学芸員ラジオDJのDJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 「今度はどの美術館へ?アートのいろは」浮世絵最強列伝 ―江戸の名品勢揃い― LEARN 2018.09.20

ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたというDJAIKO62さん。コラム連載6回目は京都の〈承天閣美術館〉で開催中の特別展をご紹介です。みなさんもアートとの一期一会に出かけてみませんか?

さぁ、今出川エリアへ。

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京都御所、〈同志社大学今出川キャンパス〉、そして今回訪れた〈相国寺〉。それは広大で、かつては144万坪に約50の塔頭を有した名刹です。境内を歩いていると自転車が追い越したりすれ違ったり、確かにこの辺りをまわるなら自転車が快適だろうなと思います。有名なところでいうと伊藤若冲の「動植綵絵(三の丸尚蔵館)」と共に奉納された「釈迦三尊像三幅」も〈相国寺〉の所蔵ですし、〈金閣寺〉や〈銀閣〉も〈相国寺〉の境外塔頭です。

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先ほどの写真から歩いて5分程、やっと〈承天閣美術館〉の外門に到着。

驚くべき最強の浮世絵コレクション

1958年から61年に米空軍士官として来日したリー・ダークス氏がその後記者や経営者として活躍した後、来日時に興味を持ったという浮世絵の蒐集を始めました。

コレクションは浮世絵の歴史を辿るかのごとく初期から幕末にわたり、状態がとても良い貴重なものばかり。これだけのものをわずか20年足らずの期間で蒐集したというから驚きです。また、誰かのコレクションを一括して譲り受けたものではなく、一点一点買い求めているそう。

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私が訪れた前期で印象に残ったのがこちら。鈴木春重(司馬江漢)「禿の雪まろげ」です。空刷りといって、傘に積もった雪がエンボス加工されたみたいに盛り上がって表現されています。

京都会場は前期・後期総入れ替え!

今回来日している浮世絵は計166点、作品保護の観点から展示環境にもきめ細やかな指示が入りました。前期は8月5日までで終了、後期は9月30日までと展示作品を総入れ替え。

リー・ダークス氏がコレクションの中でも一番重要だという世界に3点しか遺存が確認されていない葛飾北斎の「風流なくてなゞくせ 遠目鏡」は後期の出展です。

葛飾北斎「風流なくてなゝくせ」 遠眼鏡 享和年間(1801~04年 大判錦絵) 
葛飾北斎「風流なくてなゝくせ」 遠眼鏡 享和年間(1801~04年 大判錦絵) 

オリジナルグッズも充実。

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私はマスキングテープやメガネケースが気になりました。浮世絵とポップでビビッドな色合いはとても合います。外国からおみえの方にも人気が出そうですね。

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なんと暗いところで光る蓄光塗料を使ったオリジナルのTシャツも。かっこいい!

我々が見過ごしているかもしれない日本文化の魅力を再確認できる特別展ともいえるでしょう。このあと横浜、東京日本橋、大阪の〈高島屋〉にて巡回展を予定しています。

「サンタフェ リー・ダークスコレクション 浮世絵最強列伝 ―江戸の名品勢揃い―」展
■会期:前期2018年7月3日(火)〜8月5日(日)
    後期2018年8月8日(水)〜9月30日(日)
■開催時間:10:00〜17:00(最終入館は閉館時間の30分前まで)
■会場:〈相国寺承天閣美術館〉
京都府京都市上京区相国寺門前町701, 相国寺内

チケット情報やアクセス、休館日、巡回展他詳細は以下公式サイトをご確認ください。
www.nikkei-events.jp/art/ukiyoe/

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