My Sustainable Life File#4 【サステナブルな暮らし #4】〈DEPT COMPANY〉代表 eriさん『ないなら自分で作ったり、ゲーム感覚で楽しむ』 SUSTAINABLE 2020.11.08

豊かな未来が続いていくよう、生活に創意工夫を凝らすこと。それは、積み上がっていく効果や新しい循環に喜びを感じられて自分自身も心地いい習慣に。自然体で楽しむ4人の暮らしを覗かせてもらいました。今回ご紹介するのは、〈DEPT COMPANY〉代表のeriさんです。10月28日(水)発売 Hanako1190号「気持ちいい生活の、選びかた。」よりお届け。

かわいい、おいしい。発見が続く理由に。

エシカルな素材の商品開発をしたり、電力を再生エネルギーにパワーシフトしたりと、地球のためにできることを楽しく実践するさん。サステナブルな未来へ発想豊かに向き合う秘訣とは?

「2020年はコロナ禍や仕事の在り方が変わるなど、古着の扱い方やものづくりの姿勢、生き方を見つめる機会になりました。15年ほど前から頭にあった、環境への持続可能な行動を改めて考えた結果、プラスチック素材を買わない、なるべくゴミを出さないなど、環境負荷をできるだけ軽減した生活を送ろうと決心」そこで始めたのが、使い捨てが当然だったティッシュやキッチンペーパーを布に替えること。鼻をかむのも、カレーをふくのも布で。シミは、除菌や消臭効果もある「618ホタテパウダー」で洗う。この洗剤は、食器洗いや風呂・トイレ掃除、マスクの除菌などにも使えて万能だ。「用途別の洗剤はなくていいと気づきました。ティッシュもキッチンペーパーも、紙の時は口をふくくらいでポイッとしていたのが、布になると枚を有効活用するように。無駄がこんなにあったとは!」

そして、買い置きの必要がなくなったことでも、心が軽く。使い捨ての紙を、洗って繰り返し使える布に替えることで、「買い置きのルーティン、嫌だな」と密かに感じていた、心への悪影響にも気がつけた。さらに、「布アイテムはゴミを減らすだけでなく、使い込まれていく姿も愛おしい」と笑うさん。ストイックに頑張りすぎると疲れてしまうけど、さんは見た目のかわいさも自分のセンスにフィットさせながら、楽しんでいる。「かわいい、おいしい。そういうポジティブな発見があれば、成功体験として次へつながります。プラフリーはもちろん大変ですが、同じ調味料でも瓶のものがないかを探したり、ないならいっそのこと自分で作ったり…ゲーム感覚で楽しめばいい。創意工夫で、かわいさも大切にしながら生活をアップデートできるって本当に楽しいことですよ」

親から継いだ店でセカンドハンドの仲介人に。

〈DEPT COMPANY〉代表eriさん

eriさんが2015年からオーナーを務める〈デプト〉はセカンドハンドを扱う。古いものも、丁寧にメンテナンスを加えることで、長く愛せる宝物に。eriさんはそうして、次の担い手へものを受け継ぐ手伝いをしている。

eriさん着用:eriさんが手がけているブランド〈mother〉のイタリア産のリサイクルカシミアとメリノエクストラファインウールを混紡した糸を使ったニットのセットアップ(予約販売終了)。

1.使い捨てていた紙の消耗品を1繰り返し使える布へシフト。

〈DEPT COMPANY〉代表eriさん

「布キッチンペーパー」の製作工程。リネンの布団カバーをキッチンペーパーの芯の幅にカット。手をふいたり、野菜の水気を取ったり、台ふきに。紙だと一日に複数枚使っていたのが、布なら1枚で済むのもメリット。

2.何度も洗濯して日々愛用。ゴミも出ずいいことずくめ。

〈DEPT COMPANY〉代表eriさん

作った「布キッチンペーパー」は、ペーパーホルダーに巻いて、材料の布団カバーについていたボタンとボタンホールを利用したベルトで固定。カレーやコンロの汚れも気にせずふいているそう。ゴミが減りストレスフリー。

3.使っていなかったランチョンマットを「布ティッシュ」に。

〈DEPT COMPANY〉代表eriさん

15cm角くらいに切り、ロックミシンで赤い縁取りを。切りっぱなしでもいいけど、かわいい見た目でより気分よく。〈キントー〉の「SCHALE ガラスケース」にストックして、使ったら隣の空ケースへ。溜まったらまとめて洗濯を。

4.野菜は産直サービスで買い、プラフリーの梱包依頼を。

〈DEPT COMPANY〉代表eriさん

食品輸送にかかるエネルギーを抑えるため、「ポケットマルシェ」や「食べチョク」などのサイトから、近距離の農家へ野菜をオーダー。ポリ袋を使わないよう頼んでいる。梱包材の新聞紙は愛猫のトイレ掃除などに利用。

〈DEPT TOKYO(デプトトーキョー)〉

〈DEPT COMPANY〉代表eriさん

〈デプト〉では、ジャンルや年代を問わず、存在感や主張のある古着をセレクト。店内には、eriさんが雑誌の切り抜きでコラージュした、先代からあるトルソーも。行き場のない古着の救済プロジェクトとして、リペアコストを抑え手頃な価格で販売する「デプトスリフト」のラインも扱う。
■東京都目黒区青葉台1-13-12
■03-3780-4455
※現在は店舗を休業し、オンラインショップで営業。
公式インスタグラム(@d_e_p_t)から確認を。

Profile…eri(えり)

ニューヨーク生まれ、東京育ち。ヴィンテージストア〈デプト〉オーナー兼バイヤー〈mother〉〈TOWA CERAMICS〉〈VTOPIA〉デザイナー。国際的視野で環境への思いや服作りの哲学を発信するインスタグラム(@e_r_i_e_r_i)も話題を集めている。

(Hanako1190号掲載/photo : Akiko Baba, Aya Sunahara, Kyosuke Azuma)

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