言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第34回~ LEARN 2020.09.11

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。今回は最近のストレス解消法について。

「蛍光灯の誘惑」

 テレワークになって慣れないという話を前回したのだけれど、私にはもうひとつ、この新しい生活様式に変わったことで、まだ追いついていない部分がある。ストレス解消法だ。以前の私は、仕事でもプライベートでも、何か嫌なことや大変なことがあると、決まって誰かを誘い、ごはんや飲みに行っていた。相手は、友達や会社の先輩や同期たち。自分の心の負担になっているものそのものの話を聞いてもらうこともあるし、はたまた、ただただお腹いっぱいおいしいものを食べ、お酒を飲んで酔っ払って、発散して、気持ちを切り替えることもある。とにかく私にとっては、気の置けない友達と会って、他愛ないことをぺちゃくちゃおしゃべりすることが一番のリフレッシュ方法だったのだ。

 けれども、こんな世の中になってしまって、その最高にして唯一の方法が以前のようにおおっぴらには出来なくなってしまった。どこでどのシーンを何と言われるか分からないし、第一に、自分が感染するリスクを少しでも減らすためにも、今はそういった機会をもつのは控えた方がいい、という自己判断をしている。私は、仕事場で沢山の人と会うことを避けられない。もちろん、みんな万全の対策をしているけれども、ずっとテレワークをしている人と比べたら、圧倒的に会っている人の数は多いし、万が一、自分が感染したときの影響を考えると、ゾッとする。そんなこんなで、仕事終わりはほとんど直帰。時間とやる気があったときに仕込んだ作り置きのおかずか、お肉と野菜を煮たり焼いたりしただけの名前すらない料理を食べる。一人でもくもくと食べていると、すぐ食事が終わってしまう。あっけなくて満足感もない。結局物足りなくて、冷凍庫に買いだめしてあるアイスに手が伸びてしまう。お酒は一人で飲んでもおいしくないので、家ではまったく飲まない。何だか気持ちを切り替えられないまま、ベッドに入る。こんな日は寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりするから、翌日も引きずってしまったりして、これじゃあダメだなあと思うばかり。こんな日が続くと、モヤモヤが溜まっていく。ずっと膨らんでいくのか?と思いきや、私の場合、なぜかそれが深夜のコンビニで大爆発するのだ。

 仕事終わりで疲れていて、お腹も空いていて、いつもの簡単なものすら作りたくないとき、コンビニに吸い寄せられるかのようにスーッと入ってしまう。あの煌々(こうこう)とした蛍光灯の光がいけないのか、あの何とも言い難い、ココには何でもあるという安心感がいいのか。甘いもののコーナーに目がくらみ、いつもなら買わない、どう見たって高カロリーのケーキやプリンを手に取ってしまう。今日も頑張ったし、これくらい。と言い聞かせながら、ひとつ手に取るともう歯止めが利かなく、自分へのご褒美のオンパレード。チンするだけでいいパスタやグラタン、明日の朝ごはんに食べたい甘いパン。何もかもおいしそうに見えてきて、気づいたらもうカゴがいっぱいになっている。幸せなのは、それを持って帰るとき。袋にいっぱいの食べ物を家に持って帰ってきて、テーブルの上に並べると、何だか「やってやったぜ!」という感じがする。誰への感情なのか、さっぱり分からないけれど。そして、いとも簡単にペロッと食べてしまう。最近のコンビニのごはんはおいしい。正直、私が作ったものよりもおいしい。けれど、幸せなのはここまで。食べ終わったあとは、大量のプラスチックごみを前に罪悪感でいっぱいになる。せっかくジムに行ったのに、とか、糖質を我慢しているのに、とか、みな実さんはこんなこと絶対しない、とか。(あくまでも年中ダイエッターの私から見ての視点なので、過食症とかではありません!ご心配なく!!)

 食事は何を食べるか、ではなく誰と食べるか、とはよく言ったもので、何となくしていたことが私にとって本当に大切なことだったんだ、と気づく。とりあえず今は、コンビニ爆買い爆食以外のストレス解消法が欲しい…。
次回:9月25日更新予定

photo:moron_non
photo:moron_non

【弘中のひとりごと】
密着ロケが続いて、魂が疲弊しました。

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