パンを愛するヴァイオリニスト・花井悠希がおすすめ。 食パンブームは終わらない!【極上食パン】が食べられる人気ベーカリー10選 FOOD 2019.09.23

世の中は空前の食パンブーム。未だ流行が衰える気配がありません。今回は、パンをこよなく愛するヴァイオリニスト・花井悠希さんがおすすめする都内の極上食パンをまるっと10選、ご紹介します。

1.〈ペリカン〉の「食パン」と「山型パン」

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ある日の深夜未明、居ても立っても居られなくなって次の日の目覚ましを早い時間にセット。飛び起きて、お店に予約の電話ができる時間まで待ちきれず開店に合わせての突撃を企てました。(注:基本的には〈ペリカン〉さんは予約しないと買えません)
翌朝、若干遅れをとってしまい、到着は8時5分前。行列は10人程。果たしてお目にかかれるのか!?棚に食パンたちがずらりと並んでいます。ついに、「食パン」と「山型パン」をゲット!(ちなみにロールパンは朝は焼いていないらしくゲットならず。ペリカンの小ロールパン大好き)

「食パン」
「食パン」

いわゆる角食パンってやつですね。大きさは少し小ぶりです。耳は薄めなのに硬質な歯応えで、フランスパンのクラストに近いような強さがあります。内側は相反してむっちりと詰まったしっとりボディがお出迎え。

「山型パン」
「山型パン」

こちらは「山型パン」。膨らんでいるところからガブリとしてみると、もう歯を降ろす前から口内に広がる香りが角食と別物で驚きます!え!?と二度見しちゃうくらい放つ香りの種類が違うんです。こちらの方が耳が柔らかいです。外側と内側とが別者ではなくどこか共通点があるような仲良しの印象です。そして全体的にふわふわとしていて、角食に感じたような弾力は控えめ。ぎっしり詰まっているけどふかふかで柔らかいという所は角食と似ているのですが、むっちりというよりは抜けがあって隙がある印象です。どちらにも共通して感じるのは差し出がましくない甘さと小麦感。あってないようなクールで小ざっぱりしているテイストこそがペリカンの味だなぁと私は思います。

〈ペリカン〉
■東京都台東区寿4-7-4
■03-3841-4686
■8:00~17:00

2.〈365日〉の「365日食パン」/代々木公園

「365日食パン」
「365日食パン」

杉窪章匡氏のパン屋さん〈365日〉。

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手の平に乗っかるくらいの小さな角食パン。長細く立派に食パンの形をしているのに小さいからミニチュアのようで可愛い。贅沢に手で三等分にして、小さく分厚いトーストにしてみました。

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表面はカリッと焦げ目をつけて、内側はふかふかさせながらもしとっとした水分を逃さない良いバランスでいただけるので、この贅沢三等分でのトーストがやはりおすすめ。バターいらず、生地の旨味だけで十二分にごちそうです。紙袋も包み紙も統一感があって、おもたせにぴったりですよ。

〈365日〉
■東京都渋谷区富ヶ谷1-6-12
■03-6804-7357
■7:00~19:00(モーニングセット
7:00~11:00(L.O.))不定休

3.〈空と麦と〉の「新麦パン・ド・ミ」

小麦を自社農園で栽培までしていらっしゃる、小麦に対する想い溢れるパン屋さん。食パンは3種類あります。どれもこれも魅力的なんです。うんうん頭を悩ませて(相談にのってくださった店員さんありがとうございます)選んだのは「新麦パン・ド・ミ」。こちらノンオイル・ノンシュガーであります。

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「ザクザクザクザク」!!1口目、いや、1音目からハート持っていかれました。トーストするとザラザラと角が立った無骨な表面は目が荒く、ドライ。なのになのに!軽快な音をたて表面を侵入したらば、ぬちっとお餅のような内側ゾーンが現れました。手で割きながら断面を見ると、生地が糸をひいていて、モチモチを隠せません(隠す必要は、ない)。モチモチなのだけど、ドライな爽快さがあるのは、空気の余白が抜け感を作っているからでしょうか。

美味しいに理屈はいらないでしょ?そう言われているような余裕を感じます。ノンシュガーなのに、その稀有な食感を口内で楽しんでいると小麦の甘みがじわじわと穏やかに広がってきます。なんとも幸福な余韻。あぁ、お母さん、おかわり!!

〈空と麦と〉
■東京都渋谷区恵比寿西2-10-7 YKビル 1F
■03-6427-0158
■10:00~19:00 休日月

4.〈Truffle Bakery〉の「角食パン」/門前仲町

「角食パン」
「角食パン」

もちっとしなやか。こんな肌になりたいと、大人のゆらぎ肌を抱えた私が嫉妬するほどきめ細かい柔肌の持ち主です(さりげなくお悩み相談)。トーストするとカリッと表面はなるものの、しなやかなどこまでも撫でたい柔らかさはステイ。でも、そのもちっとした生地感も甘さも小麦の強さも全体的に角がなく和やかで、なるほど、これこそバランスのいい食パンなのではという感じ。どんな人にも胸を張ってオススメ出来る、そう、令和の時代にもきっと沢山の人から長く愛される食パンであること間違いなしです!流行りの水分量高めな生地でありつつ、スマート。平成の流行も感じる食パンではないでしょうか。

〈Truffle Bakery〉
■東京都江東区門前仲町1-15-2
■03-5875-8435
■月〜金9:00〜19:00 土・日・祝8:00〜18:00 不定休

5.〈ジュウニブンベーカリー〉の「ジュウニブン食パン」/新宿

連載・朝パン日誌にも何度か登場している〈365日〉の杉窪章匡シェフの新店が、昨年京王百貨店にオープン。京王百貨店ということは、そうです。雨にも風にも負けることなく辿り着けるのですよ。優しい!

「ジュウニブン食パン」
「ジュウニブン食パン」

なんとこちら、水分量120%の食パンなんです!自分の常識を超えた食パンに出会える予感たっぷりです。トースト好きとしては焼かずにはいられませんでした。この子がトーストすると果たしてどうなるのか見たい気持ちを抑えられません。

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パリパリパリリ。シャリシャリリ。しっとりもっちりとばかり想像していた脳は、このあまりに薄く軽やかな皮の食感についていけません。中のクラムは、気泡が大らかに大粒で、期待に答えるしとしともちもちさ。高加水を余すことなくアピールし口内にぐでーんと伸びていきます。このお餅のようなもちもち感に、ふかふかとした軽やかさも弾むのです。そして生地のいやらしくない甘みが抜けていく。…おそろしい子!

〈ジュウニブンベーカリー〉
■東京都新宿区西新宿1-1-4 京王百貨店新宿店 中地階
■03-3342-2111
■月~土10:00~20:30 日・祝10:00~20:00 定休日は京王百貨店新宿店に準ずる

6.〈馬場FLAT〉の「全粒粉食パン」/高田馬場

近所に住む方々が思い思いに通り過ぎたり休憩したり、そんな穏やかで長閑な風景の中に佇む〈馬場FLAT〉。扉を開けばとびきりの笑顔でスタッフの男性が明るく声をかけてくださいました。店内にずらりと並ぶパンの種類の多さに、好奇心とワクワクが爆発した私としては、このウェルカム感はありがたい!気になるパン達のキャラクターを一つずつ聞いたり教えてもらったり、そのやり取りもハートフルで、いいパン屋さんだなぁとじわじわ胸に幸福が広がっていきます。

「全粒粉食パン」
「全粒粉食パン」

甘みよーし、もっちりよーし、香りよーし!全粒粉ゆえ、香ばしさもひとしお。小麦の稲穂が穏やかにそよぐ映像が目に浮かびます。柔らかいけどしゅわしゅわ溶ける系ではなく、かといってざらっと無骨系でもなく、言うなれば優等生的な安心感と信頼感を寄せられる食パンです。この子に任せておけば大丈夫だしどんな取り合わせを持ってきても(サンドしてものっけても)上手にやってくれるでしょう。

〈馬場FLAT〉
■東京都新宿区大久保3-10-1 オレンジコート
■03-6205-5443
■8:30~19:00 第二月曜休

7.〈R baker北千住店〉の「ヨーグルト酵母の食パン」/北千住

こちらなんと〈TSUTAYA〉が運営しているベーカリーカフェ。なぜ〈TSUTAYA〉が!?という謎は残しつつ(解明は、しません)、店内はお客様がいっぱいで活気があり、地元に愛されているお店なんだなぁと心温まります。

「ヨーグルト酵母の食パン」
「ヨーグルト酵母の食パン」

焼く前に触れると、しとしとしと。雨に濡れひんやりとした空気のような憂いのあるしっとり具合です。もちっと系だときいていたので、存分に味わおうと厚切りにしてトーストしました。

皮はさっくり。ヨーグルト酵母によるものなのか、爽やかな風味がヒラリと漂います。酸味まではいかないこの風味によって、しとしとモチモチ食感で甘みも重みもあるはずなのに軽やかです。爽やかさとしっとり食感、テンポ感の良さに魅了されて、無我夢中で食べている私がいました。こんな風に朝に優しい気持ちをリセットできたらいい顔で歩き出せそうです。

〈R baker北千住店〉
■東京都足立区千住2-25 やよいビル 1F
■03-3882-5827
■8:00~21:00 無休

8.〈ロータスバゲット〉 の「湯ごね食パン」/中目黒

「湯ごね食パン」
「湯ごね食パン」

〈ロータスバゲット〉さんで、好きなのは「湯ごね食パン」。生のまま触るとひやっと冷たいのは、しとしとと水分をたっぷりと抱えている証。手に吸い付いて離れないようなもっちり感を、焼かずにそのままハムハムと楽しむもよし、トーストして表面カラッと、内側モチモチっとのコントラストを楽しむもよしな、好みどストライクな食パンです(ちなみに私はトースト派)。

〈ロータスバゲット〉
■東京都目黒区上目黒1-6-5
■03-3715-0284
■9:00〜20:00 休火水

9.〈俺のBakery&Cafe〉の「俺の生食パン」/恵比寿

〈恵比寿ガーデンプレイス〉。ここは、三重から出てきた私にとって、いつまでも東京らしさを感じる景色の1つです。映画館も写真美術館も百貨店もあり、レストランも沢山入っていて、真ん中の広場ではイベントもよく行われる、みんなの憩いの場所。

「俺の生食パン」
「俺の生食パン」

そんな〈恵比寿ガーデンプレイス〉の入口に去年できて、今もその食パンを求めて行列が絶えないのが〈俺のBakery&Cafe〉。皆さんもよくご存知のあの〈俺の〉系列のパン屋さんです。近くに住む友人がプレゼントしてくれて、ついに対面することが出来ました。

一斤、どんと目の前にそびえ立つ様は、なんともたくましい。ちょっと遠慮がちにナイフを差し入れて、丁寧に丁寧に、パンへ目一杯の敬意を払ってそっとナイフを動かします。パンをお姫様のように甘やかす、この時間がたまらない。

俺のBakery&Cafe

焼かずにそのまま食べるのがオススメとなっているこちら。綺麗に切れた、真っ白な断面に惚れ惚れしながら、大きなお口を開けて、はむっと一口。極上に柔らかな表面に触れたと思ったら、しゅわしゅわしゅわしゅわと泡のように消えていく……。粒の細かい空気が生地の隅々まで入りこみ、クッションのような役割をしているので、スフレのような儚い溶け方をします。

俺のBakery&Caf

甘さはあるタイプ。なかほら牧場のミルク、北海道産小麦「キタノカオリ」を使った【究極のミルク食パン】というフレーズが添えられているだけあって、ミルクのまろやかなコクと甘みを感じることができます。ぜひあなたのお口のサイズに合わせた厚みでカットしてみてください。ピタッと口にハマるサイズの食パンです。

〈俺のBakery&Cafe〉
■東京都渋谷区恵比寿4-20-6 恵比寿ガーデンプレイス 時計広場
■03-6277-0457
■モーニング 9:00〜1000(L.O.9:45)カフェ 9:00~21:00(L.O.20:00)食パン販売 10:00~21:00(パンは完売次第終了致します)
※食パンのご予約のみ、webにて承っております。カフェはご予約できませんので、予めご了承ください。

10.〈ポワンエリーニュ〉の「レジェルテ」/大手町

新丸ビルの地下にお店を構える〈ポワンエリーニュ〉。照明がグッとおとされたワインバーのようにシックな店構えに、宝石屋さんみたいにガラスの向こう側で待つパン達。オトナのムード満点なお店はお食事も充実していて、ディナーデートだって出来ちゃう雰囲気です。

「レジェルテ」
「レジェルテ」

マスカルポーネクリームを練りこんだ食パンとのこと。まずはそのままで食べてみると、想像よりも甘さ控え目でむしろうっすら塩気を感じます。1つずつの粒子がふっくら柔らかな口溶けで、その皆が1つになると今度はふかふかに。はむって大口を開けてその遠慮がちな弾力に口付けると全身を駆け巡る幸福感に包まれます。この幸福感どこかで経験したことあるぞ……あ!夏祭りの綿菓子だ。

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トーストすればさらにドロンと変身。羽のような軽やかさに出会えます。表面はサクッと張りがありますが、そこを通過すると内側は風も通りすぎそうなほど抜けが生まれて……もはや風を食べているに等しい!パンの味の風!!と何を言っているのかよくわからなくなってきましたが、とにかくこの軽やかさはなかなかお目にかかれません。ふんわりと軽い食パンがお好きな人には是非試してもらいたいです。

〈ポワンエリーニュ〉
■東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング B1F
■03-5222-7005
■ベーカリー:平日 11:00~21:00 土日祝 10:30~21:00

(text&photo:Yuki Hanai)

毎朝食べる愛しのパン達への想いを綴っています!

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パンラヴァーのヴァイオリニスト・花井さんが毎朝食べる愛しのパン達への想いを、まるでラブレターのようにつづる連載「朝パン日誌」。東京だけではなく全国のパン屋さんを巡って出会ったパンの数々をお届けしています。
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