美味しいは生き方、未来にもつながる 〈仙波豆富〉の大きな濃厚豆腐「なごり雪」。/フードディレクター・野村友里さんが信頼する美味しさと、生産者たち。 FOOD 2021.05.03

フードディレクター・野村友里さんのおすすめ食材を紹介する、3月29日(月)発売『会いたくて、食べたくて 私が信頼する101の美味しさとその生産者たち』より、〈仙波豆富〉のなごり雪をご紹介します。

〈仙波豆富〉のなごり雪

〈仙波豆富〉のなごり雪

およそ3㎏ のざる豆富「なごり雪」は、白が3,000円、青が4,000円(各税込)。約2㎏ の小サイズもある。賞味期間は5日間。ほかにレアな大豆を使ったハイパーシリーズも。
■埼玉県川越市仙波町2-7-23
■049-224-4057
■9:00~18:00 日祝休

http://senbatoufu.com

〈仙波豆富〉のなごり雪

「年齢を重ねるごとに、答えがわからなくなるんです」と語るのは、〈仙波豆富〉の小野哲郎さん。豆腐というシンプルな食べ物を作り続け、40年という月日を経て、それでもなお答えがわからない。むしろ、続けるほどに奥深い世界へと踏み込んでいく感覚でしょうか。小野さんの真摯な言葉に、豆腐作りの難しさと面白さを思います。白と青の2種類ある、大きな豆腐「なごり雪」を初めて食べた時、大豆の味わいに驚いたことを覚えています。

「白大豆のナカセンナリという種は、無骨でへそ曲がりな大豆。滑らかには固まらないんだけど、ジャストミートできれば、とても面白い。野武士みたいな感じかな。もう一方の青大豆は、枝豆のまま食べたら私の人生で一番だった、秘伝種。山形で出会って、今は秋田の八郎潟で永田農法を実践されている農家さんにお願いして作っていただいています」

ナカセンナリは癖があり、年末年始の新豆の方が美味しいかと思えば年の終わりに円熟味を増してきたりもする。小野さんが蓄積していった複合的な要素は、積み重ねるほど「語れなくなってます」。それでも「100種類の大豆があれば、100種類の豆腐ができる」という小野さんの言葉は、とても深く響くんです。

Profile…野村友里(のむら・ゆり)

eatrip 主宰・料理人。長年おもてなし教室を開いていた母の影響で料理の道へ。ケータリングの演出、イベントの企画・プロデュースなどの傍ら、雑誌の連載、ラジオのパーソナリティなどの分野で活躍。2009 年にはドキュメンタリー映画『eatrip 』を監督。著書に『Tokyo Eatrip』(講談社)。12年、原宿に〈restaurant eatrip〉を、19年には表参道にグローサリー〈eatrip soil〉をオープン。

(『会いたくて、食べたくて 私が信頼する101の美味しさとその生産者たち』掲載/photo:Yurie Nagashima text:Toshiya Muraoka styling:Yuri Nomura)

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