シティなパン屋はブラックなの!?…〈Le Petitmec Hibiya〉と〈POINT ET LIGNE〉
2019.07.02

花井悠希の朝パン日誌 vol.49 シティなパン屋はブラックなの!?…〈Le Petitmec Hibiya〉と〈POINT ET LIGNE〉

まず紛らわしいタイトルを謝る所から始めましょうか(じゃあ何故書いた)。ブラックといってもそれは店内や紙袋、ロゴの話。今回はブラックを基調にアーバンな大人の雰囲気でゾクゾクさせてくれるパン屋さんをご紹介します!

花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

花井 悠希
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パン屋さんと聞くと白やウッディなイメージのほっこりとしたお店も多い印象ですが、東京のど真ん中、丸の内近辺の商業施設に入るこの2軒のパン屋さんは、どちらもグッとシックで夜にお酒を嗜みながら頂くのも粋な雰囲気。じゃあそのお味の方もキリッと都会派なのか否か、確かめるべくハイヒールを履いて出かけてきました(カッコつけました)。

欲張りで行きたい…〈Le Petitmec Hibiya〉

京都の今出川に創業した〈ル・プチメック〉さんは京都を中心に6店舗あり、今都内には日比谷シャンテと系列店の「レフェクトワール」(モーニングが気持ちよくて最高)が原宿にあります。
日比谷シャンテに入ってすぐ左、横一列に並んだ黒い棚にズラリと勢揃いしたパン達がSay Helloしてきたらもう敵わないはず。硬いも柔いも甘いもしょっぱいも、サンドイッチまで揃えた幅広いラインナップに、目も鼻も思考もキョロキョロしちゃって頭抱えてしまいますよ。自分の優柔不断さにうんざりしながら息も絶え絶えに(言い過ぎ)選んだのはこの2つ。

「ラムレーズン入りミルクフランス」

幾度となく食べ、味の想像が出来ていたとしても決して抗う事のできない私的魅惑ワード、それが「ラムレーズン」。袋をあければ抵抗する間も無く鼻腔をくすぐってくるその香りに気づかないフリをして、まずは生地をじっくりと味わいます。長時間発酵のフランスパン生地は、白っぽい色をしてバゲットよりずっと口当たりも小麦の香りもソフト。でもぎゅっと押し返してくる噛み心地と仄かな塩気が心地よくほとんど甘さがないので、きっとソーセージを挟んでも負けずにいいタッグを組んでくれそうなしっかり者です。

そこに挟まるミルククリームは、真逆のやわやわボーイ。相手が田舎の頑固オヤジさんなら「最近の若いもんは!」と喝を入れられそうなほどホイップバターにも似たやわやわ柔らかな質感で、口内でひゅるり姿を消すのもお手の物です(逃げ足早し)。

バタークリームがとろりとした口当たりで溶けるとラムレーズンがすかさず絡みつく。もう気づかないフリなんて出来ないよ!艶めかしくラムレーズンが香るバタークリームにダイブ!!と身を委ねようとすると生地のドライな性格がおいっ!と見張っておりました。なるほど、パンはボディガードだったのね(そうなの!?)。とろけるのはほどほどに。

「バゲットシトロン」(実際は一本で売っています)

あまりにこのルックスは素敵すぎた。この湿度が上がってきてジメジメとした空気に気持ちまで塞ぎそうであれば尚更のこと。大らかなバゲットの上でくし切りのレモン達がシロップでキラキラと輝く様は、梅雨の先にスタンバイしてる夏の日差しを思い起こさずにはいられません。

シロップがついてない部分を頬張れば、噛めば噛むほど小麦の香りと旨みが惜しみなく弾け、それはそれはエネルギーに満ち溢れています。ビーチに映えるあの健康的な小麦肌が目に浮かぶようです(変態か)。

ゴロリとトップに乗っかったレモンはもともとの強いキャラクターが焼きこまれることによってさらにパワーアップ!キュッと放つ酸味が眩しい!サングラス欲しいぜ。その上からレモンの苦みまでとけだしたシロップがかけられて、燦々と照らす夏の太陽にも負けない鮮やかさを放ちます。その色彩は口内から全身へとほとばしり、身体の隅々まで目が覚めていくよう。夏のヒロインさんです。

そうそう。夜パンとして頂いたサンドイッチもとびきり美味しかったことも最後にお伝えしておきます。ローストビーフとブルーチーズのサンドに、ハムとブリーチーズのサンド。パンの種類もサンドの具材によって変わっているから、色々試したくなること間違いなしですよ。

デートも出来ちゃうパン屋さん!?…〈POINT ET LIGNE〉

新丸ビルの地下にお店を構える〈ポワンエリーニュ〉。照明がグッとおとされたワインバーのようにシックな店構えに、宝石屋さんみたいにガラスの向こう側で待つパン達。オトナのムード満点なお店はお食事も充実していて、ディナーデートだって出来ちゃう雰囲気です。こちらも魅力的なパン達が並び選びきれずにいましたが、お姉さんが優しく説明してくれたおかげでなんとか4つ連れて帰りましたよ。

「レジェルテ」

マスカルポーネクリームを練りこんだ食パンとのこと。まずはそのままで食べてみると、想像よりも甘さ控え目でむしろうっすら塩気を感じます。1つずつの粒子がふっくら柔らかな口溶けで、その皆が1つになると今度はふかふかに。はむって大口を開けてその遠慮がちな弾力に口付けると全身を駆け巡る幸福感に包まれます。この幸福感どこかで経験したことあるぞ……あ!夏祭りの綿菓子だ。

トーストすればさらにドロンと変身。羽のような軽やかさに出会えます。表面はサクッと張りがありますが、そこを通過すると内側は風も通りすぎそうなほど抜けが生まれて……もはや風を食べているに等しい!パンの味の風!!と何を言っているのかよくわからなくなってきましたが、とにかくこの軽やかさはなかなかお目にかかれません。ふんわりと軽い食パンがお好きな人には是非試してもらいたいです。

「ポム」

月・水・金曜日だけ販売のこちら。春巻きのように真っ直ぐピンと張ったサクサク生地。その1枚ずつがとんでもなくバターなんです。べらぼうにバター。止め処なくバター。ウルトラバター(もう分かったから)。それがわらわらと崩れていくと想像してみてください。えらいこっちゃですよ。バター好きさんこの指とーまれ!

林檎は噛みごたえが残ったコンポートになっていて、そこにレモン香るクリームチーズがうねる。一気に口内に果実味が広がって華やいでいくけど、クリームのコクがのっそりとゆっくり広がるから、真夏の太陽!て感じよりは、緑が深く茂った湿度の高い夏の朝っぽい。曇り空の朝はこちらで。シャンシャンシャンシャンと最後までパイの鈴が鳴り響きますよ。

「もろこしマヨ」

ギュッと握ってしまったらサクランボくらいの大きさになっちゃうんじゃないかというほど空気がたっぷりと細かく入った生地は、もうしゅわしゅわ。もっちりと歯要らずな柔らかさです。そこにコーンがぷちりぷちり。コーンマヨパンでよく見かけるみたいに真ん中に集合しているんじゃなくて全体に散りばめられています。よく知るコーンマヨとは2次元くらい違う時空を生きている感じ。

表面はチリチリと焼けてなんとも香ばしい。でもマヨネーズゾーンがくると一気に、コーンマヨですが何か?的な、強烈によく知るコーンマヨ味が主張します。ははーん。きっちりこちらのツボをおさえてきますね。この子は冗談じゃなくて2口でいける。いやむしろ2口で行った方がマヨのパンチととうもろこしの甘みと、生まれたての赤ちゃんを思い出すようなこの生地のふやふやさをより味わえるんじゃなかろうか。

「ニダベイユ」

三種のチーズを使った蜂の巣構造のブリオッシュ。こちら、もはやパンというよりチーズです(いや、パンだけども)。外のチーズはカリカリとお焦げ付きで香ばしいし、内側は角切りの三種のチーズたちがプチプチと一糸乱れず列をなして隙がありません。どこもかしこもチーズ!!ブリオッシュ生地はそんなチーズ軍に従順に柔らかくついていきます。

焼けばさらに内側はへにょんへにょんのコシ抜けスタイルへ(決して悪口ではない)。チーズは熱でさらにまったりさともちっと感を増し、生地もふわっと膨らみが増して、一緒にあっちへへにょんこっちにへにょんと創作ダンスを繰り広げます。チーズとパンの割合はハーフアンドハーフ、あるいは6対4でチーズが多いのかな?と感じるほど惜しみなくチーズが練りこまれているから、最近チーズに飢えていたあなたの欲満たしてあげるよ、なチーズパンでした。

どちらのパン屋さんもイートインがあって、お仕事帰りのカチッとした服装にも馴染むムード。ビールと焼き鳥もいいけど、今夜はワインとパンで寄り道してみてもいいかも?帰りは明日の朝パンも忘れずに!

☆前回の記事はコチラから
☆『花井悠希の朝パン日誌』連載一覧はコチラから

花井 悠希

7月14日(土)は〈ル・プチメック〉のお隣、ミッドタウン日比谷3階の〈Billboard café & dining〉にぜひ!1966QUARTETがUK ROCKの名曲たちを一堂に演奏するライブがあります! The beatlesにQueen、David Bowie、oasisにRadioheadなどなど。一回のコンサートで聴けるライブはこれが一区切り。ぜひ聴きにいらしてくださいね。

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