応援の気持ちをドネーションという形に。 「ドネーション (寄付) 」の意義とは?モデル・環境アクティビスト 小野りりあんさんが考える“未来への投資”。 SUSTAINABLE 2020.12.01

「ドネーション(寄付)」なら、助けたい団体や人への直接的な支援に。そうはいってもなんだか敷居が高い?生活の一部としてごく自然に寄付を行っている小野りりあんさんに話を聞けば、例えば服や髪、SNSでの発信も「寄付」。どんな企業やものにお金を使うか選ぶのも、欲しい未来への投資だ。

お金、髪、時間。寄付は、あなたの資源を分けること。

レジ袋が有料化し、スタバのストローも紙製に。市民レベルでエコ意識がいよいよ高まった今年だが、小野さんによれば「マイバッグを持つだけでは、地球に与えられるインパクトは正直少ない」。あれっ、意味がない?「いいえ、そんなことはありません。マイバッグを持つことで、環境を意識する練習になる。そこから始めて、エコな電力会社に乗り換えたり、みんなと一緒に活動を広げていけば必ず変わるんです」。もちろん一人一人の取り組みは大事だが、自分の力ではやり切れないことも多い。そんな時に「寄付」は有効な手段だと彼女は言う。

「〈グリーンピース〉など私には毎月一定額を寄付している団体があります。あとは、先ごろのモーリシャスの事故など、その時々での寄付も。例えば海の生物を助けたいと思っても、自分の知識や経験、限られた時間では直接的にはできません。でも、寄付することで代わりに誰かに活動してもらえる。自分が寄付することで、こういう世界になってほしいと思う未来に近づけられている感じがするのがうれしいんですよね」

とはいえ、お金の寄付はなかなかに敷居が高い。そして正直、ちゃんと使われているかなと不安にも…。「よく『私のお金は100%木を守ることだけに使ってほしい』という人がいるけれど、例えば木を守る活動をするためにはいろんな企画運営が必要で、関わる人も健やかに暮らせる資金がなければ継続的にできません。そうした理解がまだ日本では進んでいないと感じます。また活動内容はメールなどいろんな形でシェアしてくれるところが多いですよ」

また、ライブやスポーツ観戦に行けばグッズを気軽に買うが、小野さんによれば寄付はそれと同じ。「その団体のやっていることが好きだから、いいと思うから応援のつもりで寄付をする。お金がない学生さんなどは、時間をあげるのも寄付です。ボランティアをしたり、で拡散力がある人が告知をしたり、絵や文章が得意ならそれを活かしたり。

活動を続けていた親友が亡くなってしまい、想いを引き継いで。「短いのが好きだから大変だった!」。30cm伸ばすための2年という時間も、想いのこもったドネーション。
活動を続けていた親友が亡くなってしまい、想いを引き継いで。「短いのが好きだから大変だった!」。30cm伸ばすための2年という時間も、想いのこもったドネーション。

ドネーションは〝与える〞が語源。私もヘアドネーションをしましたが、お金じゃなくても、自分の持てる資源を与えること=寄付なんだと思います」。確かにそう思えば、何かできることはありそうだ。「気になるところから始めればいい。買い物は投票といいますが、まずは何でも調べて、それを作っているのはどんな企業か、商品がどう作られているのか背景を知ることも大切ですよね。買えば自動的に一部が寄付される商品もあります。最近も、『MY BANK MY FUTURE』という活動で環境に配慮した投資・融資を行っている銀行を探して広めたら、実際に投資先を変えた銀行もあります。買い物ひとつでも、電力会社やお金の預け先を選ぶことも、欲しい未来への寄付につながるんです」寄付は余裕がある人だけのものじゃなかったのだ。ドネーションとは、意思を持ってお金を使うこと、でもありそう。

Navigator…小野りりあん(おの・りりあん)

小野りりあん(おの・りりあん)さん

モデル・環境アクティビスト。1989年青森県生まれ、北海道育ち。自然に触れて育ったことが環境活動に目覚める契機に。現在モデルとして活動する傍ら、環境問題の情報発信を積極的に行う。

(Hanako1190号掲載/photo:Shinnosuke Yoshimori(model), Satoshi Kaneko, Masanori Kaneshita, Akiko Baba, Hiromi Kurokawa, Natsumi Kakuto styling:Nami Kagiyama(model)hair & make:Yumi Narai(model)model:Serena Motola foodstylng:Toshie Kikawada text:Kyoko Kashimura, Tomoko Yanagisawa, Aya Honma, Miho Arima edit:Nao Yoshida cooperation:UTUWA)

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