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豊かな未来のために、今、みんなで考える。 経済思想家・斎藤幸平さんインタビュー「SDGsをブームではなく、豊かな社会へと移行するチャンスにする」 Learn 2022.08.07

近年、SDGsという言葉や活動がより身近になってきた。しかし地球温暖化はまだまだ加速中というニュースも耳にする。私たちの日々の小さな努力は本当に効果を上げられるのか、ほかにできることはないのか。そんな疑問を、著書『人ひと新しん世せいの「資本論」』で“資本主義からの脱却”という論を説き話題となった経済思想家・斎藤幸平さんにぶつけてみた。SDGsを一過性のものにせず、次世代に負の遺産を受け継がせないために、今何ができるのか。5つのテーマに分けて考えていきたい。

1.今こそ、個々の取り組みから、社会のルールや仕組みを大変革する段階へ。

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プラスチックごみを減らすなど、SDGs達成のために私たちは努力を重ねているけれど、現実はシビアだと斎藤さん。「パンデミックや戦争、気候変動による異常気象で、この先世界的な食糧危機が起こり、飢餓や貧困の問題がさらに深刻化すると予想されています。つまり、2030年までのSDGsの達成は絶望的な状況になっているのです。パンデミックや戦争は不測の事態だからしょうがないでしょうか。そんなことはありません。科学者たちは、危機が放置されればリスクが高まることを警告していました。それを無視した結果が今回の事態であり、今後気候危機が深まれば、貧困や暴力の連鎖はますます広がっていきます」最近はメディアで連日SDGsが取り上げられ、企業も積極的に取り組みを行っているように見えるが…。

「『人新世の「資本論」』で私は『SDGsは大衆のアヘンだ』と書きましたが、これは、私たちがやっているSDGsのための小さな努力は、地球の環境改善に役立っていると思い込まされているだけなのではないか、ということです。例えば、マイバッグやマイボトルを持つだけでは気候変動は止まりません。お洒落なバッグやボトルを余計に買っていれば、本末転倒です。あるいは、電気自動車に乗っているから環境に配慮している、と安心してはいけないのです。我々にはもっと大きなやるべきこと、この後に話しますが、“社会システムの大変革”というタスクがあるのに、自分は良い消費をしている、と責任逃れ、いわば免罪符を買っているにすぎません。つまり私たちは資本主義による地球破壊にやましさを感じていて、それを和らげるために、資本主義が差し出すさまざまな商品やサービスをせっせと消費して、問題の根本的解決を遠ざけている。それは現実を直視しないようにするための麻薬なわけです」

エコ商品という謳い文句にひかれてまだ量が残っている生活用品を買い替えたり、家庭にあるものは引き取ってリサイクルしますから、と言われてまだ現役の家電を買い替えてしまっては意味がない。企業はその性格上、ときにSDGsを謳いつつも消費やサービスを提供してくる。これは利益を最優先する資本主義社会ではなくなることはない、ということを知っておくだけでも意味がある。実際、「こうした努力だけで本当に持続可能な世界が実現できるのだろうか」と不安に思う人も多いのではないだろうか。

「個人が少しエコに配慮したところで、この社会がものを過剰に作り続ける限り、本質は変わらない。例えば途上国の土地を奪って、先進国の人々が食べる牛の飼料やアボカドを作っている。そして、ファストフードが安いハンバーガーやサラダを提供している。この仕組みをドラスティックに変えない限り、生活の中での節制や努力だけではSDGsの目標達成は遠いでしょう。企業から個人まで、SDGsとされる取り組みについて、私たちは常に検証し、本質を見抜こうとする態度を持っておくべきです」

大量生産・大量消費といわれているファッション業界でも、セールをせずに売り切る、仕入れを減らすなど、今までとは違う取り組みをする流れもなくはない。けれど、業界全体でもう一段階ギアを上げて、本質的なところまで踏み込めるかというところに来ている。「あるコンビニ・チェーンでは、2050年までに、事業全体で使う電力を自然エネルギーに置き換えると発表していますが、その前にそもそも店の数が多すぎる、という議論をすべき。というのも、1990年ぐらいまでの日本のチェーン店の規模数であれば、そのまま自然エネルギーに変えるモデルも成立しましたが、その後の30年間で店舗数は爆発的に増え、気候危機はさらに進んでしまった。

つまり30年前なら緩やかに転換できたのに、今の状況ではかなり大きな変革をせざるを得なくなっているんです。この供給や規模の過剰問題は他の業界や社会全体にも共通することです。今は地球の緊急事態。個々の取り組みも続ける必要はありますが、SDGsを絵に描いた餅にしないためには、もっと大胆に社会の変化を開始すべき段階に来ています」

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