言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第79回~ LEARN 2022.07.22

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。

(photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Akemi Kibe[PEACE MONKEY])

「選択」

大して人より得意なことがなく、表彰というものをしてもらった記憶がない。運動神経が壊滅的にないので、もちろんスポーツの大会で何か成績を残すことも、ましてやリレーの選手になったり、何かに選ばれることもなく、かといって美術センスや習い事で何か秀でるものがあったわけでもないので、もらった賞状といえば皆勤賞とかみんながもらえる賞である。ひとつだけ、選ばれてうれしかったと覚えているのが、中学3年生のときに学校全体の文集に自分の作文が載った時。クラスメイトの中から選ばれたとはいっても、各クラス5人は載っていたような気がするから、それほどすごいことでもないんだけれど。でも、うれしかった。

その年のテーマは「選択」だった。これを軸に生徒たちは自由に文章を書いていい。私はこんなことを書いた。

「何かを選ぶというのは、人間だけが出来ることです。野生の動物たちは今日これを食べようとか、何を着ようとか選ぶことは出来ません。選択肢がないからです。それに比べて、人間は何をするにも選ぶことが出来ます。人間に選択権を与えられているからこそ、もっと私たちは広い視野で自分にとってこれが良い、という価値判断ではなく、自分の住んでいる世界にとって良い選択肢を選ぶべきだと思います」

自分が書いたとは思えないほどちゃんとした内容&語り口で、これこそがお手本なんじゃないか?と思うくらい至極真っ当な意見を書いている(過去の自分褒めすぎ、すみません)。

何かを選択するときに、単に自分が楽とか好き・安いといったことだけで判断するのではなく、もうちょっと広くそのことを捉えて、自分の選択が与える影響とかその先を見て、賢く選んでいこうというのは今の持続可能な社会づくりの機運にも非常にマッチするところが大きい。読み返して、ハッとさせられた文章である。

稼いだお金を何に使うか、というのも選択の一つである。最近知り合いのおじさんがこんなことを言っていた。「僕が銀座のお姉ちゃんたちにお金を落としても、結局それはエルメスやシャネルやシャンパンになって海外にお金が流れちゃうだけだ。でも、京都の花街に行けば、そのお金が着物や舞になったりする。ずっと辿っていけば、日本の文化を後世に繋ぐことになるんだよ」。京都で遊ぶ言い訳のように聞こえるが、まあたしかにと納得できる点もある。払うだけでなく、自分のお金が何になるかということを考える。私たちが息をするように毎日行っている選択だけれども、選択肢があるというその幸運を忘れることなく、より広い視野を持って選択も買い物もしていきたいと思った。ちなみに、私のボーナスは乗馬クラブの入会費・レッスン代・必要なグッズ経費に消えていく予定です~!

【弘中のひとりごと】
皆さんは最近大きな買い物はしましたか?

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