連載「拝啓、〈星〉へいらっしゃいませんか?」 アジア1位のバー〈Jigger & Pony〉へ。【シンガポール】至高のカクテルと、心地よい癒しの空間。 LEARN 2021.04.30

結婚を機にシンガポールへ移住することになった元Hanako編集者女子による、星(=シンガポール)通信。第33回は、2020年アジアのベスト・バー50の第1位に輝いた〈Jigger & Pony〉をご紹介。せっかく受賞するも、新型コロナウイルスの影響で長期間、休業を余儀なくされていたバーが、昨秋、ようやく営業を再開しました。

約1年前の2020年5月、「アジアのベスト・バー50」が発表されました。栄えある第1位に輝いたのが、シンガポールのTanjong Pagar地区にある〈Jigger & Pony〉。本来なら、その受賞を「盛大に祝いたい!」ところですが、2020年4月から6月の2か月間、シンガポールはCircuit Breaker(ロックダウンの一歩手前。通称CB)の真っ最中。当然、受賞のタイミングではお祭り騒ぎなどできるわけもなく。CBが明けた6月後半からも、飲食店での店内飲食は再開されるも、人が密集するリスクが高いバーやカラオケ、クラブ等は除外されました。〈Jigger & Pony〉へは、いったいいつになったら行けるの!?国中のファンのヤキモキが爆発する寸前(たくさんの問い合わせがあったそう)の2020年9月、待望の営業再開を果たしました。

電話予約から垣間見えるおもてなしレベルの高さ

アジアで1番に選ばれたバーに、うかがってみたい。そう、常々思いながらも、子を夫に託してお酒を飲みに行くことに罪悪感があり、なかなかタイミングを見つけられずにいました。いっそのこと、子も帯同させてみようか。そう思い立ち、幼児連れの入店可否について、電話で尋ねてみることに。この電話から、〈Jigger & Pony〉のおもてなしレベルの高さは垣間見えました。

「2歳のお子さん? 水曜日の午後4時頃をご希望なんですね? 平日の早い時間はお客さまがそう多くないので、喜んでお迎えします! お子さんが寛げるお席をご用意したいので、お手数ですが専用サイトから予約をしていらしていただけますか?」

とてもありがたいお返事をいただき、さっそく、予約サイトから子どもがいる旨を記し、予約を済ませ、いざ当日。子を抱き、ドキドキしながら入り口の階段下から受付を見上げると、「ミス・アヤコとエンジェルね??ウェルカム」と温かく迎え入れられ、ほかのお客さまの視線が届きにくい奥のテーブル席へとご案内いただけました(大感謝)。

おいしいカクテルはあっという間に完飲!

〈Jigger & Pony〉

お席で渡されたのは、雑誌…と思いきや、メニュー。カクテルのラインナップが写真つきで紹介されているだけでなく、お店のこと、スタッフのことなどについても書かれていて、読むだけでワクワク感が高まります。メニューのトップは、泡セクション。ウォッカソーダやジン・トニックが紹介されており、さらにスタッフがハイボールを飲んでいるスナップ写真も掲載。

彼らのあまりの楽しそうな姿に、ハイボール…と頼みかけるも、今回は「Jigger & Pony classics」と呼ばれるお店のシグネチャーカクテルの中から、Yuzu Whiskey SourとJourney of the Westの2種をオーダー。前者はバーボンに柚子マーマレードや卵白を合わせたカクテル。柚子の甘く清涼感のある風味と、上に配されたローズマリーの少しパンチのある香りがほどよくマッチ。後者は同じくバーボンベースのカクテルで、焙じ茶やフレンチオークの木片の香りづけがなんともオリエンタル。アルコール度数も高めですし、カクテルはゴクゴク飲むものではないとは思いつつ、おいしくて、あっという間に完飲。

〈Jigger & Pony〉

スタッフが絶妙な間合いで声をかけてくださり、お店やお酒のことを教えてもらえます。その距離感が心地よく、緊張がほぐれていくなかで、この癒し感こそ、〈Jigger & Pony〉が1位に選ばれた理由なのかもしれない、と気づきました。

「そうですね、ひとえにスタッフの力によるものだと思っています。寛げる環境づくりはもちろん、お客さまとハピネスを共有し、友人にも似た親しい関係性を築き上げてきましたから。スタッフの技術向上も絶やしません」(Jigger & Ponyプリンシパル・バーテンダー、ジョバンニ・グラジアデイ)

スタッフは、国籍や年齢、経歴にとらわれずに採用しているのだそう。「バックグラウンドが違うことで、各スタッフから常に新しい情報がもたらされ、学びにつながります。コスモポリタン・シティともいうべきシンガポールにおいては、スタッフの多様性が功を奏すことも多いんです」(ジョバンニ)

なるほど、海外のバーに来た、というアウェイ感がないのは、スタッフ構成にも秘密があるのかもしれません。

自慢のバーテンダーが作るボトルカクテル・シリーズ「PONY」が登場。

1. PONY Collection - Horizontal

コロナ禍でバー全店が休業を余儀なくされていたころ、同店は、ステイホームの人に向け、カクテルのデリバリーサービスを行っていました。これにより新たに生まれたのが、店が誇る自慢のバーテンダーが作るボトルカクテル・シリーズ「PONY」。現在は全7種あり、個人的推しは、SAKURA MARTINI。ふわりと桜の香りが鼻腔をくすぐるも、味はジン・ベースでドライ。冷凍し、キンキンに冷やしていただくのがおすすめです。桜の花びらが入っていて可愛らしいルックスなので、お土産にも重宝しそう。このボトルカクテルは、今後、海外への配送が予定されており、シンガポールに行かずとも〈Jigger & Pony〉が味わえる日がくるようです。さて、そろそろ5月。2021年度アジアのベスト・バー50が発表される時期を迎えます。コロナ禍にめげず、攻めの姿勢を見せてきたJigger & Ponyですが、2年連続1位となるでしょうか。

〈Jigger & Pony(ジガー・アンド・ポニー)〉

■住所:165 Tanjong Pagar Road, Amara Singapore内, Singapore 088539
■アクセス:MRT・East West Line(緑)「Tanjong Pagar」駅より徒歩約4分
■URL:https://www.jiggerandpony.com

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