小谷実由の『趣味がなかなか見つからなくて。 』/だしの引ける女になりたい。
2019.05.19

一生モノの趣味を見つけよう! 小谷実由の『趣味がなかなか見つからなくて。 』/だしの引ける女になりたい。

ファッションモデルから執筆活動まで、分野を超えて軽やかに行き来する小谷実由さん。意外にも、趣味らしい趣味がないのだとか。夢中になれる、一生モノの趣味と出会うべくしてはじまったこちらの連載。1回目に掲げたテーマはずばり「鰹節だしを引く」。東京・日本橋の鰹節専門店〈にんべん〉の木村絵里子さんを先生に、日本人の食生活に欠かすことのできない、鰹節だしのいろはを教わりました。

小谷実由 / ファッションモデル

「モデル。1991年、東京生まれ。愛称”おみゆ”でおなじみ。喫茶店巡りはライフワーク。」

小谷実由
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step1. 「鰹節ができるまで」を学ぼう。

以前、デパートの地下で削られていない鰹節を見かけた際、その圧倒的な存在感に、神々しさを感じたと話す小谷さん。今回は、2019年で創業320周年の老舗〈にんべん〉の木村絵里子さんを先生に、鰹節の製造過程から伺います。

〈にんべん〉の木村絵里子さん。社歴20年、まさに”鰹節のプロ”。

木村「ではさっそく、カツオを三枚におろしていくところから始めましょうか。今日はこの子を使ってご説明していきます。」

そう言って、木村さんが取り出したのは、特大サイズのカツオのぬいぐるみ、その名も「カツオ解体君」。そのシュールな姿に小谷さんもご満悦。

「カツオ解体君」を、アタマからもいでいく小谷さん。嬉しそう。

小谷「か、かつおちゃん!」

全長45cm、実際のカツオとほぼ同じ大きさだというそれを、剥がしたり、くっつけたり。ぬいぐるみを使っておろし方を学ぶ姿は、とても満足げ。

見れば見るほど心を奪われる、らしい。幸せそう。

小谷「か、かわいい...」

よほど気に入ったのか、なかなか手元から離そうとしない小谷さん。特に正面から見た時の、つぶらな瞳がたまらないんだとか。(ちなみにこちらのぬいぐるみ、なんと〈にんべん 日本橋本店〉で購入もできるとのこと。「カツオ解体君」5,800円)

気を取り直して、鰹節のお話をスタート。

小谷「じゃあこれ全部、手作業で行われているんですね。」

骨抜きやカビ付けなどの工程を経て、カチカチの本節に仕上がるまでは6ヶ月。身近だった鰹節が、思っていた以上に手間暇かけてつくられていたことを知り、驚いた様子。

削り方によって異なる、6種類の削り節。

木村「料理によって、削り節の厚みで、うま味や香りを変える家庭も多いんですよ。」

この日見せてもらったのは「薄削り」や「厚削り」といった定番のものから、手巻き寿司などで活躍する「かつお節シート」など、6種類。削り器の刃の長さを調整することで、料理に合わせて使い分けできるのも、かつお節の魅力のひとつ。

step2. 自分の手で削ってみよう。

次は、削り器を使っての鰹節削りに挑戦。あの薄くて美しい削り節を、自らの手で生み出すことが果たしてできる?

間近で見る、はじめての鰹節削り。

木村「頭側の斜めの部分を台座にあてがうのがポイントです。」

削り器を使って鰹節を削るときは、尾側を斜め上に向けるのがコツなんだとか。力を入れやすく、鰹節が小さくなっても握りやすくなるそうです。

削り節が出てきて、小さく歓声をあげる。

小谷「あ、出てきた!」

くるんと巻かれた削り節が、次々に誕生していく様子に、ぱっと表情が明るくなる小谷さん。”スッ、スッ、スッ” リズムよく響く澄んだ音にも「こんな音なんですね。」と興味津々。

力の入れ加減に苦戦した、鰹節削り。

小谷「先生の音と、私の音の違いがすごいよ...」

木村さんのことを”先生”と呼び始めるあたり、いかにこの作業が難しいか伝わってくる。小谷さんの削り節は、木村さんのものと比べると、少し粉っぽい仕上がりに。ひとしきり削り終わった後は、「明日、筋肉痛だな。」とポツリ。

削った後の断面は、ルビーのような深い光沢に。

小谷「ここ、きれいな色ですね。」

苦戦した鰹節削りから一転、削った後の断面が気になって仕方ない様子。鉱物のように美しく輝く断面を、指先で撫でたり、香りを嗅いだり。目の付けどころも、小谷さんならでは。

step3. かつお節でだしを引いてみよう。

いよいよ本題へ。一番だしと二番だしを引き比べてみる。

一番だし。鍋に1リットルの湯を沸かし、かつお節30gを豪快に。

小谷「ぜ、ぜいたく…」

吸い物、みそ汁や茶碗蒸し、そばつゆなどにぴったりな一番だし。鍋いっぱいに投入されたかつお節の量に思わず目を丸くする小谷さん。1〜2分おいていると、たちまちキッチンにかつお節だしの芳醇な香りが立ち込める。

キッチンペーパーを使ってこすと、そこには澄み切ったシャンパンゴールドが。

小谷「この色味を見れば、もう身体にいいものだって分かりますね。」

一番だしは、豊かな味と香り、そして濁りのない琥珀色が特徴。引いただしをこす際は、えぐみが出ないように絞らないのがポイントだそう。

二番だし。一番だしを引く際に使っただしがらを使用する。

小谷「一番だしより工程は増えましたが、それでも簡単ですね。」

一番だしで使っただしがらに、今回はさらに「追いがつお」として新たなかつお節を追加。3~5分間煮出してこした後、二番だしではここで軽く絞るのが、うま味を引き出すコツ。

ものの10分ほどで、2種類の鰹だしが。

小谷「ほんと、あっという間でしたね。これだと料理に合わせてだしを使い分けるのも、簡単そう。」

だしを引くことに対して「手間がかかる」イメージが強かったという小谷さん。思いのほか簡単に、2種類の鰹だしを引き分けることができ、ちょっと興奮気味。

step4. 一番だしと二番だしを、比べてみよう。

最後は、先ほど自分の手で取り分けた2種類のかつお節だしを比較してみる。味や香りの違いはいかに。

見た目はそっくりな、一番だしと二番だし。

木村「引きたてのだしのお味はいかがですか?」
小谷「濃いです。すごいしっかりと味が出てる。鰹節って、特に味付けとかはされてないんですよね?」
木村「そうなんです。人工的には真似できないうま味とコクこそ、かつお節だし本来の魅力だなと思っています。」

風味の異なる、2種類のかつお節だし。

木村「一番だしと二番だし、味や香りの違いはいかがでしょう?」
小谷「一番だしは香りがしっかりしてるけど、味が少し薄いかも。二番だしはその逆で、味がすごいです。」
木村「はい、かつお節だしはとても繊細なので、うま味はゆっくり追いかけてきます。一番だしはお吸い物にぴったりで、二番だしは煮物などより味付けを伴う料理で活躍しますね。」

だし引き体験を終えて。

彼女の夢中になれる趣味が見つかるまで続くこちらの連載。裏返すと趣味が見つかると即終了!とも捉えられる企画だが、今回は果たして?

だしがらを使った、ふりかけの調理方法も教わる。

小谷「昆布を使ってだしを引いたことはありましたが、かつお節ではだしを引いたのは初めてでした。かつお節だしって、あれだけの量のかつお節を使うわけじゃないですか。どこかで、もったいないなと感じていたのかもしれません。今回はだしがらを使った、ふりかけの調理方法も教えていただいて、かつお節を余すことなく使う方法を学べました。かつお節だしを引くこと、続けてみたいなと思いましたね。」

かつお節だしを試飲後、「これだけで、ご飯何杯かいけちゃいそう。」とひと言。

小谷「これは単なる“趣味”ではないですね。時間もかからず、工程もかんたんだったので、日常の当たり前にしたいなと。鰹節と削り器をそろえて、つくる料理によってだしを引き分けられるようになりたいです。」

ということで連載は、無事に継続!

最後は「はーい、おだし!」の合図でパシャリ。

想像以上に簡単にかつお節だしが引けたことに驚いたという小谷さん。後日、「削り器買っちゃいました!」と嬉しそうな表情で話してくれました。彼女の趣味探しの旅はこれからも続きます。

今回、教えてくれたのは?

今回、先生として鰹節の製造過程や、だしの引き方を教えてくれたのは、〈にんべん〉経営企画部 広報宣伝グループ係長の木村絵里子さん。小谷さんが体験した鰹節削りは、一般のお客様も〈にんべん 日本橋本店〉にて、ご体験いただけます。詳しくは、店内の従業員までお声がけください。


〈にんべん 日本橋本店〉
■東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1 1階
■03-3241-0968
■10:00〜20:00
https://www.ninben.co.jp/honten/dashiba/

(photo : Hiromi Kurokawa , listener : Yuya Uemura)

小谷実由

次回は「餡づくり」を体験予定です。お楽しみに!

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