ハナコと考えるSDGs 【フォトグラファー&〈Mr. CHEESECAKE〉マーケター】川北啓加さんのストーリー/「“好きなものを発信する”、それが自分の原動力。」 SUSTAINABLE 2020.05.30

最近よく耳にするようになったSDGs(Sustainable Development Goals)という言葉。「持続可能な開発目標」と訳され、2030年までに“誰一人取り残さない”よりよい世界を目指して17の国際目標が掲げられています。それは政府や企業の頑張りだけでなく、私たちがもっと意識して毎日を“変えて”いくための課題でもあるのです。そこでハナコは、SDGsについて読者のみなさんと考える特集を企画しました。今回は“わたしらしく働く”ことをあきらめない、フォトグラファー・〈Mr. CHEESECAKE〉マーケター/川北啓加(もろんのん)さんのストーリーを紹介します。

相互間で学べて生かせる副業のメリット。

トラベルフォトグラファーという肩書は、大学時代に得意分野を明確にするため名乗りはじめた。写真の仕事は本業と切り離している。
トラベルフォトグラファーという肩書は、大学時代に得意分野を明確にするため名乗りはじめた。写真の仕事は本業と切り離している。

発売開始直後に売り切れてしまうと話題のスイーツといえば〈Mr. CHEESECAKE〉のチーズケーキだ。同社でマーケターとして働く川北啓加さんは、週末になるとトラベルフォトグラファーというもう一つの仕事もしている。「今から8年ほど前、ちょうど高校を卒業した頃に、友人がインスタグラムをやっていたのをきっかけに、私自身も一眼レフで撮影した写真をあげるようになりました。そのアカウント名が『@moron_non』だったため、今でも写真を撮る時の活動名はもろんのんで統一しています」

発売開始直後に売り切れになる、〈Mr. CHEESECAKE〉。
発売開始直後に売り切れになる、〈Mr. CHEESECAKE〉。

大学在学中からインスタグラムを通してフリーランスフォトグラファーとして仕事をしていたものの、あえて新卒で就職する道を選択した。「写真しかできないことがコンプレックスだったので、就職してもっと社会を知りたかったんです。入社した会社が副業OKだったので、週末はフォトグラファーを続けました」働くうちに、自身の仕事に対するモチベーションについて気がつき、昨年12月に現職へと転職した。「私の行動のモチベーションは、〝好きなものを世の中に発信したい〞という思いなんです。実現するためには、ブランド側の視点を得たいと思って転職を考え始めた頃、今の職場とのご縁がありました」

こだわりの相棒はSony α 7IIIと、オールドレンズminolta rokkor。
こだわりの相棒はSony α 7IIIと、オールドレンズminolta rokkor。

現在は週5日、10時〜19時のコアタイムはマーケターとして勤務する。急成長中の会社での仕事は忙しく、「平日は、チーズケーキのことで頭がいっぱいなんです」と笑う。フルタイムの仕事を試行錯誤しながら、フォトグラファーとしても精力的に新しいことに挑戦する。それでも続けているのはもちろん楽しさとやりがいを感じているからだ。写真の仕事で最新のトレンドをキャッチアップし、マーケティングに生かすこともある。また反対に、販促イベントのアイデアを自身の写真展の参考にすることもあるという。

「日々、この働き方は学びが大きいと思えるのは、『誰に何を伝えて、どうなってほしいか』という根幹は同じでありつつも、全く異なる職種だからだと思います」どちらも完璧にこなしているように見えるが、2つの仕事を行き来する中で新たな課題も見つかった。「マーケターとしては前職になかった、より深い具体的な目標数値を日々勉強中。現職では、フォトグラファーとしての気づきもあり、クライアントが誰に何を伝えたいかを汲み取り、〝もろんのん〞としてはどう伝えるかの努力をしています」複数の仕事を軽やかに越境するその原動力は、〝好きを伝えたい〞という純粋な想い。関係ないように見えてつはしっかりと繋がっている。

【わたしが影響を受けたもの】『嫌われる勇気』古賀史健

『嫌われる勇気』古賀史健

数年前に自己肯定感が著しく下がってしまった際に、この本を読んで立ち直ることができました。「他者と自分の課題の分離」という部分を読んでから、背負いすぎない”いい意味での人との線引き”ができるようになりました。(ダイヤモンド社/1,500円)

Profile/川北啓加(かわきた・のりか)

週末トラベルフォトグラファーとして各媒体で活動。平日はSNS等でも話題の〈Mr. CHEESECAKE〉のマーケターとして勤務している。撮影だけでなく取材やセミナーなど、活動は多岐にわたる。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について。

昨年、国際労働機関(ILO)が発表した日本における女性の管理職比率は、全世界平均27.1%に対してわずか12%。この国は女性にとってまだまだ働きにくい環境だといえます。今後、世界中が一丸となって、女性の力をもっと引き出せるような取り組みが進められていく中、私たちも自分の働き方についてポジティブに見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。
Hanakoは“わたしらしく働く”ことをあきらめない、女性のストーリーを紹介します。

(Hanako1184号掲載/illustration:Nodoka Miyashita photo:Takehiro Goto , MEGUMI, Yoshiki Okamoto text:Makoto Tozukai, Rie Hayashi, Narumi Sasaki, Rio Hirai edit:Rio Hirai)

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