花井悠希の朝パン日誌 vol.50 山さん角さんと共に参ります!…〈ペリカン〉 LEARN 2019.07.15

祝50回!ついにこの朝パン日誌も50回目を迎えました!スタートして約2年余り、たくさんの皆様が読んで下さっているおかげです。コンサート会場などでお客様に「朝パン日誌楽しみにしているよ」と声をかけて頂くことも増えました。50回を踏んじゃうとこの調子で100回もいきたくなりますね(←Hanakoさんよろしくお願いいたします!)。

そんな記念すべき50回目はどんなテーマにしたらよいのか頭をひねってみた結果、「50」にのっかってみようかと。そうだ、創業50年を超えるパン屋さんを訪問しよう!お、あの〈ペリカン〉さんは50年を優に超え創業70年以上ではないか!なかなか手に入れるハードルが高くてこの所ずっと食べられていない〈ペリカン〉さん。50年以上ずっとその味を守り皆に愛されているあのパン達こそピッタリだ!というか久しぶりに食べたいな(この理由も強し)ということで決定!

そしてそんな記念すべき回なのだから、朝パンのきっと本来のあるべき姿、朝にパン屋さんへ出向き焼きたてを買いお家で朝パンをするという挑戦も(朝が苦手なので挑戦レベル)加えて試みました。そう考えがまとまったある日の深夜未明、居ても立っても居られなくなって次の日の目覚ましを早い時間にセット。飛び起きて、お店に予約の電話ができる時間まで待ちきれず開店に合わせての突撃を企てました。(注:基本的には〈ペリカン〉さんは予約しないと買えません)これはそんな朝を辿る実際に起こった体験記である(←得意の大袈裟フレーズ)。

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こちら現場です。若干遅れをとってしまい、到着は8時5分前。行列は10人程。果たしてお目にかかれるのか!?買えるのか!!?不安と期待が入り混じり列の先頭を眺めようと背伸びが止まりません。オンターイム!!棚に食パンたちがずらりと並んでいます。と、いうことは?買えるの!?買えるのねーーー!!!

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「食パン」と「山型パン」ゲットー!!(ちなみにロールパンは朝は焼いていないらしくゲットならず。ペリカンの小ロールパン大好き)

嬉しくて自撮りの図。
嬉しくて自撮りの図。

ひったくりに合わないかビビりながら足早に帰宅しました(宝並みに大事に抱える帰路)。朝9時前には家に戻ってきて、ほのかに温もりを感じられるパンを食べられる幸福は想像よりもずっと大きい。封を解かなくても漏れる焼きたてパンの香りは、たった今お家でパンを焼いたかのように近くから届いてきます。まず香りだけでこんなに心満たされるとは。改めて朝6時の寝ぼけ目よ、開いてくれてありがとう。

「食パン」
「食パン」

まずはせっかくだから焼かずにそのままで食べ比べしてみましょう。
いわゆる角食パンってやつですね。大きさは少し小ぶりです。耳は薄めなのに硬質な歯応えで、フランスパンのクラストに近いような強さがあります。内側は相反してむっちりと詰まったしっとりボディがお出迎え。この耳と内側、いつだって守ってくれる硬派で無口なボディガードと世間知らずなほどピュアに育った色白のお嬢さまのよう(すぐ擬人化したくなるクセ)。このキャラクターの対比こそペリカンの食パンという感じがします。お嬢様部分は(白い内側ね)ハッとするほどしっとりと潤み、キメが細かくてすべすべ。この吸い付くように柔らかな弾力は、私には『むっちり』としか表現できないほど、ワガママボディちゃんなんですよ。女子全員の憧れをこの子は、硬派なボディガード達に四方を守ってもらい身につけているのでしょう。私もボディガードがついたらこうなれるのかしら(そんなわけあるまい)。

「山型パン」
「山型パン」

膨らんでいるところからガブリとしてみると、もう歯を降ろす前から口内に広がる香りが角食と別物で驚きます!え!?と二度見しちゃうくらい放つ香りの種類が違うんです。なんでしょう、形も似ているイギリス食パンの香りに近い感じ。
まずこちらの方が耳が柔らかいです。外側と内側とが別者ではなくどこか共通点があるような仲良しの印象です。そして全体的にふわふわとしていて、角食に感じたような弾力は控えめ。ぎっしり詰まっているけどふかふかで柔らかいという所は角食と似ているのですが、むっちりというよりは抜けがあって隙がある印象です。親しみやすい雰囲気は友達になれそうです(なりたい)。

さぁ、焼いていきましょう!

「食パン」
「食パン」

引きが強かった耳は角が立ち、バリンと大きな音を立てキリリと主張します。この香ばしさがピカイチでバゲットのようなドライさ。昔ながらの食パンのようでありながら、こうして洗練さをちょっと匂わせる感じ。粋だよなぁ(急にタメ語)。一方あの箱入り娘はというと、ふわっと立ち上がったかと思いきや、奥の方にこちらを惹きつけてやまなかったもちっと感を隠しお淑やかに魅力を滲ませています。しなやかさは健在ですが、一つ一つの繊維が膨らだことによりふわふわとした質感が前に出てきました。空気たっぷりのふわふわじゃなくてほわほわってかんじかな、この感触が最高に気持ちいいです。

さて山さんはどう変化しているでしょう?

「山型パン」
「山型パン」

トーストするとますますあの香りが飛んできます。耳を崩した時はさらにすごい。バリンというよりはサクッと軽く、溢れ出る香ばしさに心踊ります。そして内側はもっちり。生で食べたら角食タイプの方が弾力があったのに、焼いてみたらなんとこちらの方がもちっと感じるではありませんか!何その裏切り(褒め言葉)!

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ザクッと表面を突入すると空気が弾け、口当たりはふわっと一瞬感じるのに、そのままふわっとくるかと思いきや引きがあって、噛めば噛むほどもちっと、発音通りに餅のような引きの強さが出てきます。ねちっとしているとも言えるというか。表面のザクッと感と内側のねちっ、でも空気を孕んでふわっと弾む感じもある。3つの顔を持つ食パンってやつですね(どんなやつだ)。

どちらにも共通して感じるのは差し出がましくない甘さと小麦感。あってないようなクールで小ざっぱりしているテイストこそがペリカンの味だなぁと私は思います。シュガートーストにしてもいいしジャムにも合う。サンドイッチも間違いないし、フレンチトーストだってカツサンドだってフルーツサンドだってきっとお手の物だ。甘いもしょっぱいもいろんなものにフィットして美味しいを一押ししてくれる。それこそが、喫茶店やカフェからご近所に住む人まで広く愛される所以なのかも。これからもずっと。

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朝パン日誌50回目、ペリカンさんのパンと共にお送りしました。私は100周年は目指せないけど、朝パン日誌は100回を目指して頑張りますよ!これからもどうぞよろしくお願いいたします。

☆前回の記事はコチラから
☆『花井悠希の朝パン日誌』連載一覧はコチラから

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