ニッポンのお茶のニューウェーブ。#3 時代が求める、健やかな味。カラダにやさしい低カフェイン茶旋風。 FOOD 2022.10.22

最近、ウェルネスへの関心から、カフェインフリーのニーズも増え、注目を集めているのが番茶やほうじ茶たち。リモートワークでカフェイン過多になりがちな日常の中で、これは必然的な動きなのかも? お取り寄せもしてみたい、低カフェイン茶8選をご紹介。9月28日(水)発売Hanako1213号「新しいニッポンのお茶。」特集よりお届けします。

番茶、ほうじ茶、発酵茶…。時代が求める“健やか”な味。

DMA-NoCaffeine_003

煎茶に対し、庶民派ティーの代表格である番茶やほうじ茶は、総じてカフェインが少なめ。また二番茶、三番茶で作ることが多いので、リーズナブルで気軽に飲めるのも有難い。しかし、そこには長い歴史で育まれた、煎茶や抹茶にも負けぬ手間と技が息づくのだ。
たとえば岡山県美作(みまさか)地方に伝わる、煮汁をかけて独自の甘みとツヤを生む「美作番茶」(7)や、自然栽培の茶樹を茎から刈り取り、丸ごと薪火で火入れする「有機三年番茶」(1)、「川根薪火三拾年番茶」(5)、そしてほうじ茶をフレーバーティーとして楽しむ「苺ほうじ茶」(2)も。さらに日本では珍しい、プーアール茶に似た製法の「碁石茶」(6)や「菩提酸茶」(3)といった乳酸菌豊富な後発酵茶も、ヘルシーさで注目されている。就寝前も安心、飲めば体の芯から温まる。カラダ思いの究極のクラフトティーを、召し上がれ。

カラダ思いの、低カフェイン茶8選。

HANAKO202211_020

1. 宮崎〈宮崎茶房〉の有機三年番茶
釡炒り茶の名産地、宮崎県五ヶ瀬町で、無農薬・有機栽培の茶を送り出す〈宮﨑茶房〉。有機茶園で3年以上のびのび育った茎葉を、晩秋〜冬に手作業で摘採。薪火で平釡を焚き、手炒りで仕上げた隅々まで手仕事の一品。薪火のまろやかさの後に茶樹の滋味が広がる。20分ほど煮出すと美味。90g 864円。
TEL:0982-82-0211
HP:http://www.miyazaki-sabou.com/

2. 熊本〈お茶の富澤。〉の苺ほうじ茶
ほうじ茶に地元素材を合わせ、フレーバーティーに仕上げた個性派。超深煎りの茎茶に、南阿蘇産の有機乾燥イチゴと有機ステビア葉をブレンド。茎茶によって苦味を抑え、深煎りのコクとステビアの甘みがイチゴの風味を引き立てる。人工香料は不添加。ミルクで煮出すのもおすすめ! 50g 810円。
TEL:096-286-2231
HP:https://www.ochanotomizawa.co.jp/

3. 静岡〈晩茶研究会〉の菩提酸茶 2022 寒茶
晩茶とは、自家用のお茶をルーツとする日常茶の総称。こちらは静岡の〈池田園〉〈安間製茶〉〈長峰製茶〉が集い、2020年に発足した研究会による一品。袋井市菩提地区の茶畑で、極寒の時期に収穫した「寒茶」を独自の製法で3カ月半熟成。乳酸発酵による柑橘系の香りと酸味が実に心地いい。20g 1,080円。
TEL:054-624-0671
HP:https://shop.bancha.org/

HANAKO202211_021

4. 滋賀〈茶縁むすび 政所茶〉の平番茶
滋賀県・奥永源寺地域で、約600年の歴史を伝える〈政所茶〉。茶畑は無農薬で栽培され、茶樹の半分以上が在来種だ。平番茶は、成熟した茶葉を木桶に詰めて蒸し上げる昔ながらの製法。桶に詰めた圧で茶葉が平らになるのが名前の由来だそう。口当たり柔らかで、ハーブや薬草を思わせる風味も面白い。30g 450円。
TEL:なし
HP:https://mandocorocha.base.shop/

5. 静岡〈PEACE TEA FACTORY〉の川根薪火三拾年番茶
茶の郷・川根地区で長年放置された茶畑を再生し、無肥料・無農薬で3年以上自然栽培した茶樹から作る「三年番茶」の専門工房。冬に刈り取った茶樹を薪火の鉄釡で焙煎、半年間熟成後、再度火入れ。こちらは樹齢30年以上の在来種で作った希少な一品。木の香や滋味がまろやかに広がる。120g 1,620円。
TEL:0547-59-2758
HP:https://peaceteafactory.com/

6. 高知〈大豊町碁石茶協同組合〉の碁石茶®️
高知県大豊町で江戸初期から受け継がれる後発酵茶。蒸した無農薬栽培の茶葉を1週間寝かせ、さらに茶の蒸し汁と漬け込み二次発酵へ。3〜4cm角にカットし、天日干しを経て乳酸菌豊富な発酵茶に。名前は碁石に似た見た目から。カフェインは煎茶の1/4、ほのかな酸味で、飲めばカラダを整えてくれる。20g 1,296円。
TEL:0887-73-1818
HP:http://514.or.jp/

7. 岡山〈お茶の芳香園〉の美作番茶
岡山県美作地方のみで作られる伝統茶。盛夏に大きく育った茶葉を枝ごと刈って鉄鍋で煮出し、炎天下で天日乾燥後、お茶の煮汁をかけて乾燥...という工程を経ることで、茶葉は美しい艶を帯びる。まろやかな香味の後にほのかな酸味がふわり。この地で幕末より営む〈小林芳香園〉による名品。100g 648円。
TEL:0868-72-0350
HP:https://ocha-mimasaka.com/

8. 埼玉〈奥富園〉の狭山白棒茶 鬼の白骨
江戸期から続く狭山茶の茶園〈奥富園〉の15代目・奥富雅浩さんの意欲作。茶業界で「骨」と呼ばれる茶の茎を、白く膨らむまで芯から火を入れた白棒茶。狭山茶伝統の強火の火入れにより、甘く香ばしいビスケッティな香りを引き出す。煎茶が少々配合され、色味は淡いグリーン。60g 540円。
TEL:04-2959-4789
HP:https://okutomien.theshop.jp/

photo:Kayoko Aoki text & edit:Yoko Fujimori

Videos

Pick Up