働く女性のための転機の準備 【はじめての投資】インフレ、円安…世界の出来事が暮らしに与える影響は? SUSTAINABLE 2022.08.02

日本の経済の深刻化が、暮らしにも影響しつつある。いま世界で起こっていること、これから起こりそうなことに目を向けて、自分で自分の資金を増やしていきたい。つみたてNISAやiDeCoなど、すぐに始めたい投資のイロハを学んでみよう。今回は、世界の出来事が暮らしに与える影響について考えます。世界のメガトレンドといわれる大きな動きやインフレ、円安など経済の動きは身近な問題。

【短期的視点】

1.インフレ
アメリカでは消費者物価指数の上昇率が8.6%と40年ぶりの高水準になり、日本にもだんだんと影響が。「2%程度のマイルドなインフレは経済にとってプラスですが、行きすぎると良くありません。アメリカでは金利を上げて経済を引き締める政策ですが、日本では金融緩和という逆の方針ですね」(宮本先生、以下同)

2.円安
根底にあるのはアメリカのインフレ。円とドルの売り買いが起こり、円安ドル高に。輸入品への依存率が高い日本では、国内の物価が上昇してしまう。「実は半導体や電子製品が国産だったのは遥か昔の話。エネルギー資源も輸入に頼っています。企業よりは消費者に影響する問題ですね」

【長期的視点】

1.人口構造の変化
日本の高齢化は突出しているが、他国も同じ問題に直面しつつある。現在、世界の65歳以上の割合は9%以上で、2060年になると16%まで上がるといわれている。「夫婦が95歳まで生活するには公的年金以外に2000万円以上の金融資産が必要」という金融庁の報告書も話題になり、老後の生活資金が懸念される。

2.テクノロジーの発展
IoT、ビッグデータ、AIなどの技術革新により、第4次産業革命が進行中だといわれている。コロナ下にテレワークが広まったように、テクノロジーの発展は私たちの生活を大きく変化させる。自動運転車の普及により、バスやタクシー、トラックの運転手などの需要や、個人所有の自動車も減少すると予想される。

3.グリーン化
地球環境に配慮した経済活動を行い、経済成長と環境保全の両立を図る“経済のグリーン化”が世界のトレンド。中でも温暖化の原因となる温室効果ガスを実質ゼロにする「脱炭素化」が推進されている。「これにより、たとえばガソリン車の部品を作ってきた人たちの働き方は変わらざるを得ません」

4.グローバル化
ハーバード大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などでは、インターネット上で誰でも無料で講義が受けられる「MOOC(ムーク)」というシステムを導入。モンゴルの小さな町でコースを修了し、MITから入学の招待を受けた例も。人も資本も労働力も、国境を超えた移動が活発化している。

Navigator…宮本弘曉(みやもと・ひろあき)

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東京都立大学経済経営学部教授。国内外の大学で経済学を学んだ後、国際通貨基金エコノミストを経て現職に。著書に『101のデータで読む日本の未来』(PHP新書)。

(Hanako1211号掲載/photo : Kenya Abe illustration : naohiga text : Megumi Suzuki , Kahoko Nishimura)

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