妊娠初期の過剰摂取に注意が必要なのは、ビタミン〇!! MAMA 2021.02.18

妊娠中に注意が必要な栄養素として、葉酸や鉄分は聞いたことがあると思います。妊娠中はお腹の赤ちゃんの分までしっかり栄養をとらないといけないので、普段の食事以外にサプリメントで栄養を補給している人も多いと思います。

葉酸や鉄分と一緒にマルチビタミン等のサプリメントを摂取している場合は、どんなビタミンの種類が入っているのか注意する必要があります。なぜなら、過剰摂取により胎児に影響を及ぼすビタミンがあるからです。

ビタミンとは?

2- (1) ビタミン

そもそもビタミンとは5大栄養素の一つで、体の調子を整える機能があります。 ビタミンは脂溶性(ビタミンA、D、E、K等)と水溶性(ビタミンB、C、葉酸等)に分けられ、適量を摂取することで健康保持に役立ちますが、不足することで欠乏症になったり、逆に過剰症でも健康被害を及ぼすことがあります。

妊婦が注意すべきビタミン

3- (1) ビタミン

妊婦が過剰摂取することにより胎児に影響を及ぼすビタミンとは、ビタミンAです。

ビタミンAはレバーやうなぎ等の動物性食品に含まれるほか、プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)として緑黄色野菜や果物などの植物性食品にも含まれています。

ただし、植物性食品に含まれるプロビタミンAについては、体の中でビタミンAが不足したときのみ、プロビタミンAから必要な分だけビタミンAに変換されることから、過剰症にはならないと言われています。

そのため、妊婦が注意しなければならないのは、動物性食品に含まれるビタミンAです。

ビタミンAの欠乏症と過剰症

4- (1) ビタミン

ビタミンAは不足しても欠乏症が起き、取りすぎても過剰症になってしまうため、適正量を知る必要があります。

ビタミンAが欠乏すると、夜盲症が起こり、その後結膜・角質乾燥症に進行し失明する恐れがあります。その他、感染症に対する抵抗力が低下します。

逆にビタミンAを摂りすぎると、腹痛、嘔吐、めまい、全身の関節や骨の痛み、皮膚乾燥、脱毛、食欲不振、体重減少などが知られています。また、妊娠初期にビタミンAを摂りすぎると、胎児奇形のリスクが高まると言われています。

つまり、ビタミンAは摂らなくても摂りすぎてもリスクがあるので、適正量を知り摂取することが大切なのです。

ビタミンAの適正量と上限値

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、年代別に推奨量と上限量を示しています。

18~29歳の女性:推奨量は650µgRAE/日、耐用上限量2700µgRAE/日

30~64歳の女性:推奨量は700µgRAE/日、耐用上限量2700µgRAE/日

※妊娠後期のみ付加量+70µgRAE/日

※ビタミンA量はレチノール活性当量(µgRAE)で示しています。

このように年代別に推奨量と耐用上限量が決まっていますが、妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する女性は、妊婦の推奨量を超えないように注意することが重要です。

ビタミンAを多く含む食品

5- (1) ビタミン

では具体的に動物性食品に含まれるビタミンAの量を見てみましょう。(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋)

・鶏レバー(生):14,000µgRAE/100g

・豚レバー(生):13,000µgRAE/100g

・牛レバー(生):11,000µgRAE/100g

・うなぎのかば焼き:15,000µgRAE/100g

・ほたるいか(ゆで):1,900µgRAE/100g

・ぎんだら(生):1,100µgRAE/100g

・あなご(生):500µgRAE/100g

・全卵:130µgRAE/100g

・プロセスチーズ:240µgRAE/100g

・牛乳:38µgRAE/100g

卵や牛乳、チーズを普通に食べている分には気にする必要はなさそうですが、レバーやうなぎのかば焼きは特にビタミンA量が多いので、レバーやうなぎが好きな方は少し控えた方が良いかもしれません。とは言え、うなぎのかば焼きやレバーを毎日食べ続ける人はいないと思います。

1日単位で考えるのではなく、1週間単位で摂取した栄養素を考えれば、通常の食事でビタミンA過剰摂取になることは少なそうです。

注意が必要なのはサプリメント

6ビタミン

例1:A社の1日分のビタミンドリンク1本にはビタミンAが770µg含まれています。(推奨量の1.1倍)

例2:B社のマルチビタミン1粒にはビタミンAが92~921µg含まれています。(推奨量の0.1~1.3倍)

例3:C社のスーパーマルチビタミン&ミネラル1粒にはビタミンAが1200µg含まれています。(推奨量の1.7倍)

どの製品も、妊娠を希望する女性や妊娠中の方にとっては推奨量を超えてしまっているので注意が必要です。

ただし、β‐カロテンやカロテノイドと表示されていれば、植物性由来のビタミンAのことですので心配はいりません。

まとめ

7ビタミン

ビタミンAは欠乏症も過剰症もあるので注意が必要なことは分かりましたが、実際毎日の食事で栄養計算をすることは難しいですよね。また、あまり神経質になりすぎて食事管理がストレスになってしまうのも良くありません。

様々な食材を食べる食生活をしていれば問題になることはありませんので、あまり気にしすぎることのないように、以下のことに注意しながら妊婦生活を楽しんでください。

1.緑黄色野菜や果物等の植物性由来のビタミンA(プロビタミンA)は過剰症にはならないので、バランスよく食べましょう。

2.レバーやパテのようなレバー製品、うなぎ等のビタミンA含有量の多い動物性食品には注意が必要です。

3.レバーやパテのようなレバー製品、うなぎ等は週1回以内に抑えるようにしましょう。

4.ビタミンA(β‐カロテン、カロテノイドを除く)を含むサプリメントを摂らないようにしましょう。

内閣府食品安全委員会:ファクトシート「ビタミンAの過剰症による影響

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