花井悠希の朝パン日誌 朝の空気もごちそうです!横浜元町のパン屋〈O to U〉と〈ecomo bakery〉を巡る LEARN 2021.06.03

朝9時。すっかり横浜の虜になった私は、気合いを入れて朝から元町のパン屋さんへ。そこで出会ったのは清々しい朝の元町の姿と、パン屋さんに流れるハツラツとした空気でした。

緑が映える風情あるお店で出会うオリジナリティ光るパン…〈O to U(オー ト ウー)〉

扉をあけると、おしゃれな店内と可愛いパンのトレイがお出迎え。その可愛いさに乙女心が暴走します。よって、全然かわいさが伝わらなくなってしまうほど、トレイにパンをのせることとなってしまいました(無念)。

次の朝まで待ちきれず、その日の夜にいっちゃった子。いい意味で予想を裏切って、一口目からイタリアン!温めていただきましたが、生地はもちもち!ぱかっとお口を開かせて溢れるほどつめられたツナをチーズが覆います。トロリと溶けたチーズには焼き目がつき食欲をそそるルックスです。たんまりのツナにはオリーブやパセリなどの野菜が細かく刻まれ満遍なく織り交ぜられていて、タプナードソースのようなオリーブの効いた深い味わいに出会えます。コースの前菜に出てきてもおかしくない、格式の高さすら感じるもの。これはツナの底知れない魅力を認めざるを得ません。ツナマヨだけじゃないのよって、言葉じゃなくその味で教えられた気分です。

あぁ、沖縄の海、雲、風を思い出す…。あ、すみません。全てはこの黒糖が効いたあんぱんの仕業です。水っぽさを残さずほくほくとした食感が引き出されたつぶあんは、黒糖のコク深い甘さがいつまでも余韻として残るほど、力強い黒糖の風味に染め上げられています。ここまで小豆の豆らしい質感をダイレクトに残した餡は珍しい気がするし、ここまで黒糖のミネラルを感じる黒糖あんもオンリーワンな気がします。
温めたらブリオッシュ生地がふわっと立ち上がりました。ブリオッシュの卵の味が黒糖あんの強い個性を少しゆるめて親しみやすくなります。ふわっとした生地がトロっと変化する瞬間があって、あんの海を潜りながらそれを探すのも冒険みたいでおすすめです(どういうこと?)。

エッグタルトのようなルックス。一つを半分に割って、贅沢にもその半分を一口でいってみたら、口内が幸せでパンクしそうになりました。次の日に食べたからか土台部分はサクッというよりしっとりでしたが、それは全てクリームのとろとろのせいでしょう。この子のためならサクッと感は差し出せるよ(何者?)。なめらかな口当たりで卵とバニラが豊かに真っ直ぐ届くカスタード。トロトロな食感がポイントなだけじゃなく、しっかりとそこにうま味がかよっていて、唸る美味しさでした。

この子もそうですが、想像するだけでワクワクしてくる組み合わせのパンが多いのもこちらのお店の特徴な気がします。まず、デニッシュがパリパリ!バターの甘みとコクがこぼれます。餡を包まずサンドするこの形状だからこそパリパリが持続するのかも。次の日の朝でもパリパリ健在でした。それにサンドされるまったりとした舌触りの栗餡にレモンカードのようなクリーム。前面にやってくるのはレモンだからさわやかー!栗餡のほっくりした甘みに別次元の清涼感が走り抜けます。これは食べたことない新鮮な組み合わせ。

デニッシュ生地に包まれた栗とアーモンドクリーム。アーモンドクリームは口内の温度で柔らかく温かくほぐれて、閉じ込められたラム酒の香りが花開きます。それを合図にアーモンドとバターの香りもほわほわと染み出てきました。トップにはモンブランクリーム!ラム酒を介して届く栗の風味が幸せすぎる。お待ちかねのマロングラッセに差し掛かると香りも甘みも栗の風味もさらに深く広がって、モルトクレッシェンド(だんだんとても強く)。主役はやはり栗さん。パリパリのパイはその周りを囲うようにバターの香りとコクで縁取ります。

むぎゅっと詰まった生地だけど、繊細に柔らかく触れてくれるから圧はありません。ドライいちごが生地全体をまとめ上げる甘酸っぱさを放ち、それにアーモンドでもくるみでもなくピスタチオを合わしている事に拍手を送りたい!爽やかな新緑の風を吹かすピスタチオ。コリっと香ばしさを放つ時も茶色の香ばしさじゃない。黄緑色(見たまんま)の香ばしさです。生地からも甘酸っぱさが止められないのに、いちごそのものを食べるとさらにキュンとした甘酸っぱさが広がって、どうしよう初恋しちゃいそう(ご自由に)!

元町の街並みも一緒に味わう…〈ecomo bakery(エコモベーカリー)〉

近くまで来たのでこちらにも!オープンと同時に入店すると「ピザが焼けましたー!」とお知らせが。そんな悪魔の囁きをきいたら(天使の囁きとも言う)テイクアウトのつもりだったけど、ここはイートインしかないでしょう。テラスで焼きたてをいただきます。

まずは表面がパリパリ。それは焼けたしらすによるものか、チーズなのか、生地なのか。そんなのもう何だっていいや!ってなる一口の味わいの濃さに感服です。
フレッシュのトマトのジューシーさ、チーズのとろとろ、しらすの柔らかな塩気とぎゅっと閉じ込められたお魚のうま味、アクセントに散りばめられた青じそと、美味しい情報のラッシュに目眩がしそう(しっかり!)。表面に出ている釜揚げしらすがオーブンに焼かれてちりめんじゃこになりかけているのも香ばしくてたまりません。
真ん中に進んでいくと、さらにチーズのとろとろもパンの厚みも増され、さらに充実感に包まれます。あぁ、脳がドーパミン出して隅々まで幸せ物質が行き渡っているー!こんな焼きたてに出会えて、しかも爽やかな元町の朝の空気の中で味わえるんですもの、やっぱり朝のパンはいい。早起きはいい(言い聞かせてます)。
マヨネーズがいい具合にこちらの快感を煽るジャンキーな味わいで、そこに醤油の香ばしさが隠し味のように効いています。しょうゆマヨにシラスとシソだなんて最強としかいえないタッグ。その全てをフォカッチャのようなもちもちのピザ生地がどーんと受け止めて離さない。頼りになります。

「ゴルゴンゾーラのピザ」
「ゴルゴンゾーラのピザ」

なんだこれは!だいぶけしからん見た目でしょ(褒めてます)?食べてみたら見た目と裏腹に軽やかで驚きました。ゴルゴンゾーラに蜂蜜で煮たりんごときいてヘビー級かと思ったら、煮りんごの甘さが強すぎず自然なのです。テクスチャーはとろとろなのにフレッシュなりんごの味わいが残っていて爽やか。ゴルゴンゾーラはもちろんしっかり塩気もあの香りも健在なのですが、煮りんごと一緒になるとまろやかさが引き出されて、刺激も少なく感じます。だから朝からいけちゃう!
生地からはみ出たチーズ部分がカリカリになってチーザみたいで美味しい!と全く正解じゃない感想を持ったことも、一応ここに報告しておきますね(怒られなさい)。

『ティファニーで朝食を』ならぬ“モトマチで朝パンを“。朝イチだとパンも焼きたてが勢揃いしていて、どれにしようと迷える幸せがありますね。爽やかな朝の海風を感じられるのも最高です。今回は2店舗のご紹介でしたが元町には魅力的なパン屋さんがいっぱい。この朝パンツアー、クセになっちゃいそうです。

【花井悠希インフォメーション】
6/18(金)に〈JZ Brat〉にて配信&ライブ同時開催!お家で会場で、お楽しみください。
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