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2022.03.02

第15回 夏子の大冒険 〜美術館をめぐる旅〜 巨大空間・大谷資料館へ。『地下と深海』編

今回の大冒険の舞台は〈大谷資料館〉。宇都宮市・大谷(おおや)町の地下に広がる巨大空間は、元々、石を掘り出すための場所で、現在は資料館として開館しています。一見、「それ、博物館?」という指摘も飛んできそうですが、私にとっては冒険心をくすぐられ、神秘的な雰囲気を楽しむことができるアートスポットです。

石を求めて。

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前回、〈江之浦測候所〉を訪れて石の虜となった私は、宣言通り、石を求めてやってきました。“採石場” だったというだけあって、360度どこを見まわしても、石! です。地下から地上を見上げると、わずかに降り注ぐ自然光。あの小さな穴から、どれだけの石を掘り上げたのかと想像するだけで、人間の不屈の精神にゾクゾクさせられるのでした。

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「地下と深海」

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「毛玉取り」を初めて使った。電動の毛玉取りだ。生まれて25回目の立春を通り越そうとしている時に、毛玉取りの便利さに感動して、毛むくじゃらのセーターや手袋を取り出しては、嬉々として取っている。

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なぜ突然こんなことを始めたかと言うと、取材日の前夜、下調べのために〈大谷資料館〉のホームページを開くと、〈本日の館内気温:2度〉という案内を発見。「これはまずい!」と、用意したありったけの防寒グッズが、すべて毛玉だらけだったという訳です。

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ところで、調べていて気付いたのだけど、私、ひょっとするとこの地下空間が苦手かもしれない。というのも、最近、閉鎖された空間が信じられなくないくらい怖いのだ。

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これが結構深刻で、例えば電車に乗ることさえも怖かったりする。両脇に人が座っていると、それだけで息苦しくなってしまうし、井の頭線の「神泉駅」に差し掛かった時みたいに、突然外の景色が見えなくなると、冷や汗が滲んでいる。

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「なっちゃん、また生きにくくなっちゃったね…」とマネージャーさんからのひと言。そう、地下鉄に揺られながら通勤する道は残されていないと悟ったのだ。

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そんな自分が、はたして深さ30mの地下世界に潜ることができるのか。そういえば、サーフィンはしているけど、昔から海に潜るのも苦手であった。

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とまあ、色々考えを巡らせていたけど、実際にたどり着いた大谷資料館は本当に気持ちのいいところだった。波打つ岩肌にときめいて、深くふかく続いていく階段を降りていく度、インディ・ジョーンズの『魔球の伝説』を観た幼少期の興奮が蘇る。世界から遮断された石の中は、ひんやりしていて気持ちがいい。

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もしかしたら、深海の中もこんな感じなのかもしれない、とぼんやり思った。

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今回訪れたのは…〈大谷資料館〉

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いつも取材先で案内をしてくださる学芸員さんのお人柄は、毎回の取材の思い出を大きく彩ってくれます。丁寧に説明してくださる方(埋蔵文化財調査センターの宮本さん)、寡黙に鑑賞を見守ってくれる方(深沢小さな美術館の友永さん)、情熱に溢れた方(早稲田大学演劇博物館の木村さん)、はたまた弟子入りを許してくれるお父さん(東京染めものがたり博物館の浅野さん)まで。

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今回、案内してくださった小野友也(おの・ゆうや)さんは、なんだか久しぶりに会った親戚みたいな方でした。石の中でホッとできたひとつの要因かもしれません。

地下坑内への入口は、こちらの建物から。大谷石にまつわる「展示室」も併設。
地下坑内への入口は、こちらの建物から。大谷石にまつわる「展示室」も併設。
巨大建造物を思わせる幻想的な空間は、映画やドラマ、ミュージックビデオのロケ地として使われることもしばしば。
巨大建造物を思わせる幻想的な空間は、映画やドラマ、ミュージックビデオのロケ地として使われることもしばしば。
地下坑内への入口は、こちらの建物から。大谷石にまつわる「展示室」も併設。
巨大建造物を思わせる幻想的な空間は、映画やドラマ、ミュージックビデオのロケ地として使われることもしばしば。

〈大谷資料館〉

■栃木県宇都宮市大谷町909
■028-652-1232
■9:30〜16:30(16:00最終入館)
■火休
■800円

photo : Yumi Hosomi

夏子
夏子 / 女優・モデル

「1996年、夏生まれ。美術と文学、猫が好き。夢は『夏子の冒険(三島由紀夫)』で夏子役を演じること。」

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