仕事をやめて夢を叶えた80年代色の喫茶店、千歳烏山〈喫茶宝石箱〉。
2018.02.14

編集Tが通う、心やすまるカフェ&喫茶店。「渋カフェ」その18 仕事をやめて夢を叶えた80年代色の喫茶店、千歳烏山〈喫茶宝石箱〉。

Hanakoスイーツ担当が、よく訪れるカフェ&喫茶店をご紹介しています。レトロなテーブル、懐かしくてかわいいメニュー。不思議と落ち着く「渋カフェ」。ウッディな世界でのんびりしたひとときを。前回の早稲田〈早苗〉はコチラ連載トップはコチラ。18回目は会社勤めを辞めて始めた、80年代の気分そのままの店〈喫茶宝石箱〉。

久冨 俊裕 / Hanako編集部

「エディター。スイーツ担当。」

久冨 俊裕

今回の渋カフェは千歳烏山の〈喫茶宝石箱〉。カラフルで懐かしいクリームソーダで最近SNSでも人気ですが。ここの魅力は、80年代の女の子の部屋のような空間。というより、部屋そのものです。

お店をやっているのは金井ナオミさん。金井さんがここを始めたのは2009年のこと。それまではずっと会社勤めだった金井さん。服飾の専門学校を出てから働き始めるのですが、忙しい日々の中で、本当にこのままでいいのかな?と思い始めます。そんなときの癒しが、昔のアイドルのレコードを聴いたり漫画を読む時間でした。でも、その時点では飲食店をやるというイメージもなく、単に趣味という感じだったそう。

本当に部屋の片隅のようなディスプレイ。半分は昔からの私物。あとは喫茶店をやると決めてから集めたもの。

そんなある日、友達に誘われて、フィットネスクラブで行われていた「昔のアイドルの振り付けを踊るクラス」に参加します。「それが予想以上におもしろくて、先生も個性的で。あ、こういう時間いいなって思い始めて。そのとき80年代好きの友達もたくさん出来たんです」

「で、自分たちでも何かやってみたくなって、ある日友達とクラブを借りて喫茶店イベントを開いたんですけど。80年代の音楽をかけて、テーブルにクロスをかけて花を飾って、みんなでお茶をして。それがすごく楽しかった。そのときはもう、何か見え始めていたかもしれません」

不規則な仕事で疲れていた気持ちが、少しずつ前向きに動き出します。

金井さんが子供の頃読んでいた小学館の入門百貨シリーズ。「これを発見すると、同世代のお客さんがすごく喜んでくれます。『読んでたー!』って盛り上がるんですよ」。占い、少女まんが、編みもの、クッキング、ペット。

子供時代のトキメキが、大人になった金井さんの中で再び広がり始めます。「80年代の音楽が聴けて女の子の部屋みたいなお店があったらいいな。でもお酒ではなくお茶で」。そこからはイメージが急速に固まり、気がついたら物件探しをしていたそう。お店を開く免許も取りました。

最初はなかなかイメージした物件に会えなかったけれど。そんなある日、不動産屋さんから一本の電話が。

「ここに決めます」。シンプルな内装に、懐かしいインテリアと大好きな80年代の雑貨を並べて。

メニューはクリームソーダとナポリタン。クリームソーダは、定番6種に加えて、その時々の限定が1種類〜3種類。メロン、ぶどう各550円。ナポリタンは昔よく作ってくれたお母さんの味を思い出しつつ。ナポリタン600円。

開店前、パウンドケーキがうまく焼けなくて悩んでいたことも。そんなとき、ボーイフレンド(現在のご主人)が「無理せずに、やりながら考えれば?」と言ってくれたそう。

「肩の荷がスーと軽くなりました。それでいいんだ!って」

80年代の音楽は色々あるけれど、特に松田聖子とジューシーフルーツが好き。

看板は漫画家であるお姉さん(百田千峰さん)が描いてくれました。

まわり人たちのやさしさにも後押しされて、動き出した金井さんの夢。

お客さんには、写真の本の著者、昭和的ガーリー文化研究所の所長・ゆかしなもんさんも。ダンスクラスのときの友達や、同世代の人もたくさん訪れるように。でも最近は、SNSを見て来てくれる若い人も多いそう。

「いまは世の中にかわいいものが溢れていますよね。100均でキャラクターグッズもすぐ買えるし。あの頃、街に一つしかファンシーショップが無くて。みんなお小遣いを貯めて通いました。レコードもなかなか買えなくて、テレビの歌番組をラジカセで録音したり。好きな曲をカセットに入れて何度も聴いたり。あの『なかなか手に入らない感じ』、だからこそ一つ一つの出来事を大切にしていたんだと思うんです。最近若いお客さんが、それがうらやましいって言ってて。''なかなか連絡取れない''とか、そういうことが。なかには本当に80年代のカルチャーが好きな子もいて。クラスで話が合わないから来てみましたって(笑)。お店をやっているといろんな出会いがあるのも、おもしろいんですよね」

ときに、懐かしむことを後ろ向きだと言う人もいるけれど、その楽しさを追求し始めたら、それはもうその人の夢。金井さんの話を聞いて、松田聖子さんのチェリーブラッサムの歌詞を思い出しました。自由な夢をキャンバスに描いている金井さんは、とてもキラキラしていたのでした。

ちなみに、本棚にはHanakoの創刊号もありましたよ! いま見ると斬新。80年代へプチトリップ。ぜひ〈宝石箱〉で。

〈喫茶宝石箱〉
◼︎東京都世田谷区南烏山4-18-18 小山マンション102
◼︎03-5969-8577
◼︎12:00〜18:30(18:00LO)
◼︎水曜日休み
◼︎8席 予約がベター
◼︎禁煙

久冨 俊裕

Hanako編集部がトレンディドラマの舞台になったのもこの頃(笑)。あのおしゃれな俳優さんも編集部の重要なスタッフとして登場。詳しくは調べてみてね! 次回の更新は2/28木予定。

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