カルチャーで知るSDGs “戦う女性”を描いた【映画・ドラマ・本】8選!強く生き抜くための勇気とパワーをもらおう。 SUSTAINABLE 2020.11.27

なんだか難しそうと思われがちなSDGs、実は私たちの生活に身近なテーマばかり。現代社会が抱える課題について知るきっかけになる、映画やドラマ、本を紹介していきます。今回ご紹介するテーマは「女性のエンパワーメント」。女性が自立して働くようになった今でもなお、生活のさまざまなシーンで男女の格差を感じてしまう現代社会。そんな社会に立ち向かおうとした女性たちによる「女性の物語」に、強く生き抜くための勇気とパワーをもらおう。

1.『グッド・ガールズ!NY女子のキャリア革命』

Amazon Prime Videoにて独占配信中
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1969年のアメリカで、意識を変化させることを拒絶し古い価値観を押し付けようとする出版社の編集部を舞台に、若い女性社員たちが公平に扱われることを求めて戦う姿を描いたドラマ。彼女たちの革新的な要求はやがて急激な変化のきっかけとなり、働き方だけでなく恋愛や友情、結婚や性生活のあり方まで覆していくことに…。

MATSUYAMA’S RECOMMEND
「1970年代に出版社で働く女性46人が男女平等を求めて戦った実話が題材になっていると知ってびっくり。先輩女性たちのサクセスストーリーには胸が熱くなります。」

2.『Fleabag/フリーバッグ』

Amazon Prime Videoにて独占配信中
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フィービー・ウォーラー=ブリッジが主演、制作総指揮、監督、脚本を務めるドラマ。皮肉屋で常識破りの主人公・フリーバッグが、周囲の人間を振り回しながら内に秘めた悲しみや罪の意識と向き合っていく、切なくも笑えるブラックコメディ。第71回エミー賞コメディ部門作品賞を受賞し、イギリスでは社会現象を引き起こしたほどの大人気作。

CLARK’S RECOMMEND
「フィービーはまさにロンドンが生んだ天才!作品の素晴らしさはもちろん、女性による女性の物語がイギリス全土でこんなにヒットしたことに新しい風を感じました。」

3.『ハンナ・ギャズビーのナネット』

Netflixオリジナル作品『ハンナ・ギャズビーのナネット』独占配信中
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オーストラリアのコメディアン、ハンナ・ギャズビーによるスタンドアップコメディ。レズビアンである彼女が、女性であるがゆえ、性的少数者であるがゆえに受けた心ない言動やさまざまな葛藤、社会や男性への怒りをネタに語り倒す姿は、まさに圧巻のパフォーマンス。他のコメディとはまた一味違う、見た後にじっくり考えさせられる作品。

CLARK’S RECOMMEND
「つらい経験を笑いに変える…と見せかけてどんどんシリアスな展開に。「この世界は男性権力者が己の評判を保つために回ってきた!」と怒る姿に胸が熱くなりました。」

4.『ピリオド ─羽ばたく女性たち─』

Netflix映画『ピリオド -羽ばたく女性たち-』独占配信中
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女性の月経をタブー視する風潮が根強いインドの村で、低コストかつ衛生的なナプキンを自ら製造・販売することで自立を目指す女性たちの姿を追ったドキュメンタリー。26分という短い時間の中に静かな大革命を凝縮し、第91回アカデミー賞では短編ドキュメンタリー賞を受賞した。徐々に自信を得て輝き始める女性たちの表情から勇気をもらえる。

KIMURA’S RECOMMEND
「まるで女性であることを恥じらうように俯いていた彼女たちが、自らの力と可能性を自覚し、口々に夢を語り始める姿に心を動かされました。真の希望を感じるストーリーです。」

5.『82年生まれ、キム・ジヨン』

日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説を映画化。ごく平凡な現代女性、キム・ジヨンが育児と家事に追われる中で感じている重圧や生きづらさを見事に描く。すべての女性の心にきっと響く必見作。新宿ピカデリーほか全国公開(配給:クロックワークス)

MATSUYAMA’S RECOMMEND
「当事者である女性ですら気づかなかった、世の中に転がるささいな女性差別をも拾い上げて浮き彫りにした本作の功績は大きい!原作を読んだ人も納得の映像化です。」

6.『はちどり』

本作が初長編作となるキム・ボラ監督が、自身の体験をヒントに作り上げた人間ドラマ。経済成長を迎えた1994年の韓国・ソウルを舞台に、14歳の少女ウニが家族や同級生との関わりの中で感じる孤独や葛藤を繊細に表現している。公開中(配給:アニモプロデュース、配給協力:ギャガ)

OBA’S RECOMMEND
「忙しい両親は男である兄ばかりを尊重し、そんな兄からは陰で暴力を振るわれているウニが、漢文塾の教師であるヨンジ先生との出会いを通じて強く成長していく姿に感動。」

7.『ありがちな女じゃない』レナ・ダナム 著/山崎まどか 訳

『ありがちな女じゃない』

女優・監督・作家として活躍する著者が、自身の恋愛、セックス、身体、友情、仕事…すべてをさらけ出したエッセイ。赤裸々なストーリーのところどころに、誰もがきっと共感できるポイントが。彼女が製作・脚本・監督・主演を務めたドラマ『GIRLS/ガールズ』とあわせて読めば、より深く楽しめるはず。(河出書房新社/1,800円)

OTABE’S RECOMMEND
「クリエイター、フェミニストとして今を生きる筆者のユーモアとペーソスにあふれたリアリティに触れながら、女性と真摯に向き合うことについて考えさせられました。」

8.『かしこくて勇気ある子ども』山本美希著

『かしこくて勇気ある子ども』山本美希著

女性を描き続けてきた漫画家・山本美希さんの6年ぶりとなる長編作。第1子を妊娠し我が子への期待を膨らませる夫婦は、出産を目前にひかえたところに、ある賢くて勇気のある少女の身に起きた事件を知る。無邪気に信じていた未来が揺らぎ、動揺する夫婦は、これから生まれてくる子どもに何を伝えたらいいのか…。(リイド社/1,800円)

KIMURA’S RECOMMEND
「これだけの情報社会の中で、子どもを産み命を繋ぐとはどういうことなのか。40代、独身。子を持たない自分に対して「産む/産まない」を改めて問うてくる物語です。」

Navigators

・小田部仁(おたべ・じん)/ユースカルチャー 誌『Quick Japan』編集部を経て 独立。現在はフリーランスで文筆 ・編集業に携わる。
・木村綾子(きむら・あやこ)/文筆業のほか、〈蔦屋書店〉で企画と制作を行う。『Hanako.tokyo』で「あなたに効く本、処方します。」を連載中。
・松山 梢(まつやま・こずえ)/雑誌『ROAD SHOW』の編集を経てライターに。映画や演劇、ライフスタイルに関する記事を執筆。
・大場桃果(おおば・ももか)/フリーランスで 雑誌や書籍、Wedなどの編集に携わる。高校や大学が舞台の作品に目がない青春映画マニア。
・クラーク志織(クラーク・しおり)/武蔵野美術大学を卒業後、2012年にロンドンへ移住。イラストレーターとして雑誌や広告を中心に活躍中。

(Hanako1190号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Momoka Oba)

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