妊娠後期の減塩ごはんⅡ「野菜と魚介だしのトマト鍋 シメのトマトリゾット」 MAMA 2021.11.04

前回に引き続き、妊娠後期の減塩ごはんをご紹介します。

妊娠後期は妊娠前と比べて1日あたりのエネルギーは+450kcal、たんぱく質は+25g、鉄分は+15㎎、葉酸は+240μgも多く摂取する必要があります。

一方で、妊娠高血圧症候群やむくみ対策として、塩分の摂りすぎには注意しなければなりません。食べる量は増えるのに塩分量は増えてはいけないとなると、薄味で物足りない料理になりがちです。

そこで、うま味を効かせることで塩分が控えめでもしっかりおいしく食べられるメニューをご紹介します。

うま味で減塩効果

うま味成分は、単体で使用するより組み合わせることによって味が飛躍的に強くなるのですが、これを「うま味の相乗効果」と言います。

例えば、昆布(グルタミン酸)とかつお(イノシン酸)の組み合わせや、野菜(グルタミン酸)と肉や魚(イノシン酸)の組み合わせにより、個別に使用したときよりも最大で7~8倍のうま味を感じられることが分かっています。

この強いうま味のおかげで素材の味が引き立ち、塩分控えめでも美味しい味に仕上がるのです。

うま味たっぷり野菜と魚介だしのトマト鍋とシメのリゾット
うま味たっぷり野菜と魚介だしのトマト鍋とシメのリゾット

うま味たっぷり野菜と魚介だしのトマト鍋とシメのリゾット
エネルギー725kcal ★★★★★

たんぱく質45g ★★★★★

鉄7mg ★★★★☆

カルシウム304g ★★★★★

葉酸339g ★★★★★

食塩相当量2.1g

※1食に必要な栄養成分充足度を★の数で表しています。(★5つで100%以上)

※1日の食塩摂取量の基準は18歳以上の女性で6.5g未満。

魚介と野菜だしのトマト鍋

減塩のコツは魚介と野菜のうま味の相乗効果
減塩のコツは魚介と野菜のうま味の相乗効果

【材料(1人分)・調理時間25分】

鮭の切り身・・・1切れ

むき海老・・・5尾

トマト・・・1個

玉ねぎ・・・1/2個

じゃがいも・・・1個

水菜・・・1/3束

しめじ・・・1/2パック

まいたけ・・・1/2パック

【A】ダイストマト缶・・・1/4缶

【A】水・・・200㏄

【A】コンソメ・・・小さじ1/2

【A】こしょう・・・少々

刻みにんにく・・・小さじ1/2

オリーブオイル・・・大さじ1

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【作り方】

①鮭は食べやすい大きさに切り、むき海老は背わたを取る。

② 玉ねぎ、じゃがいも、トマトはくし切りにし、しめじ、まいたけは根元を切ってほぐす。水菜は7㎝程度の長さに切る。

③鍋にオリーブオイル、刻みにんにくを入れて香りが立つまで炒めたら、玉ねぎ、じゃがいもを加えて玉ねぎに火が通るまで炒める。

④【A】を加えて沸騰したら、残りの具材を加えて蓋をしてさらに煮込む。

【コメント】

野菜のうま味(グルタミン酸)と、魚介のうま味(イノシン酸)がたっぷりスープに溶け込んでいます。異なるうま味の食材を掛け合わせることによるうま味の相乗効果で、塩分控えめでも満足のいく美味しさです。

シメまで美味しいトマトリゾット

うま味たっぷりのスープをご飯にしみこませてリゾットにしました。
うま味たっぷりのスープをご飯にしみこませてリゾットにしました。

【材料(1人分)・調理時間5分】

玄米ごはん・・・軽く茶碗1杯分

ピザ用チーズ・・・10g

パセリ・・・適量

粗びきこしょう・・・少々

【作り方】

①鍋の残りのスープに玄米ご飯を加えてほぐしながら煮る。

②ご飯にスープがしみ込んだらチーズを加え、チーズが溶けたら火を止めて、パセリと粗びきこしょうをふりかける。

【コメント】

鍋のスープには野菜や魚介のうま味がたっぷり出ているので、リゾットにして最後の1滴まで味わいましょう。シメはご飯ではなくてパスタを加えてもおいしいです。鍋でお腹いっぱいになったら、シメのリゾットは翌日のご飯にしてもいいですね。

「旨い」=「うま味」ではない!?

ちなみに、食事がおいしい時に「うまい!」と表現することがありますが、「うまい」と「うま味」が同一であると勘違いしている方もいるようです。鰹節やトマトに含まれるグルタミン酸などの「うま味」は確かにおいしい味ではありますが、「うま味」=「旨い」ではないのです。

「旨い」は感覚的な美味しさを表す言葉なのに対して、「うま味」はグルタミン酸やイノシン酸といった物質の味質を表している言葉です。

「うま味」は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」と合わせて5つの基本味に含まれる味の要素の1つなのです。

母乳に含まれているうま味

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うま味物質のグルタミン酸は、母乳にも豊富に含まれています。母乳を飲んで育った赤ちゃんにとって、うま味は慣れ親しんでほっとする味と言えるでしょう。

ほっとする優しい味わいのうま味を活かした料理を食べて心も体も満たされたら、後はいよいよお腹から赤ちゃんが出てきてくれるのを待つだけです。

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