日比谷線に乗って…〈吉田パン〉と〈R baker〉
2018.12.03

花井悠希の朝パン日誌 vol.34 日比谷線に乗って…〈吉田パン〉と〈R baker〉

久しぶりに降り立った北千住駅、それはそれは大きな駅でした。駅ビルの便利さと、街に降りれば昔ながらのお店もあって、その対比が面白く心地よいです。そんな北千住で人気のパン屋さんがあると聞き、行くしかないと使命感に燃えて巡ってきました(誰に使命されたわけでもないけど)。

花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

花井 悠希
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変幻自在な素朴ガール…〈吉田パン〉

ルーツは岩手県盛岡市の〈福田パン〉で、亀有に本店がある東京のコッペパンブームの火付け役(!?)の〈吉田パン〉。2店舗目はここ北千住にあるんです。

「林檎(シナモンカスタード)」

まるまると美味しそうに太ったパンは、シミひとつなくパンと美しい焼き色(決してダジャレ狙ってません)。コッペパンはこうあるべきでしょ?と言わんばかりに、堂々としています。とりあえず目で愛でて(あ、またダジャレ…)ミルクコーヒーをすすったら、いざ。おっと。口に収まらないくらいの分厚さ。普通に開くとうっかり前歯が衝突してしまうので、いつもより大きな口を開けてガブリといきましょう。

はむっ。はしゃぎ出すリンゴジャム。リンゴがシャクシャクと小気味よく弾めば、にょーんとまろやかなカスタードがもたれかかかってきます。よーしよーしいい子だ(ムツ○ロウさん?)。ふわっと柔らかな生地だけど、KEEP ON 素朴さ。シュンと繊細に雪のように溶ける、とかそういうのじゃなく、誰しもが辿ってきたコッペパンの味も思い出させてくれます。コッペパンだもの、こうでなくっちゃね。ちなみに、袋を開けた時の香りがまたたまりませんよ。もっというと、袋に入れられ手に持った電車の中でも香ってきて、私だけじゃなく周りの人にも香りの愛想を振りまきまくるこの子。皆のお腹を空かせていたでしょう。

「シュガーレーズン」

こちらは想像以上にラムがしっかり効いています。林檎とは打って変わってグッとしまりのある味わい。だから一口目の印象からガラリと違います。コンデンスミルクの甘さに頼りすぎずキリッとたつラムが、コッペパンだけど素朴さの少し先をいっています。これはおかず系コッペパンでもまた違う表情を見せてくれるんだろうなぁ。私はまだまだ、コッペパンワールドの入口に立ったばかりのようです。

本もCDもパンも…〈R baker北千住店〉

こちらなんと〈TSUTAYA〉が運営しているベーカリーカフェ。なぜ〈TSUTAYA〉が!?という謎は残しつつ(解明は、しません)、店内はお客様がいっぱいで活気があり、地元に愛されているお店なんだなぁと心温まります。

「クロワッサンチョコレート」

このお店をオススメしてくれた「1966カルテット」のメンバー増田みのりさんがイチオシだったのがこの子。納得だー!クロワッサンのサクサクと、表面に薄く薄く塗られたチョコのパリパリ、その一体感に一口目から大・興・奮!そして生地の持つ塩気が出てくると、チョコレートの甘みと香りをグググっと底上げしていきます。

このクロワッサンは内側がしっとり且つ、気泡が大きいタイプなので、中に閉じ込められたアーモンドチョコが広がる余裕が残されていてこちらも相性の良さを感じます。あ、グルーヴ感っていうの?(だまらっしゃい)アーモンドのつぶつぶが弾けると香ばしさもプラスされ、バターの甘みも隙間からじわじわ満ちてきて…バランスの取り方が一級!

「ハニーフロマージュ」

温めて頂きました。薄くパリッとした表皮の先に進めば、糸をひくくらいのもっちり感が歯をそっと押し返してきます。この【そっと】がポイントなんです。表皮の軽やかさのおかげなのか、きっちりと押し返してくる強さはなくて、ずっしり密度高い生地感でもないから余白があって、程よい優しい押し返しです。おしくらまんじゅうみたいな?(漢字だと押し競饅頭って書くなんて知らなかったよ。)

熱で少し柔らかくなったクリームチーズが口内へそのコクと酸味を一直線に広げていく一方で、蜂蜜がのっそり顔を出す。この蜂蜜が出てきて、完結感が!蜂蜜のこってりした甘みがクリームの酸味を意味のあるものに昇華させておりました。この子もナイスバランスです。

「ヨーグルト酵母の食パン」

こちらもオススメされた一つ。焼く前に触れると、しとしとしと。雨に濡れひんやりとした空気のような憂いのあるしっとり具合です。もちっと系だときいていたので、存分に味わおうと厚切りにしてトーストしました。

皮はさっくり。ヨーグルト酵母によるものなのか、少し、ほんの少しだけヨーグルッペのような(もっといい表現あるだろうに…)爽やかな風味がヒラリと漂います。酸味まではいかないこの風味によって、しとしとモチモチ食感で甘みも重みもあるはずなのに軽やかです。弾力性の高さを繰り返し眺めていると、餅つきの打つ人と捏ねる人のようなリズム感を思い出しました。そうあの阿吽の呼吸を。噛んだらすぐに立ち上がってきてくれて、元どおりの厚みになったらまた私が噛み付く。その繰り返し。あれ、私餅ついてるのかな?と錯覚します(想像力豊かなタイプです)。爽やかさとしっとり食感、テンポ感の良さに魅了されて、無我夢中で食べている私がいました。

どちらのパン屋さんも親しみやすさがあったかくて、食べているうちに優しい気持ちになれますよ。冷たい北風についつい眉間にシワを寄せて歩いちゃうこの頃ですが(私だけ?)、こんな風に朝に優しい気持ちをリセットできたらいい顔で歩き出せそうです。

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花井 悠希

映画「ボヘミアンラプソディ」を観てから、1966QuartetのレパートリーでもあるQueenのナンバー弾きたくてたまらない!

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