『伊藤家の晩酌』~第二夜4本目/洞窟の中でじっくり寝かせた熟成酒「熟露枯 山廃純米吟醸 五百万石」~
2019.09.08

娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第二夜4本目/洞窟の中でじっくり寝かせた熟成酒「熟露枯 山廃純米吟醸 五百万石」~

弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?4本目は洞窟の中で熟成させたという珍しい日本酒を。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

伊藤 ひいな / 唎酒師

「東京生まれの22歳。大学入学時から割烹料理店でアルバイトをはじめ、20歳のお酒の解禁とともに日本酒にハマる。唎酒師の資格を取得し、現在は〈東京ミッドタウン日比谷〉3階の割烹〈三分亭〉にてアルバイトをしながら、日本酒の知識を増やすべく、邁進中。父はHanakoをはじめ多くの雑誌で引っ張りだこの人気フォトグラファー、伊藤徹也。酒好き気質は間違いなく父親譲り!」

伊藤 ひいな
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今宵4本目は、3年熟成の濃厚な旨みを堪能。「熟露枯(うろこ) 山廃純米吟醸 五百万石」

「東力士」でおなじみ、栃木県那須烏山市の島崎酒造が手がける熟成酒。洞窟で3年寝かせた「熟露枯 山廃純米吟醸 五百万石」~720ml 1620円(ひいな購入時価格)/島崎酒造

娘・ひいな(以下、ひいな)「今回は、ちょっと珍しいお酒だよ」
父・徹也(以下、テツヤ)「ラベルの『洞窟酒』って言葉がインパクトあるねぇ」
ひいな「『熟露枯』と書いて『うろこ』と読むよ」
テツヤ「難しい(笑)」

島崎酒造では、洞窟酒蔵見学も可能(要予約・無料)。「オーナーズボトル」というシステムでは、最大20年間もの間、日本酒を熟成させることができる。

ひいな「栃木県に蔵があるんだけど、一番有名なお酒が『東力士』で、『熟露枯』は洞窟で寝かせた熟成酒の名前なの。第二次世界大戦末期に戦車を組み立てるために作られた地下工場跡地が洞窟として残っていて、そこで熟成させてるんだって」
テツヤ「天然の保冷庫ってことだな」
ひいな「年間平均10度くらいで安定してるから熟成させるのにいいみたい。こないだ、その洞窟に見学に行ってきたの。ここすごくおもしろくて、洞窟の中でライブをしたり、落語をしたり」
テツヤ「お酒に聞かせてるのかな? どっかの島でも焼酎を海底で寝かせてるところがあるんだよね。波の揺れがちょうどいいんだろうな」
ひいな「それに一定した温度が、お酒をまろやかにおいしくしてくれるんだろうね」
テツヤ「お酒って、本当に奥深いね」

テツヤ「今回はさ、ずっと使わずにしまってた九谷焼きのおちょこを使ってみようよ」
ひいな「もらいもの? どれもこれもかわいい〜♡」
テツヤ「そう、もらったらしいんだけどずっと忘れさられてた(笑)。いつかこうやって使われる日を待ってたんだね(笑)」
ひいな「やっと日の目を見たね!」

「熟露枯 山廃純米吟醸」に合わせるおつまみは「とうもろこしのから揚げ」

小麦粉をつけて、低温でじっくり揚げると、茹でとうもろこしよりも甘みが引き出される。仕上げに塩を振って。

ひいな「熟成酒に合わせるのは、とうもろこしのから揚げだよ。甘みとコクの中にも酸味がきちんとあるから油分をさらっと流してくれるかなと思って」
テツヤ「おぉ! 色がやっぱり熟成してる色だね」
ひいな「3年間、洞窟で貯蔵してるんだって」
テツヤ「どんな味なのか気になる!」
テツヤ&ひいな「じゃ、さっそく! いただきます!」

(クイッと盃を開ける2人)

テツヤ「うわっ。今日の4本の中ではまったくの別ジャンルだね。紹興酒みたい」
ひいな「うん、まろやかで濃厚だよね」
テツヤ「とうもろこしもうまく揚がってるね。茹でたとうもろこしよりもうまいかも!」
ひいな「小麦粉をつけて揚げただけなんだけど、低温でじっくり揚げたから甘みが抜群だね! おいしい!」
テツヤ「とうもろこしのヒゲってさ、粒の数とイコールだって知ってた?」
ひいな「え〜〜〜!!! 知らなかった……」
テツヤ「でしょ?(笑)」

熟成酒を飲んで、とうもろこしをかじる父・テツヤ。口内調味にハマる。

ひいな「これもぜひ口内調味してみて」
テツヤ「あぁ、だんだんわかってきた。酒は調味料ってことなんだな」
ひいな「どう?」
テツヤ「うまい! この旨みと酸味がとうもろこしの甘みと油分に合うね〜! 常温だから余計に感じるのかも」
ひいな「これは冷酒じゃなくて常温か燗だなと思って。山廃の酸味と熟成させたまろやかな感じが合うでしょ?」 
テツヤ「山廃ってそもそも酸味が強いイメージがあるけど?」
ひいな「うん、独特の酸味があって、お酒の個性が出るね」
テツヤ「山廃ってよく聞くけど、昔の製法なわけでしょ?」
ひいな「そう、昔は生酛(きもと)造りが基本の醸し方で、それを改良したのが山廃」
テツヤ「なるほど。生酛でもない、山廃でもない、普通のお酒はどういう製法なの?」
ひいな「90%くらいのお酒は“速く醸す”と書いて速醸(そくじょう)って言うんだけど、人工的に乳酸を入れて発酵を促しちゃうの」
テツヤ「速く醸すってどういうこと?」
ひいな「生酛とかの半分くらいの速さで発酵させるから、通常は3週間のところを2週間ぐらいでお酒のもとになる酒母というものができちゃうの。日本酒の生産量のうち山廃が約9%、生酛が約1%くらいしか造られてないって言われてる」
テツヤ「そりゃ少ないね。手間がかかるんだろうな。日本酒好きな人のなかには、『山廃と生酛しか飲まない』って人もいる?」
ひいな「そうだね、中にはこだわる人もいるだろうねぇ」

テツヤ「昔は、生酛造りしかなかったの?」
ひいな「そう、生酛しかなくて、山廃は『山卸し』っていう米をすりつぶす作業をやめたから(廃止した)から『山廃』って言うの。個人的には山廃のお酒が好き」
テツヤ「俺もこれ好きかも。コクがあるんだけど、するする飲めちゃう」

日本酒との出会いは一期一会!毎年違うお酒に出会える喜び

長文で書かれた商品説明をまじまじと読む父・テツヤ。日本酒の奥深さに開眼?

テツヤ「今回の4本は味もジャンルもいろいろあってユニークだったね」
ひいな「1本目の『ピンクのかっぱ』だけ純米酒で、ほかの3本は純米吟醸だったんだけど、いろいろな純米吟醸があっておもしろいよね」
テツヤ「製法とか米とかで味が全然違うもんね。山形、高知、神奈川、栃木と都道府県もバラバラだったし」
ひいな「わざとそうしてみた」
テツヤ「夏の日本旅行みたいで楽しかったね」
ひいな「20歳になった時、日本にはこんなに日本酒がたくさんあって、本当に幸せだなぁと思ったんだよね」
テツヤ「俺さ、ワイン好きだけど、名前が覚えられないんだよね(笑)。でも日本酒は比較的覚えやすい」
ひいな「いろんなことを知るともっともっと日本酒が楽しくなるよ」
テツヤ「ワインも同じだけどさ、ほんと一期一会だよね。今年のお酒は来年も同じとは限らないし、限定のものも多いし」
ひいな「うん、その時その時が出会い時だと思う」
テツヤ「でもさ、日本酒ってずるいよね、味がぶれてもいいわけじゃない?」
ひいな「今年はこういう味になりましたよ、っていうね」
テツヤ「いいなぁ、そういうの。大好き♡」
ひいな「日本酒にだんだんハマってきたね」
テツヤ「うん、完全にハマってる」

伊藤 ひいな

「東力士」も大好きだけど、洞窟酒の「熟露枯」は島崎酒造の奥深さを感じました!

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