ハナコラボSDGsレポート 熱く優しい、ファッショナブルな挑戦。香川照之が手掛ける昆虫×服育プロジェクト〈INSECT MARKET〉。 SUSTAINABLE 2021.03.06

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足! 毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第18回は、編集者として活躍する藤田華子さんが、俳優の香川照之さんプロデュースの“エシカル消費”に取り組むアパレルブランド〈INSECT MARKET(インセクトマーケット)〉二子玉川ライズ S.C.店を取材しました。

SDGs 藤田さん

子どものころ、弟と昆虫を追いかけて遊ぶのが大好きでした。レース細工のようなトンボの羽や、虹色に輝くタマムシ…不思議で、面白く、私たち人間よりもずっと昔から地球に存在している昆虫たちに魅せられ続け、私はいまもクワガタを飼っています。
今回は、教育番組で昆虫の魅力を発信している香川照之さんプロデュースの〈INSECT MARKET〉(二子玉川ライズ S.C.店)へ。昆虫モチーフのアパレル事業を中心に、環境問題や道徳に触れられるコミュニティスペースです。PR担当の醍醐由貴子さんにお話を伺いました。

「昆虫から、学んだことがたくさんある」

PR担当の醍醐由貴子さん。
PR担当の醍醐由貴子さん。

ーー俳優の香川照之さんがプロデュースしている〈INSECT MARKET〉って、どんなプロジェクトなんですか?

「教育番組での熱血授業の通り、香川プロデューサーは大の昆虫好き。いつも『自分は50年間虫を見てきて、学んだことがたくさんある』と仰っているんですけど、〈INSECT MARKET〉は、そんな香川さんが自然と触れ合い、昆虫と一緒に大人も子どもも成長できるようコミュニケーションスペースを作りたい!という想いで立ち上げた自然教育事業。知育記事や昆虫ドリルなども配信しているWeb版と、フラッグシップショップとしての二子玉川店があります」。

ーー“自然教育”と聞くと、キャンプや登山をイメージしてしまう親御さんも多そうですよね。

「そうなんです。興味深いデータがあるのですが、自然のなかで遊んだ体験が多い子は、自己肯定感が高く、能動的な行動を起こしやすいそう。自然を前に、自分で学んで、考えてを繰り返すからでしょうね。“自然教育”は近所の公園でアリを観察するだけでも、散歩中に咲く花について調べるだけでもいいんです。私たちはそういう瞬間を増やすお手伝いができればと思っています」。

ーーなるほど。その入り口として、昆虫をモチーフにした服育ブランド〈Insect Collection〉や、草花と昆虫のエシカルブランド〈Insect Garden〉、自然教育絵本のプロジェクト〈Insect Land〉があるんですね。

「昆虫がお好きな方、苦手な方、馴染みがない方にも身近に感じてもらえたらと、昆虫モチーフのアパレル商品や雑貨、絵本を作りはじめました。〈Insect Collection〉はリーズナブルな価格帯で、昆虫・自然を身近に感じ、親子の関係を深めてもらうためのブランド。服育の一環としてデザインに英語を取り入れたり、オーガニックコットン利用による労働環境の改善、店頭に着られなくなったお洋服の回収ボックスを設置するなど、SDGsについての周知も目指しています。人気は、新作の『昆虫時計Tシャツ』と、太陽に当たると虫かごの中に昆虫の絵柄が浮き出る『太陽カモン!シリーズ』。ちょっと仕掛けのあるデザインが人気です」。

花で象る、美しい昆虫モチーフ

ーー2021年春夏からデビューする〈Insect Garden〉は、昆虫がお花で表現されていてかわいいです…!

「こちらは、カナダ在住のクリエイターRaku Inoueさんによる、本物の花びらや葉っぱで作られた昆虫なんです。このブランドは、より環境に配慮し、一部の商品は再生ペットボトル100%で作っています。100%にこだわったのは、他の素材と混ぜて作ると、再分解・再生産するのが難しくなってしまうから。しなやかで、速乾性に優れているのでサラッとした着心地です。Hanako読者へのおすすめは、今日私が着ているフーディやTシャツですね。フーディには12種類の昆虫が集まっていますし、ナンバーシリーズのTシャツは誕生月やラッキーナンバー、好きなお花、好きな昆虫、お好きなアプローチでお選びいただくと愉しいと思います」。

花の種を漉きこんだシードペーパー。一晩水につけて土に埋めると数日で発芽するそう。
花の種を漉きこんだシードペーパー。一晩水につけて土に埋めると数日で発芽するそう。

ーーどれも素敵で迷います…!私たちの世代だと昆虫が苦手な方もいますが、こちらは喜ばれそう!

「たとえばテントウムシは、ヨーロッパでは幸せの象徴。体に止まると幸せが訪れるなんて言われているんです。テントウムシのグッズもあるので、ぜひラッキーアイテムとして身につけていただくのも素敵かなと思います。あとブランドタグは、さまざまなお花の種を漉きこんだシードペーパーなので、一晩水につけて土に埋めると数日で発芽するんです。そんなふうにいろんな仕掛けを盛り込んでいるので、愉しみながら使っていただけると嬉しいですね」。

ーーサイトを拝見したのですが、一注文ごとに64(ムシ)円を環境NPOに寄付できるシステムがあるんですね。また〈Insect Garden〉はお洋服を入れてお渡しする袋も、“透明の紙袋”を使うんだとか?

「そうなんです。お客様は意識することなく、自然貢献できるシステムです。お店を運営していくなかで、どうしてもビニール袋(通称OPP袋)のゴミが出てしまうことに課題を感じて、“紙で出来た透明セロファン袋”に巡り合いました。ちなみにこの袋を導入したのはアパレル業界初なんですよ」。

ーーすごい!こういう珍しい素材は、原価がお高いイメージなのですが…?

「するどいですね、実はこの袋、原価が通常のPOPの1,000倍かかります。でも私たちは、経済と社会と環境が循環しているのがSDGsだとしたら、『環境に良いことは、社会からの共感を得られ、それは経済成長にも寄与する。その成長をまた環境貢献に向け、好循環を作る』と考えていて。たとえばこのショッパーは、タピオカの原料であるキャッサバから作っていて、自然に土に還るんです。このショッパーが300円で消費者目線ではお高いと思うんですけど、私たちの想いを伝えると共鳴して『地球に貢献できるなら』とお買い上げくださる方がいらっしゃって、そういうお声はとても嬉しいですね」。

在庫ロス0が、スタンダードな社会になれば

ーーアパレルブランドが直面する問題として在庫ロスがあると思うのですが、そちらはいかがでしょう?

「ブランドを設立して2年半で40万点販売してきたのですが、いまのところ在庫ロス0なんです」。

ーーそれは素晴らしいですね!

「ありがとうございます。在庫ロス0を守り続けるために、流行に左右されずシーズン問わず着られるアイテムを心がけ、全生産商品を売り切ることを心がけます。また生産段階で出たサンプル商品などは、途上国に寄付しています。香川プロデューサーは『取り組みに関してはたくさん真似をして、競合が出てきて欲しい』と仰っているんです。こういうことが、スタンダードな社会になればいいなと。会社としては、無理をしていたら続かないですし、愉しく継続することを大事にしています。私たちもスタッフもお買い物に来られたお客様も、みんなに、愉しさが行き渡るようなやり方を採用していますね」。

ーー今後やってみたいこと、ビジョンなどを教えてください。

「地球の裏側で起こっている、社会課題などをもっと伝えていきたいと思っているんです。自分が日々使っているものの裏側には何があるのか?それを知ることで、視野が広がって、何かを選ぶきっかけになりますよね。オンライン上にはそんなことを学べるドリルやコンテンツも用意していますが、もっと子ども達と一緒に私たちも持続可能な地球について学んでゆける場所にしたいです」。

ーーお話しをしていたら、昆虫採集に行きたくなりました…!

「SDGsで日本が唯一世界から認められているのは教育の分野なんです。知・徳・体というのが日本の教育の特徴。体を鍛える、知識を入れる、道徳の3つがセットになっている。昆虫を観察することは、それがぜんぶできるんですよ。大人も子どもも、昆虫からの学びの輪を広げていきたいです」。

https://insect.market/

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