第28回 写真家・田尾沙織の『Step and a Step』500gで生まれた赤ちゃん 【田尾沙織のStep and a Step・28】成長した一年 MAMA 2021.12.24

写真家・田尾沙織さんに、500gで生まれて、軽度の知的障害とADHDだと言われている息子、奏ちゃんの子育てと日常について綴っていただくこの連載。
2人の日常を、田尾さんによる色鮮やかな写真と共にお届けします。

この連載も気がつけばもう一年経ってしまいました。

一年って本当に一瞬だなと思っています。

40歳も過ぎれば一年経っても特に変わった事はなく(膝が若干痛い日があったりするくらい)、相変わらず片付かないおもちゃの山にイライラしたりしています。

でもよく考えると、奏ちゃんは一年前はまだオムツを履いていて(5歳なのに)、自転車以外の移動の時はベビーカーが欠かせなかったのに、オムツが取れて、自分の足で一日中歩けるようになりました。

奏ちゃんが生まれた病院で、フォローアップ をしてもらっている先生や小学校の先生から「年長の一年間ですごく成長から、就学相談の発達検査は遅めに受けた方がいい」とは言われていましたが、本当に成長したと思います。

携帯が時々提示してくる数年前の写真を見ると、食卓ではお皿はひっくり返され、ご飯がテーブルと床に事件現場のように散らばり、スプーンは床に投げられていました。

「ああ、こんなだったっけ」

と、あんなに途方に暮れて「これはいつまで続くんだろう……」と疲れ果て大変だったのに、不思議と忘れている自分がいます。

ほんの少し前までは、ブロックや組み立て式のミニカーの道路などは、崩れてしまうと奏ちゃんは怒って投げたり破壊しておもちゃに当たっていたので、そんなおもちゃを使わせるのも嫌なくらいでした。

今もおもちゃを投げると思っていたけれど、よくよく考えると数年前と比べるとほぼ投げていないに等しい気がします。

習いに行っているレゴスクールでは先生のお話を聞いて制作ができるようになり、先日も、一緒に作ったアクアビーズのすみっコぐらしが、完成間際で崩れてしまっても

「もー!」と、口では怒りながらも、作り直すことができました。

心も体も一年遅れで成長している奏ちゃんだけど、個人で見てみればやっぱりすごい成長。

トイトレや言語の遅れや、成長の遅れを感じているお母さんがいたら、ちょっと前の写真を見返すのもいいかもしれません。きっと成長の変化を教えてくれる気がします。

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この一年で語彙力も増え、言葉でいろんな事を説明してくれるようにもなりました。

5歳児が一年で吸収できたことが沢山あったことでしょう。

来年もたくさんの出会いや出来事をたくさん吸収して、成長していってほしい、そう願っています。

来年の目標は、小学校を思いっきり楽しんでもらうことかな。

ちなみに、ここで書いていた小学校の支援級問題もようやく目処が立ってきました! ので、その話はまた来年書ければと思います。

みなさん健やかな年末年始をお過ごしください。

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