花井悠希の朝パン日誌 春のパン祭り!新生活に食べたい、絶品食パン専門店3選。 LEARN 2021.04.01

春ですね。この4月から環境が変わった方も多いのではないでしょうか?“新生活”と聞くと、真っ白な部屋に真っ白な心で(ここ大事)朝日を眩しく浴びながら、食パンを頬張る風景が思い浮かびます。食パンってフラットな気持ちにリセットしてくれる食べ物な気がするんです(私調べ)。とはいえ、昨今の高級食パンブームでその選択肢は無限に!今回は食パン専門店の食パンにクローズアップします。

1.蒸し焼き食パン…〈STEAM BREAD EBISU(スチームブレッド恵比寿)〉

今年の2月10日にグランドオープンしたばかりの〈STEAM BREAD〉さん。国産小麦100%の「誰もが笑顔になってしまうほどおいしい食パン」を手土産に!がモットーの食パン専門店です。低温長時間発酵や焼成の工程で蒸し焼き(スチーム)を入れるひと手間が加えられていることも特徴のこちらのお店。
生食パンがこちらの推しパンだとは分かりつつも、甘くない方が好きなのもあって私は「トースト#スチパン」を。表面はざくっと心地いい音と歯当たりで突き抜ける。トースト気分を高めてくれるバリケード。そうそう、この音が聞きたくてトーストしている所あるよね(そうなの?)。そしてこのザクっと歯が介入する瞬間の、なんとも爽快な気持ちよさはそのまま生で食べるのでは味わえないのよと自分を納得させます(←生スチパンを選ばなかった人)。そんなこんなで到達した内側は、ふんわりした口当たりから始まり、少しずつぬっちりとした引きが幅を利かせてきます。

サクサクっと軽快に突入を許しておきつつ、内側の核心はスチームの余裕からくるものなのか、ビロードのような滑らかさで舌に触れ合ってきます。誘われて簡単についていく私の愚かさよ(なにが)。そして最後に訪れるぬっちりと後ろ髪を引くような余韻。その余韻を追うようにまた一口、また一口と運べばあっという間に1枚平らげてしまいます。人間の逃げるものを追う習性にはなかなか逆らえないですね(そういうこと?)。

2.ルノワールの肌!?…〈CENTRE THE BAKERY(セントル ザ・ベーカリー)〉

お店のイチオシはきっとこちらも生のまま食べる「角食パン」かと思いますが、ここは公平に(!?)甘さが少し控えめらしい「プルマン」をチョイス。生もトーストもおすすめと書いてありました。こちらはカナダとアメリカ産の小麦を使っています。むちむちと吸い付くような滑らかさ、やわやわとした口当たりの心地よさ、繊細な口溶け。まさに理想的な高貴の肌!そんな誇り高き肌を(生地ね)守るためなのか、皮はしっかりと厚いタイプ。その腕で(皮ね)大事に大事にお抱えしているのね。

そんな守衛に守られた貴族の肌のような生地は、西洋絵画などで幾度となく見てきた発光するほど白く光り輝き、あのむっちりと柔らかそうな女性たちのそれにそっくり。ルノワールの描く白肌というか。そう思って食べてみてください。気分は伯爵夫人です(本当か?)。

3.グッジョブ!蜂蜜…〈HARE/PAN(晴れパン)〉

ようやく登場、生食パン。こちらは卵不使用でハチミツが使われているのが特徴です。まず最初に感じるのは甘さとしゅんしゅんと溶ける心地。あんまり甘い食パンは得意じゃないはずなのに、するりと懐に入ってきて驚きます。甘い食パンの苦手なところは小麦の味わいよりも甘さの印象が優って、最後の最後まで甘さが主張をやめないところなのですが、こちらはなんか違うぞ。

花井さん連載 91回

トーストしている表面はスキっと歯が入って、軽やか。抵抗を感じさせず容易く受け入れてくれた先は、じんわり甘い。しゅんと口内にゆっくりもたれ掛かって滑らかに溶ける生地から、角のない甘やかさがこちらのささくれだった心(どうした?)まで優しく包むようにして広がり、余韻となってリフレインします。はちみつのせいか甘さが真っ先にやってくるのに、じんわりと甘さを感じるという相反する印象なのは、きっと蜂蜜ののっそりと穏やかに広がる甘みのせいなのでしょう。これなら私、生食パンも好きかもしれない。新しい出会いとなりました。

いまや食パン専門店は、全駅にあるのでは?と思うほどよく見るようになりましたが、いざ食べてみないとしっくりくるかはなかなか分からないもの。好みがハッキリ分かれるのも、食パンという1番身近なパンだからこそなのかもしれません。そんな多様性に寄り添うように現在進行形でいろんな食パンが生まれているこの流れ、しかとこれからも追っていきたいと思います。皆さんのとっておきも教えてくださいね。朝パンに食パン1枚頬張って、今日も1日張り切りましょう!

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