必ず寄りたい! 注目のパンを求めて鎌倉へ。パン好きも唸る実力派ベーカリー3選 FOOD 2020.11.21

人気の観光名所であり、様々なグルメが集結する街「鎌倉」。そんな鎌倉には、実力派ベーカリーが勢揃い。今回は鎌倉に行ったら立ち寄りたいおすすめのベーカリーをご紹介します。

1.〈BREAD IT BE〉人気ベーカリー統括シェフが新店オープン!

いまや一大ベーカリーチェーンとなった〈SAWAMURA〉、〈THE CITY BAKERY〉。その統括シェフである森田良太さんの本気が伝わってきた。鎌倉・若宮大路から本入った路地に月日オープンした〈BREAD IT BE〉。食パン、カンパーニュ、クロワッサン...濃厚な焼き色のパンはオーラをまとっている。「クリームパン、カレーパンをやる気はない。ハード系などの食事パンに特化して作っていきます」思いを象徴するシャンデリア。 食パンやクグロフなど、各店から集めた型でできている。

「〈SAWAMURA〉と〈THE CITY BAKERY〉で積み重ねた10年の集大成です」大きな店で実現できなかったとっておきのレシピを、小回りよく実現するためのアトリエなのだ。森田さんが目指すのは、「フィリングではなく、生地自体がおいしい」パン。人気の菓子パン・惣菜パンに目もくれない。それでも客足が引きも切らないのは、なぜか。心地よいもちもち感、しっとり感、ちゅるりとした口溶け、つづいて小麦の甘さ。ハード系特有の食べにくさは感じない。

〈BREAD IT BE〉
〈SAWAMURA〉〈THE CITY BAKERY〉の森田良太統括シェフによる新店。看板は石臼による自家製粉。水出しコーヒーや厳選のジャム、オリジナルグッズも。
■神奈川県鎌倉市小町2-16-35
■0467-33-4680
■9:00〜18:00水、第2木休
■テラス8席/禁煙

(Hanako1182号掲載/photo:Kenya Abe)

2.〈Lumière du b〉湘南の日常に馴染む、無添加・自家培養天然酵母のパン作り。

鎌倉 Lumière du b

〈リュミエール・ドゥ・ベー〉の仕事は実直そのもの。添加物不使用は当たり前、乳製品や動物性の食材さえ使わず、食パン、カレーパン、クリームパンまで作る。なぜそんな高いハードルを、無量井健太郎シェフは己に課すのか。

パン屋をはじめる前に見たテレビ番組。アレルギーに苦しむ子供たちが映しだされていた。体にやさしい、誰もが食べられる食材でパンを作りたい…無量井さんを駆り立てる思いだ。小麦、野菜、果物、ヨーグルトなど多種多様なものから種を起こし、パンにする。生地に混ぜればふくらむパン酵母(イースト)と比べて、発酵具合は複雑怪奇。だが、発酵種のパンに特有の素朴さはむしろない。パン酵母(イースト)と同様に軽やかなパンを作り上げる手腕。苦労のあとさえ見せないから、このうきうきする街に似つかわしいのだ。

〈Lumière du b(リュミエール ドゥ べー)〉
すべてのパンを、パン酵母(イースト)を使用せず、野菜や果物、麦から起こした発酵種で作る。オーガニック小麦などを店内で製粉。体にいい素材にこだわり抜く。
■神奈川県鎌倉市長谷2-7-11
■0467-81-3672(長谷)
■11:00~18:00 月、隔週火休

3.〈KOMOPAN〉ハワイのパンが勢揃い。湘南に、南国の風を感じるあたたかなパン屋がオープン。

湘南の海風を感じるベンチでパンを食べるのが最高。座っているのは、小森俊幸シェフの娘の糸ちゃん。パパとママを手伝い、除菌したり、パンを袋詰めしたりの働き者。
湘南の海風を感じるベンチでパンを食べるのが最高。座っているのは、小森俊幸シェフの娘の糸ちゃん。パパとママを手伝い、除菌したり、パンを袋詰めしたりの働き者。

小森俊幸さんは妻の圭さんの夢を叶えた。大好きな『ホノカアボーイ』に出てくる古い映画館みたいなパン屋を作るという夢を。クリーム色に塗った板張りの外壁、パイン材の堂々たるカウンター。そこには、バスケットに盛られたマラサダが置かれる。倍賞千恵子扮するビーが揚げていた(実際には料理家の高山なおみが作っていた)マラサダはおいしそうで、映画を見た人なら必ず食べたいと思うだろう。小森さんは、同レシピをもとに、もちもちで再現している。

小森さんは、横須賀の〈soilby HOUTOU BAKERY〉のシェフを務めていた。地元の農業を盛り上げようと、野菜をたくさんのせたパンで話題になったが、ここでは封印。具材より、パン生地自体を味わってほしいと、腕をふるう。たとえば、サワードゥ。手作りの発酵種で作る西海岸発のこのパンを、栃木の自然栽培生産者・上野長一さんの小麦を自家製粉、穀物をまとわせて「ANOANO」(ハワイ語で「種」の意味)というパンに仕立てた。全粒粉の香りがココアのように甘く、素敵に感じられる。

多くのパンに、ハワイ語の名前がつけられ、ハワイで実際に食べられているパンも、ブリトーやスパムサンドなど数多い。そんなパンといっしょに、瓶のドリンクも買って、腰越海岸へ行こう。『ホノカアボーイ』で吹いていたやさしい風を、頰に感じるかもしれない。

〈KOMOPAN〉
■神奈川県鎌倉市腰越4-9-4
■0467-55-5142
■8:30〜17:00(売り切れ次第終了)日月休

(Hanako1189号掲載/photo:Kenya Abe)

Navigater…池田浩明 いけだ・ひろあき/パンラボ主宰。パンについてのエッセイ、イベントなどを柱に活動する「パンギーク」。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法』『日本全国 このパンがすごい!』など。

Videos

Pick Up