだなって」。東京のロッジでいただく一杯は、格別。神田川を見下ろす窓際が特等席。壁の絵は畦地梅太郎氏の作品で、数枚所蔵している。天井が高く見えた方が落ち着く、とテーブルや椅子は低め。車椅子のお客さんも座れるよう、入り口付近は運びやすい軽い椅子を。季節感に気を配り、卓上の生花はもちろん壁の絵画もこまめに入れ替える。

コーヒーはたくさん作ると味に深みが出る、とマスター。「骨董品」の琺瑯ポットで一気に40杯分。食事はトーストだけ。田端の〈グランドベーカリー〉の食パン一斤を4枚切りにした超厚切り。350円(朝10時まで250円)、コーヒー500円。
(Hanako1150号掲載/photo : Kenya Abe text : Hiroko Yabuki)
2.池波正太郎も愛した、〈山の上ホテル〉の喫茶店〈Coffee Parlor HILLTOP〉

アールデコ調のインテリアが配された、優雅な雰囲気。池波正太郎が描いた絵も飾られる。店内には、3台の水出しコーヒー用の抽出器具が鎮座する。

季節や気温に関係なく、一年中味を均一に保つために氷水を使用している。水出しは、カフェインが少ないのも特徴。上に氷水を入れ、12時間かけて一滴一滴抽出。

さらに一晩寝かせて味をなじませてから提供するコーヒーは、雑味やえぐみが少なく、すっきりとした苦みが広がる。水出しコーヒーを使ったスイーツも人気。
(Hanako1150号掲載/photo : Michi Murakami text : Emi Suzuki)
初めて行ってもどこか懐かしい。御茶ノ水の喫茶店は不思議な空間が広がっています。