夏子の大冒険 〜ちいさな美術館をめぐる旅〜 市原湖畔美術館の『メヒコの衝撃』へ。「色に魅せられた先人たち」編 LEARN 2021.09.01

ちいさな美術館を巡って、作品から思いを馳せるこちらの連載。第9回目の舞台は、夏になったら行こうと決めていた〈市原湖畔美術館〉。現在開催中の企画展『メヒコの衝撃』では、地球の裏側からインスパイアされた日本人たちの熱い芸術が展示されていました。

湖を望む美術館。

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真っ青な空と、もくもくと湧く雲、周りには見渡す限りの田んぼと緑。自然の中にひっそりと佇む美術館は、その建築自体が作品であり、建物の随所に遊び心溢れるアートが散りばめられています。目の前には、千葉県で最も大きな人造湖である「高滝湖」も。海で育った私の目には、“動かない水” が、なんだか神秘的に映りました。

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「色に魅せられた先人たち」

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「何色が好き?」と聞かれると、答えに困窮してしまう。大体どの色も好きだから。それに「黒が好き」と言えば暗い人なんだなと思われそうだし、「赤が好き」と言えば自己顕示欲が強そうだなこの人とか思われそうで、なんとなく「黄色…?」みたいな返事になってしまう。いや、黄色好きなんだけども。

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私は1年のうち、半年は真っ黒の服を着て、もう半年は原色の服を着ている。黒のシーズンが来ると、スティーブ・ジョブズのごとく黒いTシャツを毎日着る。そしてある日、季節の変わり目の夕焼けの空が信じられないほどピンクだったとかそういう理由で、青いワンピースを着始めたりする。そう、理由はあってないようなもので、まあ純粋に飽きるのだ。

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メキシコに渡り衝撃を受けた芸術家は多いという。メキシコの原色体験とは、どれだけ劇的なんだろう。

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銅版画家の深沢幸雄さんは、それまでのモノクロームの作品が一変、鮮やかな色彩版画を制作するようになった。

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太陽と海と空が一気に襲ってくるような岡本太郎さんの『明日の神話』もメキシコで制作されたものだし、「死者の日」に魅了された絵本画家のスズキコージさんは、今でも目が眩むようなメキシコを描き続けている。

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私はメキシコに行ったことがないので、その衝撃は想像のうちにしか経験できない。でも、暗いニュースが続くと文字が灰色に見えてくる私でも、メキシコに行けば、もしかしたら、毎日が色で溢れるかもしれない、とも半分確信できる。明日は自己顕示欲丸出しの真っ赤なワンピースを着ようと決めた。

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今回訪れたのは…〈市原湖畔美術館〉

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大学で、スペイン語を専門に学んでいたので、メキシコの歴史や文化は勉強していました。卒業して以来のメキシコに触れて、学生時代には気づけなかったメキシコの熱気を感じました。胸が自然と熱くなる。知らなかった。それぐらい魅力的です、メキシコ。そしていつか絶対に行くんだ、メキシコ。

〈市原湖畔美術館〉

■千葉県市原市不入75-1
■0436-98-1525
■月休(祝の場合は翌平日)
■10:00~17:00、土祝前日9:30~19:00、日祝9:30~18:00
■入館料1,000円(企画展により異なる)

※『メヒコの衝撃』の公開は、9月26日(日)までです。

photo : Yumi Hosomi

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