理想を追い求め、動き続けている人たちに聞く。 仕事、結婚…生き方を選ぶ。 #4/クリエイティブコンサルティング〈stillwater〉『個性を伸ばしつつ、チームであり続ける。』 SUSTAINABLE 2020.12.04

働き方に結婚、出産や自分の体について…、日々は選択の連続。突きつけられる選択肢に迷ったり、間違ったり、軌道修正をしながらも、自分の道を歩み続ける、わたしたちの話。「どこで」「誰と」「何をして」働くのが自分にとって心地よいのか。理想を追い求め、動き続けている人々の話。今回は、クリエイティブコンサルティング〈stillwater〉の方々にお話を伺いました。

“面白いことができる”そんな予感がした。

クリエイティブコンサルティング〈stillwater〉

白石宏子さん、玉置純子さん、青木佑子さんは、同時期に〈IDÉE〉に勤務していた仲間。それぞれ退社した後、白石さんはアメリカのミネアポリスへ。そこでの暮らしがのちのクリエイティブチーム〈stillwater〉の設立につながった。「ミネアポリスは街と自然が近くて、玉置と青木、私の先輩の石原未紀さんに遊びにおいでよって声をかけたんです」(白石さん)

現地で合流し、循環型スーパーマーケットや市民が運営する近現代美術館などを一緒に巡りながら、“いいな”と思ったことをシェアし合った。そして、白石さんが帰国後に再結集。「なんとなく好きなことが似ていて、このメンバーだったら何か面白いことができるんじゃないかと思い、チームを組むことに」(白石さん)ワークショップの企画・運営から始まり、人の縁が広がって、徐々に行政や企業のブランディングなどの仕事が増えていったという。

立場は対等。給与は一律。代表は4年ごとの交代制。

今年に入って石原さんが卒業し、3人に。ただし、3人になっても全員が創業者であり出資者であることに変わりはない。メンバーの立場は対等で、代表職は年ごとに交代。給与は完全一律で、決まった役割分担はなく、それぞれの得意分野でプロジェクトごとのメインを決め、誰かがサポートに入る。「青木は人をつないでいくのが上手なので行政の仕事が多いですね。白石は会話が得意だからブランディングの案件が多い。立ち上げのような勢いが必要なのは私かな」(玉置さん)

そして、どんなプロジェクトでも1人で進めることはないという。「メインの仕事を2人に相談することで冷静になれたり、新しい視点をもらったり。誰かの仕事がほかのプロジェクトにつながることもある。いいと思うものは似てるけど、考え方はそれぞれ違うから、いろんなことができる。変幻自在なところが〈stillwater〉の面白さかなと」(青木さん)

個性を伸ばしつつ、チームであり続ける。

「考えてみれば、発注者は男性が多いですね。“女性のチーム”をウリにしているわけではないけれど、私たちが当たり前にしている空気作りやこまやかな感覚に価値を感じてもらっている気はします」(青木さん)女性チームのメリットをあえて挙げるなら、と白石さんはこう続ける。「女性特有のバイオリズムを理解し合えることかな。出産後も仕事をしたいという意思を尊重し合えるのも心強いなと思います」“ただし、議論も多い”と人。ほかの人だったら見逃すようなささいなことも正直に指摘し合う。「友達でも家族でもないからこそ話せることもあります」(青木さん)

コロナ禍によって“チームであることの意味”を改めて考えたそう。「私は組織の中で、人で動くことが多かったのですが、人でやれる範囲はすごく狭い。人でやったほうがアイデアも生まれやすいし、人脈も広がる。同じものを見ても捉え方が異なっていたり、視点が違うことが面白く、だからフィードバックの時間はいつも長くなるんですけどね」(玉置さん)最近では各地の作り手たちとオリジナル商品の開発も。間もなくリリース予定の土鍋と食器は信楽の窯元と話し合いを重ねながら手がけた自信作。これを使って、みんなで食卓を囲みたいと話している。「そろそろ新しい風を入れるタイミングなのかもしれません。変化があっても、“今日をどう豊かに暮らすか”という考えを体現し、心から楽しんでいれば、それがまわりにも伝わっていくと思います」(白石さん)

迷った時の支え…『ザ・キッチン』 スタジオ・オラファー ・エリアソン

ザ・キッチン

現代美術家のオラファー・エリアソンがスタッフたちとスタジオで一緒に作っている美しいベジタリアン料理のレシピ集。「仲間と食卓を囲むだけではなく、クリエイションやインスピレーション、コミュニティや進化を大切にしていきたい。そんな気分を思い出させてくれる一冊」(美術出版社/5,200円)

My decision

・〝今日をどう豊かに過ごすか〟を真剣に考える。
・どんな仕事も人で進めずメンバーに相談する。
・ささいなことでも本音で話し合う。

Biography

・2001〜:〈IDÉE〉に白石さん、玉置さん、青木さんが勤務。
・2008:それぞれ〈IDÉE〉を退職。白石さんはミネアポリスに移住。白石さんが暮らすミネアポリスに青木さん、玉置さんが訪れる。
・2011:白石さんが帰国後、石原さんを含めた4人で〈stillwater〉を設立。
・2011〜2019:初代代表を石原さん、2代目代表を玉置さんがそれぞれ4年間担当。白石さんが3代目代表に
・2020:就任。石原さんが退職し3人体制に。

〈stillwater〉

白石宏子さん、玉置純子さん、青木佑子さんと石原未紀さん(現在は退職)の4人で2011年に創業。企業のブランディング、商品開発、セミナーやワークショップの開催など多岐に活動。

(Hanako1190号掲載/photo:MEGUMI, Tomo Ishiwatari, Andy Jackson, Keiko Nakajima, Naoto Date illustration:Manako Kuroneko text:Rie Hayashi, Mariko Uramoto, Makoto Tozuka, Miho Oashi, Rio Hirai edit:Rio Hirai)

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