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第29回 写真家・田尾沙織の『Step and a Step』500gで生まれた赤ちゃん 【田尾沙織のStep and a Step・29】欲しいのは手帳 Learn 2022.01.14

写真家・田尾沙織さんに、500gで生まれて、軽度の知的障害とADHDだと言われている息子、奏ちゃんの子育てと日常について綴っていただくこの連載。
2人の日常を、田尾さんによる色鮮やかな写真と共にお届けします。

新年早々、今年も療育がはじまりました。

療育の先生と最初の話題に上がったのが、「手帳」について。

「手帳」というのは、障害者手帳や愛の手帳(知的障害者手帳)、療育手帳のことです。奏ちゃんはこのうち愛の手帳の一番程度の低い4度を3歳の時から持っています。この手帳の更新が6歳にあるのです。

手帳を取得した当時、私の母や家族には「障害者手帳があって普通の小学校に行けるの!?」と心配されたのですが、手帳を持っていても、希望すれば公立の普通級には通えますし、手帳があるからできないことがあるわけではなく、行政からサポートを受けるための手帳なのです。

そんな手帳の更新ですが、自治体によって等級ボーダーや検査が違います。確か奏ちゃんが3歳で受けた児童相談所で受けた検査(IQ)はまだ話せない幼児が受けることが多い遠城寺式乳幼児分析的発達検査でIQ84点。手帳が取得できる点数が85点以下でギリギリの手帳交付でした。

6歳の発達検査は田中ビネー式で(自治体による)75点以下。神奈川県に引っ越すとなると、もっと判定が厳しいと聞いていると言われました。

4度という判定は軽度なので、支援が手厚いわけではないのですが、小学校、中学校を支援級に通っていても、手帳を持っていないと高校の支援級に通えず、急に普通級に行く様に言われたり、就労の際に必要になるので手帳を持っていた方がいいという話でした。

そして、小学5、6年生になると先生からも何らかの手帳を取ったほうがいいと言われることが多いそうです。

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ですが、奏ちゃんは話せるし会話が成り立つから、判定が高く出そうと言われました。

とはいえIQ100が平均と言われる中で、今まで毎回80前後の点数が出ています。

知的障害と言われる奏ちゃんでさえIQが上回りそうなのだから、IQが高いけれど支援が必要なアスペルガー症候群や学習障害の人はどうするのでしょう。

他の可能性としては、精神障害者保険福祉手帳というものがあります。奏ちゃんもいざとなったらこれかと思っていますが、医師の診断書が必要だったり、通院しなくてはいけなかったり、更新期間が短かったり、子どもが取得するのが難しかったりするそうです。

IQだけで判断しないで手帳が交付をしてもらえる様に、いつかなったらいいのですが……。

私は奏ちゃんが赤ちゃんの時、障害者手帳や療育について、国や区から病院なり役所なりを通して通達が来ると勘違いをしていました。療育の先生に苦笑いされながら言われたのは

「こちらから連絡を取らなくても来るのは3歳児検診や5歳児検診の様な検診と、予防接種のお知らせくらい。自分で情報をもらいにいかないと何もしてもらえない。だから引っ越したらまず役所に言って状況を説明してもらえるだけ情報をもらうこと。幸い奏ちゃんのお母さんは医療機関との繋がりはあるから、あとは福祉と繋がっておくこと」

手帳がもらえなくても、福祉と繋がるというのはなんだか難しそうだけれど、やってみるしかなかったりします。

まだ小学校に通ってもいないのに高校や就労の話になり、不安な気持ちになります。ですが、奏ちゃんが生まれてまだGCU(新生児回復治療室)に入院中、搾乳した母乳を届けに病院へ向かうバスの中から小学校の校門に書かれた「入学式」という文字を見て、奏ちゃんが小学校に通える様になるのか想像もつかずにひとり泣きました。

そんな日があったかと思うと、小学校に通えることがわかっているだけで、とりあえず今は万々歳なのかもしれません。

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