【特別篇】出張!『伊藤家の晩酌』in 尾道 vol.3/今田酒造本店「富久長 純米吟醸」と〈桂馬蒲鉾商店〉のマリアージュ。
2021.02.28

第78回 娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 【特別篇】出張!『伊藤家の晩酌』in 尾道 vol.3/今田酒造本店「富久長 純米吟醸」と〈桂馬蒲鉾商店〉のマリアージュ。

弱冠23歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 通常回をちょっとお休みして今回から全4回の特別篇をお届け! なんと伊藤家を飛び出し、父・テツヤゆかりの地、広島県尾道市で特別ゲストをお迎えしてイベントを開催した模様をレポートします。第3回は、尾道の老舗〈桂馬蒲鉾商店〉とのマリアージュをご堪能あれ!
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
伊藤 ひいな
伊藤 ひいな / 唎酒師

「東京生まれの24歳。大学入学時から割烹料理店でアルバイトをはじめ、20歳のお酒の解禁とともに日本酒にハマる。唎酒師の資格も取得し、日本酒の知識を増やすべく日々邁進中。父はHanakoをはじめ多くの雑誌で引っ張りだこの人気フォトグラファー、伊藤徹也。酒好き気質は間違いなく父親譲り!」

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「富久長 純米吟醸」に合わせるのは、尾道の銘店〈桂馬蒲鉾商店〉のかまぼこ。

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干し柿の形をした甘みたっぷりの「柿天」(手前左)、香ばしいごぼう天(手前右)、創業以来変わらない上品な味わいの百年蒲鉾(中央奥)をいただきながら。
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尾道本通り商店街に位置する〈桂馬蒲鉾商店〉。女将さんと一緒に。てぬぐいをいただき、どうもありがとうございました!

娘・ひいな(以下、ひいな)「では、おつまみと合わせて飲んでいただこうかな。いつもは、私が何を合わせるかを考えているんですけど、今回は何も考えずに、今田酒造本店の美穂さんが普段食べているものと美穂さんが造っているお酒と合わせたいと思います」
父・徹也(以下、テツヤ)〈桂馬蒲鉾商店〉のかまぼこ!」
岡本真人(以下、岡本)「おぉ! あの桂馬さんの」
岡本久美子(以下、久美子)「尾道といえば!」
岡本「超老舗ですよ」
テツヤ「創業何年なんでしたっけ?」
岡本「確か100年以上なんじゃないかな(ライター注:1913年に創業とのこと)。桂馬さんのかまぼこは初めて?」
ひいな「去年の12月に、今田酒造本店さんに取材させていただいた時にかまぼこも買って帰って、家で『富久長』のお酒と合わせていただきました」
テツヤ「うまかったよな」
ひいな「すごくおいしかった! お酒との相性がいい理由を美穂さんから聞いていたんですけど、食べてみたら、なるほどと納得しました」
テツヤ「こりゃ、めっちゃ贅沢な組み合わせ!」
岡本「うん、本当に」
テツヤ「桂馬さんのかまぼこに合わせて、広島の地酒を飲む。やっぱり、その土地のものをいただくっていうのが旅の醍醐味だな」
ひいな「みなさん。お酒はありますか?」
テツヤ「おかわりもらおうかな」

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会場の〈ONOMICHI SHARE〉からの眺め。尾道水道の向こう側には向島。贅沢なオーシャンビュー。

ひいな「早いねぇ」
テツヤ「グラスが小さいからね。お、今ちょうど窓から見える尾道水道に落ちる夕陽が最高にきれいだ」
岡本「この時間帯が最高なんですよ」
テツヤ「1枚撮っておこう。今、何時かな?」
ひいな「16時過ぎ」
テツヤ「今の光、本当にきれいだ」

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ひいな「美穂さんになりきった気持ちで食べようと思います。柿天は初めて!」
一同「では、柿天からいただきます!」
テツヤ「うわ、プリプリッ! 魚のやさしい甘みがふわっと香って、こりゃうまいね」
岡本「瀬戸内で獲れるお魚だけで作ってるんだよね」
久美子「そうそう」
テツヤ「まじりっけのない、シンプルなおいしさだね」
ひいな「私としては、八反草のお酒と合わせてみてほしいかな」
テツヤ「柿天を食べた後に飲んでみるね。そういえば、ワインって口内調味ってしたりします?」 
岡本「?」
テツヤ「おつまみを食べながら、飲んだりするのかな?って。日本酒って口内調味って言うんですけど」 
岡本「口内調味? 初めて聞いたな」
ひいな「食べ終わって飲み込んだ後にお酒を飲むんじゃなくて。たとえば、ごはんを食べながら、おみそ汁をかき込むみたいな、口の中で飲み物と食べ物を合わせるのを口内調味って言うんですけど、ワインの世界でもあるんですか?」
岡本「マリアージュとかペアリングのように、口の中に食べ物がなくても、残った油分とか味わい含めてだったらありますよ。たとえば、生ハムとかね」
久美子「でも、口の中にあえて残しながら飲むっていうのはないかな」
ひいな「日本酒だと、たとえば蕗味噌を口の中に入れたまま飲むとか、そういうのが結構あるんですよ」
岡本「へぇ、おもしろいね」

料理に合うお酒とお酒に合う料理。その組み合わせの妙について。

ひいな「美穂さんは、桂馬さんのこのかまぼこの滋味深い白身魚の味わいとほのかな旨みが吟醸香に絶妙に合うっておっしゃってました。美穂さんは朝に食べるそうなんだけど」
テツヤ「朝に食べるんだ」
ひいな「うん。毎日同じものを食べるようにしているらしくて。それで味覚を整えるらしい」
テツヤ「そりゃすごい」
岡本「すばらしい」
テツヤ「一流の人ってみんな、同じものを食べるって言うよね」

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今田酒造本店にて。
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タンクから、できたてほやほやのお酒を試飲させていただきました。
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日本酒が生まれた瞬間の味わいは、山の麓から湧き出る水のように無垢で、透明感のある甘みが感じられました。

久美子「かまぼこを食べてからお酒を飲んだら、最初に感じたお酒の甘みが消えたみたい」
ひいな「口の中が油でコーティングされて、味の感じ方が変わったのかもしれないですね」
久美子「あぁ、なるほど」
ひいな「フルーティさが好きな方はお酒単体でそのまま飲んでほしいですし、逆に食べ物と合わせることで味の代わり映えがするっていうのも、日本酒好きな人にとっては、1本のお酒で二度楽しめるということで、好まれるかも」
テツヤ「なるほど。そうとも言えるね」
岡本「昔のフレンチとかイタリアンって、和食に比べると格段に油の多い料理だったから、そういう点で、お酒の立ち位置が日本とは違うのかもしれないけど、油がお酒の味に対してどう作用するのかっていうのはおもしろいね」
ひいな「油との組み合わせって難しいんですけど、おもしろくもありますよね」

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テツヤ「岡本さんの料理とワインの組み合わせを考えてみると、日本酒も、もしかしたらものによっては合うんじゃないかな? 俺の頭の中では、いろいろ想像しては勝手に楽しみにしているんだけど、日本酒をお店に置くつもりはありますか?」
岡本「自分たちが“これ”というものがあれば」
久美子「うん、置くのもありだなと思っていますよ」
岡本「食べて、飲んで、口の中で混じり合った時に“食”って成立すると思うんですよ。だから、パテ・ド・カンパーニュにはワインとか、かまぼこには日本酒みたいな、組み合わせの楽しみってあるじゃないですか。だから、この料理にはこの日本酒も実は合うかもねっていう新たな選択肢があれば、日本酒もいいかなと思っています」
テツヤ「『伊藤家の晩酌』って実はもう70回ぐらい連載をやってきたんですけれども」
久美子「えぇ? もうそんなに?」
テツヤ「尾道編が、今までで一番真面目な回になったね(笑)」
ひいな「岡本さんたちのおかげです!  毎回、お酒に合わせるお料理を考えてきたんですけど、なかなか難しいなと思うことも多々あって……」
岡本「合わなくてもいいんですよ。究極、合わないなら合わないのも、おもしろみでもあるから」
テツヤ「うんうん。わかる気がする」
岡本「飲み物は飲み物、食べ物は食べ物って独立して考えちゃうと、食の楽しみが半減しちゃうと思うんですよ」
テツヤ「組み合わせてこそ、おいしさがわかるってありますよね。ワインも日本酒も食中酒だもんね」
岡本「そうそう。このごぼう天と山田錦、すごく合いますね。こういう発見がおもしろい」
ひいな「ごぼう天は味が濃いから、山田錦のほうが合うのかも」
テツヤ「どれもおいしいけど、かまぼこのおいしさはびっくりだな。魚の味がする」
ひいな「実はね、練り物って普段あんまり食べないんだけど、すごくおいしい」
岡本「桂馬さんの練り物で、おでんもおいしいんですよ」
テツヤ「うわ、それめちゃくちゃ贅沢! おいしそう」
ひいな「おでんセット売っていました。食べてみたいな」
スタッフ「桂馬さんの練り物は、お魚だけでつなぎも使わず作ってるから本当においしいんです」
テツヤ「尾道の宝だね」

第4回につづく。

ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

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