いいね!は社会の映し鏡。 カルチャー発ソーシャル行Meet #9/
餅ばあちゃんが教えてくれたこと+おうちへ帰ろう CULTURE 2023.02.20

映画、小説、音楽、ドキュメンタリー…あらゆるカルチャーにはその時代の空気や変化が反映されています。そんな「社会の写し鏡」ともいえる、秀逸な作品を編集部Sが紹介。

ときには、「効率」と「損得」から離れてみません?

2021年からNHKオンデマンドに加入している。新旧約一万本の番組が観られる、という(もはや)恐ろしい代物で、最初は『おしん』や『独眼竜政宗』などの名作ドラマも観ようとしたが、あまりの量に断念。好きなドキュメンタリーに絞って観ているのだが、次々と新番組がアップされ、もはや大食い選手権のわんこそば状態。そんな私が2022年に観たドキュメンタリーから2つ作品をご紹介。

まず、ETV特集『餅ばあちゃんが教えてくれたこと』。青森で30年間笹餅を作り続ける(自分で山に行き笹の葉を集めている)桑田ミサオさん94歳の日常に密着。毎日新鮮な気持ちで手間と時間をかけ、餅を作る姿に心打たれるのだが、中でもハッとさせられた言葉が「仕事が仕事を教えてくれる」。効率化と利益の最大化に追われる現代で、目の前の仕事に真摯に向き合うその背中は神々しい。

『餅ばあちゃんが教えてくれたこと』/「十本の指は黄金の山」。母の教えを胸に笹餅を作り続けてきた「餅ばあちゃん」こと桑田ミサオさんの2年間を記録。石橋静河さんの静謐なナレーションも味わい深い。(NHK)公式サイトダイジェスト

餅ばあちゃんが教えてくれたこと

もう一本はETV特集『おうちへ帰ろう 障害のある赤ちゃんの特別養子縁組』。障害児の特別養子縁組を進めるNPO法人を運営する夫婦の物語。彼ら自身もダウン症の子供を養子として迎えている。実親、子、里親…。それぞれが精一杯生き、ときに苦渋の別れをし、ときに新しい家族を作る。「おうちへ帰ろう」というタイトルが素晴らしく、番組全体を光り輝かせている。

『おうちへ帰ろう 障害のある赤ちゃんの特別養子縁組』/様々な事情で親が育てられない障害児を特別養子縁組で新たな家庭につなげるNPO法人、みぎわ。代表を務め、牧師でもある松原宏樹さんの活動を追う。語りは永作博美さん。(NHK)公式サイト

おうちへ帰ろう 障害のある赤ちゃんの特別養子縁組

一年間、忙しく走り抜けた皆さん、時間のある年末年始はドキュメンタリーはいかがですか。

[今月の担当]編集部S/正座して観ているドラマ『エルピス』と電気グルーヴのドキュメンタリー、どちらも大根仁さんらしい筋の通った作品であることに圧倒的納得。Twitter:@bakatono72

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