ハナコラボ・諸岡なほ子の高知旅 その4 魚市場グルメに苺スイーツ。中土佐の小さな漁師町に元気を与えたのは、 地元発のアイデアでした。 LEARN 2017.08.04

ハナコラボ・諸岡なほ子さんが高知県をめぐる旅の最後は、明治時代から漁師の町として栄えてきた中土佐町久礼へ。半日あれば回れてしまう小さな町ですが、最近は遠方から足を運ぶ人も絶えないとか。お目当ては、地元の人たちが斬新なアイデアで生み出す、新しい「食」。食いしん坊代表の諸岡さん、その仕掛け人を訪ね、中土佐フードカルチャーの今を探りました。

高知県中西部に位置する中土佐町久礼は、明治時代から続く久礼大正町市場が今も市民の台所として残る、古き良き漁師町。漁師のおかみさんたちが、夫のとってきた魚を路面で売るようになったのが市場の発祥だそうですが、現在も干物や加工品を売る小さな露店が軒を連ね、とってもレトロな雰囲気です。

見て、体験して、味わう。新しい市場の楽しみ方。

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市場に掲げられた大漁旗。鮮魚店や直営の食堂が所狭しと並び、活気ムンムン!

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今朝、一本釣りで水揚げされたばかりのカツオ。ウツボなど、東京ではなかなかお目にかかれないような珍しい地魚も並び、見ているだけでも楽しい〜。

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田中鮮魚店の社長・田中隆博さんは、高知に古くから伝わる「カツオのわら焼き」(カツオをわらで炙ってタタキにする昔ながらの製法)文化が衰退していることを危惧し、県内外で実演販売するなど、わら焼きのおいしさと魅力を伝え続けている人。もちろんご自身のお店でもわら焼きを行い、できたてのタタキを提供しています。

諸岡「カツオのわら焼き、聞いたことはあるのですがまだ食べたことがなくって。なぜわら焼きのかつおタタキはおいしいんですか?」

田中「わらを豪快に燃やした中にカツオを入れて炙るので、ガスコンロなどで焼くのとは火力が違うんです。皮を一気に焼いて香ばしさを出しつつ、中は生のまま。この絶妙な塩梅を出すには、やっぱりわら焼きじゃないと」

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普段でも社長の手が空いている時は、お店でわら焼き体験をさせてくれるということで、諸岡さんもさっそくチャレンジ!

諸岡「す、すごい火力で、めちゃくちゃ熱いです!」

田中「焼きすぎると中まで火が入って焼きカツオになっちゃうから(笑)。皮面を1分、裏返して10秒が目安です」

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毎日、何十年もわら焼きをしていると、皮が焼ける音でちょうどいい塩梅がわかってくるそう。タイミングがよければ、お店でわら焼きの様子を見ることができますよ。

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こちらが諸岡さん作のカツオのわら焼き。皮はこんがり、身はしっとりしていい感じ! ちなみに高知の人は、カツオのタタキにしょうがやにんにくのすりおろしをつけて食べることはあまりしないそうです。

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諸岡「わあ、この香ばしさ、たまらない! お刺身だけどまるでお肉のような厚さ。何も付けなくても、旨味が十分凝縮されていますね」

田中「そう、本当においしいカツオは薬味なんていらないの。にんにくをつけるとしたら、生のままスライスして一緒に食べる。これが絶品よ!」

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田中社長のアドバイスどおり、生のにんにくスライスをのせてパクリ。

以前、東京の商社でバリバリ働いていた田中社長はアイデアマン。田中鮮魚店に並ぶ魚のうち、食べたい魚を選べば、その場で調理して食べさせてくれるという、オーダーメイドの市場グルメも展開しています。

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諸岡「量も好みで調整してくれるのがいいですね。じゃあ私はカツオのお刺身と、思い切ってウツボも頼んでみます!」

さっきまで氷漬けにされていたピチピチの魚が、数分後には食卓へ。これぞ漁師町ならではのグルメ。

諸岡「海辺の町の市場に行くと、このお魚、ぜったいおいしいんだろうなあって思うんですけど、買って帰るわけにいかないので(笑)。目で見て、体験して、味で楽しめる。それが漁師町にある市場の特権。それを上手に活かして地域を盛り上げる田中社長、さすがです!」

規格外の苺で作ったスイーツがブレイク!その作り手とは?

漁師町の男たちが魚で町を盛り上げるなら、女たちはスイーツで!今、久礼で毎日行列ができるスイーツショップ&カフェ〈風工房〉は、地元の苺農家のおかみさんたちが立ち上げたお店。もちろん目玉は地元産の苺を使ったお菓子です。さっそく、運営メンバーのひとりである政岡妙さんにお話を伺うことに。

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諸岡「苺シフォンに苺ショートに苺スムージ…苺天国じゃないですか〜!」
政岡「苺農家の嫁ですから(笑)。収穫時期になると、形が色が悪くて市場に出せない苺が出るので、それを使って何かできないかしら?というところから、奥さんたちで集まってケーキショップを始めたんです」

諸岡「え〜!?こんな本格的なケーキを奥様方自ら作られているのですか?」

政岡「最初は1年間、プロの方にケーキ作りを学んで。役場から援助してもらう形でスタートしたんですけど、その目標とされたのが年間2000万円!でも、オープンしてみたら3ヶ月で目標達成できてしまったんです」

諸岡「ケーキ作りの腕はもちろん、きっと農家さん直送の苺をふんだんに使っているからこそですね。東京でこんな贅沢な苺スイーツをたくさん食べようと思ったら、お財布が何個あっても足りませんよ〜(笑)」

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お店はいつも大混雑。一番人気のショートケーキはあっという間に売り切れてしまいました。

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こちらはシャリシャリ感も楽しめるスムージー(460円)。とれたての苺を冷凍保存しているので、旬以外の時期でも楽しめます。

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「苺ガナッシュ」(380円)には、甘酸っぱい苺チョコがこれでもかと乗っています。スポンジに挟んだクリームも苺風味と、まさに苺づくし!

諸岡「でも収穫時期は農家の仕事も忙しいでしょうし、奥様方はさぞかし大変なのでは?」

政岡「最初の頃はケーキショップと農家仕事の両立が難しくて、家族に反対されたりもしたのですが……。でもね、女ばっかりで集まって、わいわいお店をやるのが何より楽しいんですよ。県外からわざわざ来てくださるお客さんも多いので、それも大きな支えになっています」

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口コミで評判が評判を呼び、今や久礼の観光名所的な存在にまでなった〈風工房〉。7月15日からは店舗を大幅に拡大し〈道の駅なかとさ〉に移転して営業中。パワフルなお母さんたちが作る苺スイーツを、ぜひ食べに行ってくださいね。

問い合わせ先

〈田中鮮魚店〉
■高知県高岡郡中土佐町久礼6382(大正市場内)
■0889-52-2729
■9:00〜17:00(食堂は10:00〜16:00) 第4火休(祝日の場合は前後の火休。12月は無休)

〈風工房〉
■高知県高岡郡中土佐町九礼8645-2(道の駅なかとさ内)
■0889-52-3395
■10:00〜17:00(カフェは16:00LO) 不定休
http://kazekobo.biz/

高知県の情報ならココ!

高知県のまとめサイト「高知家の○○」
http://www.kochike.pref.kochi.lg.jp/~top/matome

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