看板が6カ国語表示の団地。
その町のうわさは、都内のおいしいベトナム料理店へ行くたび小耳にはさんでいた。「インターネットでも買えない現地の食材が、いちょう団地に行くとあるんだよ」。へー、ベトナムと団地?いわゆる「リトルトーキョー」的な海外コミュニティは日本にいろいろあるものの、ベトナムのコミュニティっておもしろそう。しかも、その場所は神奈川の高座渋谷駅……あまりにノーマークな駅過ぎて、「よーし、ベトナム行ってみるか!」と小田急線に飛び乗ったのでした。

|高座渋谷と渋谷って…まったく関係なし。|
新宿から1時間足らずで高座渋谷駅に到着。駅を出て歩き始めると、畑がたくさん……のどかだなあ。

|ベトナム野菜ではない模様。|

|先までずーっと団地!|
おっ、あの団地郡こそ「いちょう団地」なんじゃないの?

|全景が見えた!|
大正解~。っていうか、思っていたよりもかなり大きい団地なんですね。そもそもこの団地は40年ほど前に作られた県営住宅で、近くの大和市に東南アジアからの移民受け入れセンターがあったことから、この団地にも多くの外国人が住むことになったのだそう。

|日本語、カンボジア語、ベトナム語、中国語、スペイン語、英語|
ベトナム人だけでなく、ペルーや中国など11カ国もの人々が住んでいて、団地内の注意事項掲示も6カ国語!スペイン語はペルー人の方用ですね。

|6カ国分だけに巨大な看板。|
超ローカル食堂はフレンドリーな現地味!

|強烈に入りづらいけどゴー!|
団地内を抜けて、突然現れるのが1軒目のお目当て〈タンハー〉!すごい……なんだろう、このただよう手作り感。

|団地の社交場って感じ。|
店内に入ると、私たち以外は完全にベトナム人の皆様。でも「イラッシャーイ、ドウゾ!」と迎えてくれます。ほっ。大きなテーブルに座るのは、ご家族連れだったり、おじさんだったり……めいめいにおしゃべりをしていて、なんだかいい雰囲気!

|確かにネットにないものもありそう!|
店の壁すべてにベトナムの食材や商品がズラリ!何に使うものかぜんぜんわからないものばかり……。

|青パパイヤは当然のようにある。|

|ベトナムも箸とごはんの国の人だもの~♪(古い)|

|日本のビールとベトナムビールが仲良く並ぶ。|

|名もわからないベトナム野菜。|
こちらは雑貨店でもあり、食堂でもあるのです。しかもメニューの種類が半端ない!

|分厚いメニュー!日本語版もある。|

|意外とベトナムビールは1種のみ。|
私はベトナムのビール「333(バーバーバー)」、友人Yはパイナップルシェイクでカンパーイ!(「この果物ジュースはフレッシュなのか?」と粘り強く聞くY……笑。やっと日本語が通じて、「フレッシュなのとパックジュースとミックス」だそう)。

|ピーナッツがいい仕事!|
前回のベトナム旅行で食べ損ねた「ボーラーロット」。牛ひき肉の団子をしそで巻いて焼いたようなメニューですね。ピーナッツたっぷり。きゃー、うまーい……!

|とにかくハーブ命で!|
「クセがあるけど大丈夫?」と念押しされて頼んだ麺類「ブンマム」。えび味噌入りの米麺…だそうですが、たしかに強烈な発酵臭!好き嫌いがかなりあるスープかもしれません。私も一瞬「!」と思ったけど、添えてあるミントやどくだみ、空芯菜(くるくるしているやつ!専門のピーラーがあるのです)、レモンを搾って加えると「わー、ベトナムの味だ!」となりました。さすがハーブの国ベトナム!

|カロリー爆弾、最高。|
もう少しつまみっぽいのが食べたくて「ヤーガー」。とり皮のから揚げですね。でも!下味が完全にヌオックマム(ベトナムの魚醤)+香菜バサッ!うー、これはたまらんわ……エンドレスで食べ続ける我々。もっと食べたいけど、まだハシゴをしなくてはなので腹5分目にて終了!次は大人数できていろいろ食べてみたいなあ。
バインミーを食べに雑貨屋へ!

|これまたパンチのある外観。|
テクテク歩いて次のお店〈金福〉へ。こちらは雑貨店兼バインミー(ベトナム風バゲットサンド)のお店。めちゃうま自家製ハムをはさんでくれるらしいのです。わーい、たのもー!

|ベトナム食材てんこもり|
んが、店のお姉さんいわく「キョウハ、ウリキレ」。ガーン!!!!

|まさにベトナムの屋台ディスプレイ。|
あきらめきれず、「ハムだけ見せて」とお願いして、厨房に入れていただきました……。

|皮がカリッカリ!|
わー、完全手作りらしいですよ。コレ入れたらおいしいだろうなあ(涎)。

|パンの仕入先に衝撃。|
あまりにもしつこく見ていたためか、「ヨヤクノブンダケド」と半笑いでパンも見せてくれました。おお、確かにベトナムで食べるバインミーのサイズ!「これ、どこで買ってるの?」と聞いてみると、「イオン」。えっ!?もう1回聞いても「イオン」。……てっきり、「街の中にベトナム人のパン職人がいる」的な返事を期待したので、若干拍子抜けでしたがウケました。本当に駅前の、あのスーパーなのか??(ちなみに帰りに寄ってみましたが、それらしきものはなし。特注!?)
残念がりつつ、この並びにある〈サイゴン〉へ。
都内にほしいと願う本格レストラン。

|おお。確かに普通の店っぽい。|
うわさでは、この街の中で一番レストランぽいレストランだそう。これまでの2軒は完全現地仕様だったもんな……。

|「Pho」の壁飾り……。|
とはいえ、やはり店内はベトナム人のみ!きちんとしたメニューがあり、メジャーどころからレアものまでそろっております。

|ココナッツミルクがポイント!|
まずは、たこ焼きのような器具で作る「バインコット」。わー、これ大好きなのですよ……ターメリックが入った黄色い生地をカリッと丸く焼いて、ココナッツミルクをかける。海老とか肉とかの上に甘いソースってのがおもしろい。

|この食感が好きすぎる……。|
ベトナム風蒸し春巻き「バインクオン」。これも、ぷるんぷるんのクレープのような生地がたまらない。中にはヌオックマム風味できくらげ入りのそぼろがたっぷり。

|これぞ魅惑の一皿メニュー!|
がっつり甘辛いスペアリブがのったごはん。目玉焼きがついているから、つい頼んでしまった…(←卵好き)フライドエシャロットの香ばしさもよく合うなー。いい加減、おなかいっぱいなので、食べ切れないものは包んでもらいます。

|独特なお店のラインナップ。|
あー、食べた食べた。腹ごなしついで寄るなら「いちょうマート」という集合商店へ。この中には、ベトナム以外の各国食材店が入っているのです。

|カンボジア。隣だから食材も似ています。|

|中国のお菓子専門店。マニアック!|
もちろん日本人も見かけるし、外国語が飛び交う風景が日常なことがよくわかる。
なんだか楽しい町だなあ~。
徒歩10分ほどで駅に着けば、そこはいつもの小田急線のホーム。でも服や髪には、ほんのりアジアの香り…。まるで、ちょっと海外へ旅してきたような気分を味わえた1日なのでした。
次回は11月15日(水)更新予定。お楽しみに!