私たちに必要なこと、エネルギー問題について考えてみよう。 SUSTAINABLE 2023.05.26PR

SDGsの観点や生活者の立場から、エネルギー問題については個々が主体的に向き合っていく必要があります。
その手がかりになる、みんなで知って考えることを提唱している〈生団連〉の発信をご紹介します。

INDEX

暮らしの中で避けて通れない、原子力発電の問題。

生団連

電気がないと、現代の私たちの暮らしは成り立たない。電気は、私たちの生活基盤であり、その安定供給は最重要課題のひとつだ。誰もが必ず使う電気だからこそ、ひとりひとりが自分の問題として考えることが大切になる。考えるために必要なのは正確かつ公正で中立的な情報。それを提供してくれるのが〈生団連〉という団体だ。

エネルギー問題を考える時に、避けて通れないのは原子力発電の問題。日本の発電のメインだった火力発電は、近年の脱炭素の潮流を受けたカーボンニュートラル宣言により、転換を求められている。燃料になる石炭を輸入に依存していることも安全保障上問題がある。再生可能エネルギーも、気候などの自然条件に左右されやすく、大規模開発による環境破壊などもあり良いことだけではない。日本は東日本大震災までは、火力発電と54基(2010年時点)の原発の稼働により安定した電力供給ができていたが、福島第一原子力発電所の事故以降で再稼働に至ったのは10基(2023年3月現在)。老朽化による火力発電所の休止や廃止も相まって、夏や冬のピーク時には電力逼ひっ迫ぱくという事態で、エネルギー問題が深刻化している。

そこで日本政府は、原発を最大限に活用することを2023年に決定。福島第一原発の事故以降、原子力発電の活用について明言を避けてきた政府だが、原発の活用に大きく舵を切った形になる。しかし、原発活用については多くの必要な議論が山積。〈生団連〉は、日本のエネルギー政策、特に原子力発電に対して国民により深く知り考えてもらえるよう、情報発信に取り組んでいる。原発に関する議論が感情的な「賛成」・「反対」の二分論に陥りがちなのが大きな課題と考える生団連は、多くの情報と最新データについて緻密な調査と研究を行い、その結果を俯瞰的かつ中立な視点でまとめた『原発問題〜「ファクト」集』を刊行。動画での情報発信も活発に行っている。
 
原発問題に関して、賛成か反対のどちらかを決めてしまうと、一方の情報しか入らなくなるが、それでは結論ありきの議論になってしまう。メリットとデメリットや問題点を自分で知り、自分で考えて判断することが私たちには求められている。

原発が抱える課題で知っておきたい3つのこと。

1.処分地が未確定なままの放射性廃棄物への懸念。

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原発に関する最大の懸念が、放射性廃棄物の処分地の問題。各原発敷地内に保管されている使用済み核燃料について、国はガラス原料を混ぜ合わせ安定化させた高レベル放射性廃棄物とし、人間の生活環境に影響が出にくい地下300m以上の深さに厳重に格納し埋設する“地層処分”を計画。しかし、その処分地はいまだ決定していない。処分地の確定までには様々な調査が行われ安全性が確認される必要があり、候補地の首長の合意も必要。“地層処分”実現には、処分地選定が最短で進んでも30年以上かかるとみられている。地上での保管は環境流出や災害時、テロなど安全保障上のリスクがあり決定が急がれる。

2.技術的に実現性の低い、核燃料サイクル推進の可否。

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日本は原発の燃料になる天然ウランの調達を海外に依存しており、エネルギー自給の観点から、使用済み核燃料を処理して再度発電に利用できる核燃料サイクルの実現を目指してきた。発電しながら燃料を増やせる高速増殖炉がこのサイクルの要となるが、「高速増殖炉もんじゅ」の事故による廃炉で、その実現は遠のいた。使用済み核燃料の処理も今は海外に依存している。核燃料サイクル実現の技術はまだ確立されておらず、多額の追加費用が必要となり、断念するにもこれまでの多額の費用の責任が問われることとなる。いずれにせよ、これらの費用はすべて国民負担であることを知る必要がある。

3.長く険しい道のりな、 福島第一原発の廃炉。

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事故を起こした福島第一原発は廃炉作業が進んでいるが、世界的に例を見ない作業は難航し、50年以上かかることが予想され、廃炉完了の見通しは立っていない。事故によって発生した燃料デブリに接触し汚染された雨水や地下水は、多核種除去設備(ALPS)によってトリチウム以外の放射性物質は除去され、ALPS処理水として敷地内に保管されている。保管容量はすでに逼迫状態にあり、これを安全性が確認された濃度にまで希釈し海洋放出する方針が国によって決定された。しかし、海洋放出される処理水の影響を心配する声は多く、丁寧な安全性確認とその情報開示による国民への説明が求められている。

illustration : Shoko Kawai text : Riko Saito

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