花井悠希の朝パン日誌 vol.37 これを食べなきゃ始まらない!…〈JEAN-PAUL HÉVIN〉と〈le supreme〉 LEARN 2019.01.07

明けましておめでとうございます。2019年になりましたね。今年もよろしくお願いいたします。

スターの貫禄…〈JEAN-PAUL HÉVIN〉の「ガレット・デ・ロワ」

新年を迎え、ぐでーんと緩んだ頭にふと蘇った記憶。あ!ガレット・デ・ロワを食べなくっちゃ!去年は〈エーグルドゥース〉のガレット・デ・ロワを楽しんだのだっけ。お正月といったら、御節、お雑煮、お餅だけじゃなかったんだった!と急にクリアに働き出した頭の指令通りに電話してゲットしてきましたよ、ガレット・デ・ロワ。新年だからとちょっと贅沢して憧れの〈ジャン=ポール・エヴァン〉の子をゲットしてきましたー!

「ガレット・デ・ロワ」
「ガレット・デ・ロワ」

はい、実に見目麗しゅうございます。朝日に照らされるその姿はいわば王様の貫禄。二層になっていて、下がスタンダードのパイ、上がチョコレートのパイ。
そう、この子はスタンダードではなくちょっと変化球タイプ。ジャン=ポール・エヴァンのチョコレートガレット・デ・ロワだなんてどんな味なのかワクワクしてしまいます。

下の層のパイが舌に着地するや否やバターが舌の上を滑り出し、バターの吐息をあちらこちらに吹きかけます。薄く繊細に伸ばされた幾重にも重なるパイがシャクシャクと割れる狭間から、隠しきれないバターのコクがダダ漏れです(褒め言葉です)。パイに姿を変えているだけでこの子、実はバターそのものなんじゃないかと(何をいっているんだ)疑ってしまいそうなほどリッチなバター感。
それを知ってか知らずか(知らずに1票!)上の層のチョコレートパイが落ち着き払ってコホンと咳払い。苦味をキリッと光らせます。

左に写るのはフェーブ
左に写るのはフェーブ

そんなパイ達に上下で挟まれ、恵まれた環境に座るアーモンドクリームは、しとっと柔らかい口溶け。断面からも拝めるたっぷりと混ぜ込まれたチョコレートがカリカリと違った食感でアプローチしてくるかと思いきや、アーモンドクリームと馴染みスッととろけていきます。甘さは抑えられチョコレートのもつ味わいとキャラクターがハッキリと際立っていて、いやはやさすがジャン=ポール・エヴァンさんだー!と唸ってしまいました。どこまでも食べる者のハートをかっさらっていくよこの子は。

ガレット・デ・ロワと言ったら、忘れちゃいけないのが運試し。こちらのはフェーブが別添えで、その代わり中にアーモンドが一粒忍ばされています。
家族で四等分してそれぞれドキドキしながら食べ進めると…

出てきましたよ、私のところに。
パンの神様ありがとーーう!(パンの神様なの?)

せっかく当てたのでしっかり被りましたとも。
せっかく当てたのでしっかり被りましたとも。

フェーブはオリジナルデザインだし添えてくれた王冠は機関車デザインが入っているしでどれもスマートにカッコ良い。隙がないほどスターなガレット・デ・ロワでした。

その餡子、特別につき…〈le supreme(ル・シュプレーム)〉

他ではなかなかお目にかかれないような組み合わせの創作パンが楽しいパン屋さん。
本店は名古屋市の栄生にあるのですが、JR名古屋高島屋の地下にもお店が入っているのです。お買い物の途中にも、新幹線乗る前にも駆け込めるありがたさ!お正月ということで(お正月関係ない気もしますが)あんこ縛りにしてみました!

「餡バター食パン」
「餡バター食パン」

のっそりとのんびり屋さんのこしあんとサクサクと軽快なデニッシュ生地、広がる速度も舌触りも違う二つが渦を巻き一体となっていきます。バターを載せてさらに「あんバター」を強調させるのが私的オススメです!と心の中でグルメレポを唱えていたら、ゴツっ!何かにぶつかりました。現れたのは大きなくるみ!二つの食感の中には明らかに異質なはずなのに、このクルミがあんこのまったりした甘さに香ばしい新風をふきこんでいます。そうだよね、平和に身を任せてばかりじゃいけないよね(どうした)。その小さめなサイズ感も相まっておやつ感覚で食べられちゃう食パンです。

「あんぱん」
「あんぱん」

こちらあんぱん山~、あんぱん山~。その艶やかに光る小さな山を前にして、バスガイドさんのようにそう口に出したくなってしまいました。綺麗な三角形を描く山を手にのせれば、なんだか縁起がいい気分です(気分って大事)。いざこの山を探索だ!
柔らかくしとっと溶ける生地が包むのは滑らかなつぶあん。つぶつぶと皮が主張しつつも、全体はもっさりとは無縁のしっとり滑らかなつぶあんです。

le supreme

山頂を突き抜けてしまいそうなほど高く山型にぎっしりと餡が積まれているのに、いつまでもどこまでもみずみずしいのにはあっぱれ!塩味が効いていて甘さが程よいからToo muchな感もなく餡子の美味しさを存分に味わえます。オーナーのご実家が和菓子屋さんで餡子は自家製で炊かれているものだそう。パンが優しく寄り添い餡子に対してリスペクトを感じるあんぱんでした。

2019年最初の朝パン日誌もガレット・デ・ロワでスタートしてみました。
今年も心と足が向くままに、パンたらし(←言い方)でいきたいと思いますので、〈朝パン日誌〉をよろしくお願いします。

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