地域のみんなと始めた「タマリバタケ」 今、”農”を通じて都会で紡いでいきたいこと|モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around MAMA 2022.02.08

去年の秋から、地域の仲間たちと畑を始めました。その名も「タマリバタケ」。敷地の半分で野菜を育てて(ハタケ)、残りの半分はみんなで自由に集う場所に(タマリバ)。
そんな、地域の人たちにとっての憩いの場を作ることになり、わたしもひょんなことからその運営に携わることになりました。

この企画に置いて注目すべき点は、世田谷区との協働事業であること。そもそもその場所自体が世田谷区の所有地で、友人たちが「おもしろく活用したい!」と手を挙げて始動したプロジェクトなのです。

初めて現地に足を運んだのが去年の夏のこと。住宅地の中に突如出現する空き地なのですが、事前に聞いてはいたものの草の生い茂り方にびっくり! 本当にここが畑になるの? って不安になるくらいに草がボーボーなのでした(笑)。

それから、運営メンバーでオンラインミーティングを重ねて、世田谷区には草刈り&入口の階段を設置してもらって、2021年10月末に晴れて現地での活動がスタート。ま、とは言えなにもない状態からの始まりです。
毎週土曜日の10時からお昼ごろまでを作業時間に設定して、みんなで畑にする場所をせっせと耕して(思った以上に大変!)物置を組み立てて設置して(思った以上に真っ直ぐ立たない!)、少しずつそれらしい空間になってきました。

スタートから2週間後、ついに 仲間が事前に育ててくれていた苗をみんなで畑に植えました。一気に畑の雰囲気が増して俄然テンションもアップ! 

そして、近所の精米店の米ぬかとラーメン屋さんの魚粉をゲットして、耕したときによけておいた雑草や根っこたちと混ぜて、堆肥づくりにもチャレンジしました。
廃棄されるはずのものが畑に使う堆肥に生まれ変わるだなんて、恥ずかしながら今まで想像もしたこともなかったわたし。その循環の仕組みを知って、ひとりしずかに胸を熱くしたのでした。

そんなタイミングで、前回のコラムで登場した”暮らしmarche”のゆうかさんにも出会いました。
今、タマリバタケに参加している仲間たちの間では空前のコンポストブーム。家庭でも気軽に始められるLFCのフェルト素材のコンポストが大人気です。
いずれは各家庭の生ゴミから生まれた堆肥を集めて、みんなで野菜を育てたいなぁと夢が膨らみます。

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さて、そのあとはタマリバを充実させるべく、ベンチやテーブルをDIY。板を何枚もカットして組み立てて釘を打ち込んでニスを塗って。
そんな一連の流れを見るのも新鮮で、子どもだけでなく大人たちにとっても刺激的な経験でした。

ちなみに、この活動はどなたでも参加ができるのですが、当初どうやってみんなに周知していくかは課題の一つでした。
最初に浮かぶのはもちろんSNSなのですが、たとえば年配の方でSNSを使わない方もいるかもしれないし……。と、地域の回覧板、ポスターなども併用して広めていくことに。

そしたら意外と、世代問わず後者で知ってくれる方も多くて、アナログの良さも再認識。
たまたま作業しているときに前を通りかかってそのまま参加してくれる方もいたりで、今ではかなりたくさんの方にタマリバタケに足を運んでもらえるようになりました。

わたしはここで出会った自分の親くらいの年齢の女性と仲良くなって、先日も夫も連れて彼女のお家にお茶しに行ってきました。
気付いたら3時間以上も話し込んで、なんなら一緒に旅する約束までして、もう完全なるマブダチです(笑)。まさかタマリバタケを通じてご近所に年配のお友だちができるだなんて。
とってもうれしいし、まさにこの時代に必要な繋がりだと思いました。これから、タマリバタケが地域の繋がりをもっともっと広げてくれるといいな。

最近は秋に植えたカブや大根、ほうれん草などが収穫できるようになって、現地でみんなで味見するのも楽しみに。
そうそう、意図しない畑の斜面にふきのとうが生えていたのにはびっくり! 持ち帰って、よく遊びに行く気仙沼で初めて食べさせてもらって、そのおいしさに感動した"ばっけ味噌"(ふきのとう味噌)をさっそく手作りしました。
自画自賛だけどとってもおいしく仕上がって、タマリバタケ仲間に思わず差し入れしちゃったほど。

都会暮らしをしていると無意識に"当然"のように感じてしまうことって多々あって、たとえば「野菜はきれいにビニールに包まれているもの」「ご近所付き合いは希薄なもの」などなど、今までなんの疑いもなく当たり前に過ごしてきました。
それが、タマリバタケやそこに関わる仲間たちと出会ったことでわたしの暮らしは一変。食にも人にもストーリーを感じられると、日々がより満たされることを知りました。
なにより、地域に「〇〇さん」と名前で呼べる人が増えることほど豊かなことってない! そう確信したからこそ、タマリバタケを通じてもっともっと都会の可能性を広げていけたらいいなぁって思います。

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