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2019.11.18

第58回 花井悠希の朝パン日誌 vol.58 朝から夜までオールデイダイニングなパン屋さん。…〈SAWAMURA〉と〈bricolage bread& co.〉

朝パン日誌だから、日々の朝ごはんのパンを紹介しているこちらの連載ですが、今回は、レストランとベーカリーが一緒になっていて、朝早くから夜遅くまで、思い思いの過ごし方でパンを楽しめるお店にクローズアップ。朝はサクッとイートイン、ランチはサンドイッチやお惣菜パンをテイクアウト、夜にはワイン片手にシャルキュトリーやチーズと共にゆっくりパン呑みまでできる!ご飯もしっかり拘るレストランが併設されているからこその楽しみ方ができるお店に出かけてみませんか?

徒歩1分のパンレストラン…〈ベーカリー&レストラン 沢村〉

こちらの営業時間は朝7時から25時(ベーカリーは22時まで)!なんという懐の深さでしょう。場所は〈NEWoMan 新宿〉 2F「エキソト フードホール」。
お仕事終わりクタクタで乗り換えるときにも、徒歩1分でたどり着ける。ありがたやと拝みたくなります(毎回心の中で拝んでいます)。

モーニング、ランチ、ディナーとメニューが分かれていて、しっかりお食事も出来るのでとても利用しやすく、大人気のお店です。列が並んでいることもしばしば。テイクアウトの商品にはパンはもちろん、サンドイッチからスイーツ、サラダまで充実した品揃えで、なんならちょっとした手土産になるお菓子まで取り揃えてあります(もう一度ありがたや)。

「パン・ オートンヌ」
「パン・ オートンヌ」

外側はサクッと突破できるのに、内側に進入を許された瞬間にスローモーションをかけられます。こののっそりとした口当たりこそがかぼちゃの仕業。ちゃんとかぼちゃの味わいが残る生地をまったり味わうのも束の間、今度はコリコリとナッツや雑穀が現れ、オレンジピールの苦味が走り抜け、さつまいもがほこっと顔を出し、ラム酒にシナモンにメープルシロップにと深い味わいと香りが放たれ、矢継ぎ早に味、食感、テクスチャー、香り様々な要素で畳み掛けてきます。先程までののっそりしたテンポは何処へやら、今度は早送りされたかのようにいろんな味わいが出ては消え出ては消えとひっきりなしに現れるものだから、私の五感はついていくのに大忙し。

〈ベーカリー&レストラン 沢村〉

ちなみにそうしている間もかぼちゃの味わいは絶えずベースとなってどっしり近くで見守ってくれているからご安心ください(何が?)。そしてそれは最後のひとかけらを食べるその時まで続きます。見た目以上に沢山の秋を思わせる味覚がぎゅっと閉じ込められた宝箱のようなパンは、秋のシュトーレンのようでした。

「アプリコットとクリームチーズのカンパーニュ」
「アプリコットとクリームチーズのカンパーニュ」

ぶわん!さぁ、なにが来たかと思いますか!?(知らんがな)なんと紅茶の香りです。ねっとりとした質感を引き出されたアプリコットは紅茶で煮られていたのでした。ねっとりとトロトロと…甘さもしっかり引き出されたあの皆のアプリコットがこんなあられもない姿になっていますよ(意味深)!口内をでろーんとゴロゴロ伸びきっています。カンパーニュのうっすらと滲む塩気と力強い小麦の香りが脇を固めるから思いっきりアプリコットもクリームチーズもこんなに好き勝手できるのですね。

ベーカリー&レストラン 沢村

そうです。クリームチーズも忘れちゃいけません。アプリコットが作り出す甘くトロトロなムードをクリームチーズがコク深い酸味と発音の異なるとろけ方で主張しアプリコットの独り舞台にはさせないのです。一対一の2人芝居。ぜひあなたも劇場でご覧ください(どこ?)。

六本木ヒルズの木陰のそばに…〈ブリコラージュブレッド&カンパニー〉

フレンチの〈レフェルヴェソンス〉生江さん、パンの〈ル・シュクレ・クール〉岩永さん、コーヒーの〈フグレントウキョウ〉小島さん、友人でもあるお三方が「美味しさ」によって日常の心地よい場所、人びとの幸せを作り出したいと出来たお店とのこと。そう聞いたらやはりイートインしたくなって、朝パン日誌お外編してまいりました!

〈ブリコラージュブレッド&カンパニー〉

高鳴るー!

「六本木ポテト-かぼちゃver.-」
「六本木ポテト-かぼちゃver.-」

今だけ?のかぼちゃバージョンです。クロワッサン生地でかぼちゃとスイートポテトをサンドし、上にはかぼちゃダマンドをという贅沢な一品。重さもそこそこにあります。よって、一口の充実感が半端なし!ベースのクロワッサン生地がさくっと弾けると、マッシュされたさつまいもがぎっしりホクホクと迎えてくれて、ありったけの体当たりでその胸に飛び込みたくなります(←優しくして)。さつまいもはホクホクとしながらも、実のつぶつぶ感と滑らかな部分とが同居し、なるほど、スイートポテトだもんねと納得するしなやかな印象です。

〈ブリコラージュブレッド&カンパニー〉

かぼちゃはゴロっと存在感が残されて、ほくっとしたあの温もり感じる食感で待っていてくれます。トップのかぼちゃダマンドと飾られた種がプチリプチリと香ばしいアクセントを放てば、口いっぱいに満たされる旨みの豊かさに震えることでしょう。あぁこの子を美味しくないって言う人とは私きっと仲良くなれないだろうな。(急なマイナス発言)

「さつまいもクロッカン」(手前)
「さつまいもクロッカン」(手前)

全国の食感マニア達よ立ち上がれ!そう号令をかけたくなるほど、カリッ、ザクっ、サクサクっと清々しい程に響きます。あ、咀嚼音マニアさんも集合!(You○ubeとかで流行っているんですよね?)さくっとクロワッサン界でもトップ10入りするエリート達ばかりを集めて分解して、まとめたようなクロッカンは(分かりづらいわ)、とにかくさっくさくカリッカリでバターが花開きます。だって僕ら全員元スター選手なんだよ?と言いたげにバターが華やかに甘みとコクを振りまくのです。

〈ブリコラージュブレッド&カンパニー〉

そこに角切りさつまいもがほっくり、シナモンがぱらりすれば、じゃじゃーん!ニューウェーブなスイートポテトの完成です。そう、クロワッサン生地でバター感を絶えず届けてくれるから、コロコロと入ったさつまいもと口内で初めて一体となってスイートポテトみたいな味わいに出会えるんです。わたしがさつまいもにバターつけるの大好きだって知っていたのかな(そんなわけあるまい)。そこに小憎いオレンジピールの演出が効いて、一段と洗練された印象をうけます。最後の一口までサクサクなのが最高。

「マロン トルーブル」
「マロン トルーブル」

栗の渋皮煮がゴロンゴロン。ポトっともしあなたがこの子を落としてしまったら、おむすびころりんよろしく斜面を転げるに違いないほど栗の姿がしっかり残っています(遠回りな比喩)。

〈ブリコラージュブレッド&カンパニー〉

噛むともちっと押し返し、口内に人懐っこくくっついてくる生地からは小麦のうまみと、黒糖の甘みとコクが滲み出て、栗の美味しさを味わうにぴったりな土台を作ってくれています。綺麗に茶色く色づいた表面からさらに香ばしさが立ち上がり、シンプルでありながらしみじみと美味しさと向き合えるパンです。

「いぶりがっこのバトン」
「いぶりがっこのバトン」

〈ブリコラージュ〉さんを知ってまず気になったのがこちらのパンでした。あの秋田のいぶりがっこがパンになった!?どんな感じなのか気になって気になって、ようやくご対面できました!いぶりがっこがシャキシャキさとカリカリさ、そして燻製の香りでしっかり己の仕事を全うし、エメンタールチーズが塩気とコクを運び、時折こちらも忘れるなよとカシューナッツが喝をいれてきます。そして最後は小麦が颯爽と横切って幕を閉じる。

〈ブリコラージュブレッド&カンパニー〉

とにかく旨味の掛け算が止まらなくて、これこそ世界に知られる「UMAMI」ではあるまいかとハッとしました。口内にUMAMIが充満する…これ、日本酒でもワインでもいけちゃうやつでは。というか、この口内に残った残り香だけで飲めちゃうやつです(コスパ良し)。

朝パンだけじゃもったいないほど、ご飯メニューも充実した二店。新たなパンとの楽しみ方を教えてくれるはず。朝ごはん食べない派なのっていう方もここならいつだって楽しめます!期せずして、残りわずかな秋に名残惜しくなったのか今回も秋らしいパンを中心としたセレクトになりましたね。次は12月、グッと一段と寒くなった頃お会いしましょう。

☆前回の記事「クロワッサンさえあればいい!仙台&大分にある名門ベーカリーの絶品クロワッサン。…〈kazunori ikeda individual〉と〈クロワッサンとコーヒーの店〉」はコチラから
☆『花井悠希の朝パン日誌』連載一覧はコチラから

花井 悠希
花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

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