テレビウーマン・小山テリハの「人生は編集できない」 アイドルという存在/小山テリハの「人生は編集できない」 LEARN 2022.09.28

テレビ朝日プロデューサー、ディレクターの小山テリハさん。自分や後輩の女性たちが少しでも生きやすく、でも面白い(ここ、重要!) 番組を作るために奮闘中の彼女が綴る、日々の悩みや疑問。第3回目は「アイドルという存在」。

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アイドルが好きです。
物心ついたときにモーニング娘。に出会って、今でいう「推し」が初めてできました。
そこからAKB48やももクロ、アイドリング!!!、ゆるめるモ!、いわゆるアイドル戦国時代のライブアイドル、乃木坂46など…
ずっと女性アイドルを目で追ってきました。

ステージの上の華やかな時間と引き換えに、人生の貴重な10代20代の時間の大半をアイドルとしての活動にそそぐ。陰の努力は当たり前すぎて誇ることもせず、ただただ私たちに素敵なパフォーマンスと笑顔を見せてくれる。 

♪女の子は比べられるのが大キライなの〜♪って深キョンも歌ってたけど、常に他のアイドルだけでなくグループ内でも人気やセンターや歌割りを争い、努力が報われたり報われなかったり…。プレッシャーやストレスが尋常じゃないと思うし、そんな中で容姿にも当たり前に気を遣わないといけないなんて、もうすごいすごい大変なことで。私のような忙しい時は寝起きすっぴんで出社し、風呂も諦めてしまうような人間からすると、本当に尊敬しかないんです。

アイドルとして、ライブで求められること、ファンの前で求められること、テレビ収録で求められることは全部違うし、主戦場でないバラエティ番組でカメラの前に出てくれることがどんなに大変かわかるから、その勇気になるべく全力で応えたいなと思っています。

前回のコラムで、「コンテンツ孝行」なんて大それたことを言いましたが、初めてモーニング娘。のコンサートに行った時の感動は今でも覚えてますし(歌がうま過ぎて、ませていた小学生の私は母に「これって本当に口パクじゃないんだよね?」とびっくりして聞いてしまった思い出付き)、後藤真希さんのミュージカルで前から4列目の神席を引いた時は目があった気がして固まって動けなくなりましたし、気がつくとAKB48の振りをカラオケで親友と踊ったりして、劇場公演に行ったらみんな可愛くて距離が近過ぎて死にたくなりましたし、ゆるめるモ!の曲に出会ってからは私の生きる楽しみはライブに行くことだと確信を持てました。
海外旅行先などに行き、SNSやwebで推しのライブレポを読むと、物理的距離からか苦しくなってしまい、海外移住はこの先ないなと思ったし、社会人になってからはスケジュールの自由がきかなくて、取ったチケットを何枚無駄にしたかわかんなくて、「なぜ私はライブに行きたくて生きてるのに、ライブに行けなくなってしまってるんだろう」と本気で悩んで、何回泣いたかわかんないです。

恋人とのデートはごめん、また来週に、ってできるけど(だいたいの場合)、卒業コンサートや生誕や周年コンサートはその日その時しかないんです。
対バンの20分の出番のために、「今しかない」と思って六本木からお台場までタクシー飛ばして行ったこともあります。失礼ながら、恋人のためにそんなことはしません。
そのくらい私にとってアイドルというものは、生きるモチベーションをくれるキラキラした存在で、彼女たちがステージに立てる時間は「今しかない、この瞬間」の連続だと思ってます。

脱線してしまいましたが、私がテレビの仕事をする理由の一つに、まだスポットライトが当たってない人を応援したいとか、すでにその世界では知られてる人を、その世界の外側へ、もっと多くの人に知って欲しい、世の中により一層見つかってほしいという思いがあります。

担当番組「ホリケンのみんなともだち」に乃木坂46の賀喜遥香さん、AKB48の馬嘉伶さん、アンジュルムの竹内朱莉さんや伊勢鈴蘭さん、為永幸音さん、モーニング娘。'22の石田亜佑美さんに来ていただいたときのこと。

台本にはない、その場で突然生じた流れをくみとってくださったり、「素」に近い天然な部分だったり、無茶振り?とも思える場面で前のめりに特技の歌やダンスを披露してくださったり、本当に一生懸命にこたえてくださって、一人一人全然違う個性がある素敵な方ばかりで。

企画や編集では、どんな番組でもその人の良さが出るようにしたいなぁと心がけていますが、OAを見た作家さんや先輩から「あの子、知らなかったけど面白いね。」と言ってもらえたりすると本当に嬉しくて、ちょっと誇らしかったりして。

これを見た他のテレビマンがキャスティングして、別番組にも呼ばれたらいいな、とも思うし、グループ名は聞いたことがあっても、一人一人どんな子がいるかは知らない、みたいな人に届いて、こんな面白い子がいるんだなって覚えてもらえたらいいなとも思ったり。
お前は親か、って思われるかもしれませんが。笑

あなたは番組を華やかに彩るだけに呼ばれた「女の子枠」を埋める1人の女の子じゃなくて、あなただから必要とされてる、特別なあなたです。私にとってはそうです。

バラエティ番組にアイドルグループから1人で出てくるのがいかに心細いかとか、面白いのプロである芸人さんとお仕事して「ああ自分のおしゃべりはまだまだだな」と凹んじゃうとか、そんな経験の全てが、一人一人の女の子の人生を豊かに彩る感情として残ってくれることを願って。

言わせてください。


アイドル、最高!!!

そしていつか、アイドル番組を本気でやりたいので、彼女たちのキラキラを原動力に、私ももっともっと、精進します!

「ネイルがこんなに幸せをくれるものだったとは…」2022年9月某日
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