ハナコラボ日記/諸岡なほ子の『おいしいのりもの旅』第7回 「東98」に乗っていつもの東京を車窓散歩(前編) LEARN 2018.02.11

東京の誇る大自然「等々力渓谷」から、丸の内のビルを見上げる「東京駅」まで、およそ15キロのロングドライブで東京を横断する、東急バス「東98」系統。ちょっと高いバスの視点から窓の外を眺めれば、地下鉄やタクシーからは見えない、新しい東京が見えてくるかも?

世田谷の住宅街から、おいしいコーヒーを経由して

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通勤や通学でバスを利用する人も、なかなか始発の停留所から終点まで乗るということはないかもしれません。でも、都内には観光バスなみに長距離を走り、東京の魅力的な景色を見せてくれる路線バスがいくつもあるんです。そんな路線の1つが、東急バスの「東98」。東急バスなのに、東急沿線の等々力操車場から遥か東の東京駅南口まで、15キロ以上を駆け抜けます。時間にして1時間10分ほど。それなのに、料金はたったの220円。

バスの座席に深く腰掛けて、好きな音楽や温かい飲み物があれば、いつもの東京とはまた違った表情を見つけられるかもしれません。そんなわけで今回は、「東98」のバス旅をレポートします。

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乗車したのは、「東98」が等々力操車場を出発してから1つ目の「等々力」バス停から。東急大井町線の等々力駅から、親しみを感じる商店街を歩くこと2分のところにあります。「東98」は日中、大体1時間に3本ほど運行中なので、ちょっと時間調整をしたい時には、カフェやオーガニック食材店などを眺められて便利ですよ。

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今回は途中下車も楽しみたいということで、バスに乗りこむ際、ドライバーさんに「一日乗車券をお願いします」と声をかけ、ピッ。大人510円、小児260円で東急バス1日乗り降りし放題です。

バスは、ほどなく目黒通りへ。玉川神社前、中根町、都立大学駅北口、碑文谷警察前などを軽快に走っていきます。ちなみに、私が東京に出てきて最初に住んだのが学芸大学駅からほど近い碑文谷。なので、目黒通りを走るといろんな思い出がよみがえります。中学3年生だったので、友達とミスドでしゃべり倒したとか、碑文谷公園で好きな男の子と並んで歩いてドキドキしていたら、その男の子がコケてしまって気まずくなったとか、そんなこと(笑)。

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で、そんな学芸大学のエリアに、素敵な建物発見!

すぐに降車ボタンを押して、「清水」バス停で下車。目黒通りを1分ほど戻って、こちら「Factory & Labo 神乃珈琲」へ到着。さっそく中へ。

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うーん、店内もやっぱり素敵。

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2階席へと続く階段からは、ガラス越しに焙煎機なども見えて、こちらのコーヒーのお味に期待が高まります。

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オーダーすると、目の前でハンドドリップ。今やコーヒー屋さんでは当たり前の光景になったものの、ついつい手元を覗き込んでしまいます。窓の外の喧騒とは別世界の静けさ。コーヒーの香りに大きく深呼吸。

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オーダーしたのは、オリジナルブレンドのひとつ「華煎(はないり)」。…と、レジの横のショーケースで目に飛び込んできた「クリームホーン」。我慢できませんでした。パフッとかじりつくと、ふんわりカスタードクリームは甘さ控えめ。断面からポトポトとこぼれ落ちてこない軽やかな硬さが食べやすく、味とともに好印象。どこか懐かしさを感じさせてもくれます。

そしてコーヒー。こちらは、その名の通り華やかな香り。軽やかで飲みやすく、万人に愛されそう。酸味と苦味も出過ぎず上品。

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町工場のようなとんがり屋根は、そのまま天井の傾斜になっているので、トップライトの光も手伝って、とっても開放的。目黒通りに面した壁一面の大開口からは、太陽の光が燦々と入ってきて、ポカポカキラキラ。はあ、もうずっとここにいられる〜、別に東京駅なんて行かなくてもいいや〜という想いが、一瞬心をかすめないでもないですが…

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あらかじめテイクアウト用の紙のカップにコーヒーを入れていただいたので、バスの時間を見計らって、再び「清水」停留所へ。

座席に深く腰掛け、窓の外を見ながらコーヒーをひとくち。ここから中目黒辺りまでは、インテリアショップや雑貨店が立ち並ぶ目黒通りをバスはスイスイと走り、これまた思い出の目黒寄生虫館の前を通過。山手通りを越えて権之助坂をのぼり、目黒駅の脇を通り抜けると、ついにバスはまあるい山手線内のエリアへ。

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