井澤詩織さんのおすすめ 『 珈琲いかがでしょう 』
MAX5巻!一気読みできるマンガ#1 CULTURE 2023.05.12

「絶対面白いのだけど巻数が多すぎて薦めづらい」漫画ってありますよね。そこで1日で一気読みできる「MAX5巻までの作品」を各界の漫画好きがリコメンド。夜や週末の予定が空いたときなどぜひ。

人生にいきづまった人たちを救う、移動珈琲屋さんの彼の秘密とは?

移動珈琲屋さん〈たこ珈琲〉の店主・青山一。彼の淹れる珈琲は、様々な理由で疲れてしまった人々の心をほぐしていく。テレビドラマ化もした人気作。(マッグガーデン/新装版 上巻1,045円、下巻1,012円)
移動珈琲屋さん〈たこ珈琲〉の店主・青山一。彼の淹れる珈琲は、様々な理由で疲れてしまった人々の心をほぐしていく。テレビドラマ化もした人気作。(マッグガーデン/新装版 上巻1,045円、下巻1,012円)

作者のコナリミサト先生の代表作といえば、テレビドラマ化もされた『凪のお暇』ですが、今回紹介したいのは、それ以前に発表された『珈琲いかがでしょう』です。

物語は、移動珈琲屋さんを営む青山一と、彼を取り巻く人たちの交流を描いた群像劇。一生懸命なのに周囲に認めてもらえない不器用なOL・垣根志麻をはじめ、個性豊かな人物がたくさん登場します。キャラ設定はもちろん、コナリ先生らしいリアルな描写もポイント。1話完結型とは思えないくらい作り込まれたストーリー展開なので、解決したと思ったら二転三転。予想していても大体覆されます。お気に入りの人物は、下巻に登場する、夫からモラハラを受けて家をとび出してきた女性とその息子。追い詰められた女性が、口癖のように発する「私ちゃんとしますから」の言葉は胸にずしんときて、印象に残っています。

そして、青山の壮絶な過去も徐々に明らかになります。なぜ彼は珈琲に魅了され、移動珈琲屋さんを営んでいるのか。途中、追っ手が現れるなど、ハラハラする展開が待っていますが、納得のいく終わり方なので消化不良にはならず、最後はほっとするはず。

もちろん、珈琲についてもしっかり描かれています。青山直伝のおいしい珈琲の淹れ方はもちろん、登場人物それぞれのお気に入りレシピは物語のスパイスに。私は普段ブラック派ですが、コンデンスミルクやココアを加えたアレンジレシピは真似したいなあと思いました。ベタですが、珈琲片手に読んでほしいですね。

photo : Hikari Koki text & edit : Moe Tokai

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