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2022.05.29

第104回 前田有紀の『週末・気分転〈花〉』 6月2日は”ローズの日”。フラワーアーティスト・前田有紀が伝えたいバラの魅力とは?

10年のアナウンサー生活を経て、フラワーアーティストとして活躍する前田有紀さん。そんな彼女が世の頑張る女子の気分転換になるようなフラワーライフのアイデアを紹介してくれる連載。今回は、ローズについてのお話です。

ちょうど街中でもバラが美しく見頃を迎える季節になりました。みなさんは6月2日が、”ローズの日”だとご存知ですか?2017年に日本で制定されたバラの記念日です。

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もともとヨーロッパのブルガリアではバラの収穫を祝う感謝祭が6月初旬に行われます。香水の成分や調味料、ハーブティの原料ともなるブルガリアンローズは、世界でももっとも香りが豊かなバラとされています。そのバラが咲く6月の1週目に、家族や友人、恋人同士など親しい間柄で、日頃の感謝の気持ちを込めてバラの花やお菓子をおくる習慣があるそうです。お花に特化した記念日があるなんて、素敵すぎますよね!

日本でもバラが満開となる時期に合わせて6月2日にその文化を定着させて、バラの花のもとにひとびとが集い、平和な時間を過ごすことを願って一般社団法人ブルガリアンローズ文化協会が記念日と制定したそうです。

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新しい記念日ということで日本ではまだまだ知られていない日ですよね。先日「このローズの日にバラのブーケをたくさんの人にお届けしよう!」と声をかけていただき、茨城県の神生バラ園さんを訪れました。茨城の中央に位置している石岡市にある神生バラ園さん。周辺には、いちご、ぶどう、果物農家さんも多いフルーツラインがあり、広い高原のような一角に素敵なログハウスがありました。

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神生バラ園は、1974年に創業された日本を代表するバラ生産者さん。年間で、20種類以上の切りバラを生産、出荷しています。東京の市場にもたくさんのバラを出荷されているので、当然お花の業界では、とても有名な神生さんですが、20代の頃からミュージシャンとして活動されていたり、世田谷市場でお仕事をされていたりと様々な経歴をお持ちです。切り花の市場への出荷だけでなく、コロナ禍を経て、一般のお客様にお花を産地直送でお届けするオンラインサイトもスタートされています。

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大きなハウスの中に足を踏み入れると、背丈ほどの高さに美しいバラがまっすぐに伸びて育っていました。圃場では、ラジオの音楽が心地よく流れていて、さすが音楽が好きな神生さんのハウス!という感じです。バラたちは、朝のうちに収穫して、作業場に運び、冷蔵庫で保管して、出荷の準備をします。お花が終わってしまった枝は下に折り曲げて、光合成を促していきます。こうすることで、バラを育てるのに無駄な枝はないんだなとよくわかります。

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私たち花屋の中でも、バラのニーズも様々。日持ちするバラがどうしても必要な場合もあれば、咲き方がユニークなものでおしゃれなブーケにしたい時もあります。代表的なお花の一つ、カルピジューム+、プライムチャーム+。ひらひらのスカートみたいな立体感のウエディングドレス。神生さんの圃場では、様々なニーズに応えられるように個性豊かなラインアップで、生産を続けていらっしゃいます。グリーンローズのリューイソーは、なんと1827年に発見された品種で、日本で流通している切り花のなかでも最古の種類なんだとか。

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取材を進めていると、作業をしていたスタッフの方にもお話しを聞くことができました。「毎日、バラを仕立てていくのは大変ですよね?」と声をかけると、「必要なことは、全部お花が教えてくれるんですよ。これは子育てと一緒で、奥が深いのよね。」と、教えてくださいました。必要のない脇芽は、わかりやすく赤い色をしていて、それを摘み取っていくと自然と美しい切り花に成長するのだとか。目を離していると、あっという間に変化してしまうけど、向き合っていればその子から答えは見つかる。5歳ともうすぐ2歳になる男の子の子育てに奮闘する私としては、すごく考えさせられる言葉でした。

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また、神生さんは、現状では、環境負荷がどうしてもかかってしまうバラの生産を持続可能な形で進めていくために、未来に向けて、様々な取り組みをされていました。試験的に病気に強い切り花用のバラに挑戦されたり、殺虫剤や殺菌剤フリーで露地の草花の栽培をスタートしたり。日本の気候の中で、切り花としての草花を生産するのはとても大変なことですが、少し先に、自分たちが心地よく生産を続けていける可能性を真剣に模索されている姿が印象的でした。

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コラボレーションのブーケには、そんな神生さんからのお話を受けて、露地から収穫したキャットミントやフィソカーパスを入れることにしました。ダマスクの甘い香りのモナロームは、ブルガリアンローズをイメージしたお花として加え、そのほか神生バラ園の魅力溢れるバラを様々な種類のバラを入れて、デザインが決定しました。大切な人にバラの贈り物をして、「感謝を伝える日」として、分かち合ってもらえたら嬉しいです。身近なお花屋さんでぜひバラを買って、お家で飾ってみてくださいね!

前田 有紀
前田 有紀 / フラワーアーティスト

「10年間のアナウンサー生活のあとイギリス留学を経てフラワーアーティストとして独立。パーティーやウェディングなどの空間装飾のほか、移動花屋のオリジナルブランド〈gui〉」を立ち上げる。」

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