言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第73回~ LEARN 2022.04.22

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。

(photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Miyuki Nakamura)

「ピンチヒッター・後編」

もちろん、いきなり突拍子もないことをおっしゃるのではない。話の流れで気になったこととか、ごく自然に心に湧き出たことを質問される。それに対してどう答えるのか、どう振る舞うのか、というのがこちら(と出演者の皆さんの)の腕の見せどころなのだが、これは本番でしか経験できないことなので場数を踏むしかない。3年4カ月ぶりの今回も「ああ! この感じ! そうだった!」と思うような会話がいくつかあり、頭ぐるぐるフル回転で内心シビれていた。

こうなってくると、出演者の皆さんも何だか一発カマしてやろうという空気が出てきて(あくまでこちらから見た印象ですけどね!!汗)、だいたいこんな風に話が進むんだろうなあ~と思っていたこちらの思惑と全く違う方向に話が進んで行ったりだとか、いきなり他のゲストに話を振ったりだとか、予想にない展開にコロコロ向かっていったりするのが生放送の常である(これはこれでとっても面白いんですけどね! こちらは白目をむいたりもします!)。

パフォーマンスでもこの「本番カマシ」は往々にして起こる。というか、やっぱりトップアーティストとうたわれ、世の最前線を駆け抜けている方たちは、本番になると一味違うのだ。オンエアになると、ギアが何段階も上がる。何回も本番前に行ったリハとは比べ物にならないほどの気迫とパワーが出てくる。ひとたびお客さんの前に立つと存在感がどこからか湧き出てくるし、驚くほど輝きを増したステージを見せてくださる。その時代をけん引するカリスマたるゆえんであろう。どのアーティストさんも一様にこのパワーを持っていると私は感じた。

今回のこの出演は、卒業し、少しの期間離れていたけれど、一回限りのピンチヒッターで戻って、という聞いたことのないオーダーである。私なりに離れていた期間でどこか成長したところをスタッフや皆さんにお見せしたいと思って頑張ったものの、なんだかMステならではの空気に圧倒されてあっという間に終わってしまった。コロナ下で感染対策を徹底的に行っているスタジオでは、出演者の皆さんと話すのもリモートだったり、アクリル板があったりして、私がいたころとは様変わりしていて正直やりにくいところも多々あった。ぎゅっと皆さんがスタジオに一堂に会して、もっとワサワサしていて、何だか何かが起こりそうな空気というのが大好きだったのだけれど、そうとも言っていられない現実がある。もどかしい気持ちもあったし、もっとやれたなと思う部分もあるけれど、やっぱりMステって素敵な番組だな、こんな番組を担当できて本当に良かったな、と何だか胸の奥がツンとするお仕事だった。

【弘中のひとりごと】
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