出会いを重ね、会社から独立して編集者が作った新しい形のブックカフェ、表参道〈HADEN BOOKS:〉。
2018.02.28

第18回 編集Tが通う、心やすまるカフェ&喫茶店。「渋カフェ」その19 出会いを重ね、会社から独立して編集者が作った新しい形のブックカフェ、表参道〈HADEN BOOKS:〉。

Hanakoスイーツ担当が、よく訪れるカフェ&喫茶店をご紹介しています。レトロなテーブル、懐かしくてかわいいメニュー。不思議と落ち着く「渋カフェ」。お茶をいただきながら、その店それぞれのストーリーを。前回の千歳烏山〈喫茶宝石箱〉はコチラ。連載トップはコチラ。19回目は出版社を経て編集者が始めたブックカフェ〈HADEN BOOKS:〉。
久冨 俊裕
久冨 俊裕 / Hanako編集部

「エディター。スイーツ担当。」

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今回の渋カフェは表参道の〈HADEN BOOKS:〉。根津美術館の近所にあるブックカフェです。大きな窓。気持ちいい空間。

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お店をやっている林下英治(はやしたえいじ)さんは、以前もブックカフェで働いていました。その店は出版社の直営で、文筆家・喫茶写真家の川口葉子さんの著書『東京カフェ散歩』にも登場する人気店です。下の写真がそのカフェ。

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林下さんが現在の〈HADEN BOOKS:〉を開くまでには、いくつかの出会いがありました。話は林下さんの学生時代まで遡ります。

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入ってすぐのブックコーナー。個性あふれる雑誌や書籍は、「この場所を通じて作家や編集者本人と出会っていくなかで、自然と集まって出来たラインナップなんですよ」

林下さんの実家は地方にある本屋さんでした。高校の頃は雑誌を読みこんで東京の街に憧れていました。しかし、大学に入って実際に歩いた東京は少し印象が違ったと言います。「雑誌で見たのは、作り手の目を通して編集された街だったんです。あるがままもいいけど、編集されてより輝いた世界に、俄然興味がわきました」

そんなある日、林下さんは、ファッション誌のレポーターの募集告知を見かけます。即座に応募し、熱意がほとばしる書面は難関を突破。当時の副編集長から電話がかかってくるまで、そう時間はかかりませんでした。「一度編集部に遊びに来てみる?」。気がつけば、読者ライターとしての生活が始まり、大学に行きながら誌面に登場したり、憧れの現場に立っていたそう。

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チクタクと心地良い音を立てるアンティークの目覚まし時計。

その頃同時に、築地にあるアートスクールに通い、著名人のレクチャーに聞き入ったことも。やがて就職活動を始め、出版社に入社したのは自然な流れでした。

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アンティークの家具やピアノがかわいい店内。ピアノの鍵盤をかたどった「ジャズ羊羹」はSNSでも大人気。650円焼き菓子付き。

出版社時代の林下さんは、営業をしながら編集をしたり、他のスタッフと同様、複合的に動いていたそうです。熊本の書店の店主と知り合ったのも、そのとき。

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熊本〈橙書店〉の田尻久子さんが編集するリトルプレス『アルテリ』。〈HADEN BOOKS:〉の店頭に並ぶ本からは、林下さんの出版物への愛情が伝わってきます。

熱意あふれる林下さんは、出版社の社長にも一目置かれ、編集だけでなく様々な仕事を任されます。「そのときの会社のモットーが『人と旅』だったんです。それがどの仕事にもつながっていたし、自由な誌面作りの姿勢は、今も影響を受けています」

やがて社の引越しに伴い、物件探しやインテリアを一任された林下さん。新設されたブックカフェの店長になったことが、今へとつながっていきます。

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「店長と言っても最初はマネージメントが中心で。現場は書店コーナーに2名、カフェに2名のスタッフがいて。会社の方針を彼らに伝えて管理するのが仕事。でも、あれこれ指示をしていたある日、『現場を知らない人に言われても響かない』とスタッフから言われて」

「それからは希望を出して店頭に立ち、コーヒーを淹れたり、一緒に店で働き始めました。もともとカフェをやりたいと思っていたわけじゃなかったけど。本を選んだり、お茶を出したり、イベントを開催したり、気づいたら雑誌を編集するのと同じようにカフェをやっていましたね」

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コーヒーは、オリジナルブレンドを〈堀口珈琲〉から。フレーバーコーヒーを〈BROWN’S Cafe & Beans〉から。ミントチョコレートのようなフレイバーコーヒーは700円。テイクアウトの豆も販売。

ブックカフェの楽しさに目覚めた林下さん。やがて時代の流れと共に独立したいと思うようになります。「表参道・青山エリアで場所を構えたいと考えはじめたそのタイミングで、偶然今の大家さんと出会って」

「自分は人に恵まれているとよく言われます。学生時代にライターをしたファッション誌の副編集長、出版社時代の社長、そして今の大家さん。他にもたくさん」

「あなたなら大丈夫! ウチに空いてるスペースがあるんだけど」。初めて会ったばかりの大家さんと会話が盛り上がり、力量を見込まれた林下さん。そして2013年、現在の〈HADEN BOOKS:〉がオープンします。出会いから、半年後のことでした。

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上の写真は、2018年2月24日〜3月11日に写真展が開催されるチェリスト・作曲家の溝口肇さんの写真集。期間中にはトークセッションや演奏会も(要予約、別途入場料あり)。人気のジャズ羊羹は、大分県湯布院〈じゃずとようかん 湯布院本店〉から。店主が、林下さんが好きな向田邦子さんのエッセイをヒントに考案したものだそう。ジャズ羊羹・クラシック(化粧箱入り)2000円。

今も日々出会いがあふれる編み上げられた場は、カフェでもあり書店でもあり、ギャラリーでもあり、イベントスペースでもあり。まさに一つの雑誌のよう。「いまも飲食店をやってる感覚は無くて。来た人がどんな場なのかを感じてくれたら、それでいいかなと思って」

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表参道から少し裏に入った路地という場所も気にいっているそう。「街がどう変わっていくか。これからの東京が楽しみです」

林下さんは、昔、東京に憧れていた少年のまま、今日もカフェという場所で、新しいページを生み出そうとしています。もしかしたら、カフェを開きたい人は相談に乗ってもらえるかもしれません。たとえそれが辛口の言葉でもそうでなくても、一歩前進。それは既に新しい出会いだから。

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〈音と言葉 “ヘイデンブックス”
HADEN BOOKS:by Green Land〉
◼︎東京都港区南青山4-25-10 南青山グリーンランドビル
◼︎03-6418-5410
◼︎11:00〜20:00
◼︎月曜お休み
◼︎14席
◼︎禁煙
◼︎www.hadenbooks.com

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